0 少女

 家をでた少女は、毎日、違う男の体を渡り歩いた。

 酒場で知り合った男とモーテルで寝ては、その日の宿にした。

 体を合わせる相手は、どんな男でも良かった。

 体を売ることも覚えた。たまに金を手渡してくる男がいたからだ。

 様々な男と寝ているうちに、薬の味を知った。ヤク中の男と寝ることもあったからだ。

 最初は無理矢理だったが、そのうち、自分から薬を求めるようになった。

 行為の快楽は、少女のすさんだ心を少しだけ慰めた。酒や薬は日々の苦痛を和らげた。

 中毒になってしまった薬や酒を、自分からやめることができなかった。薬や酒代を稼ぐために、更に体を売って、それが駄目な時は酒場でウェイトレスをした。

 自分に何があろうと、他人は関心を持たない。もともと汚れた自分を大事にしてくれる人間などいない。自分に価値があるとは、到底思えなかったからだ。

 少女にとって、自分自身は大事にする必要がなかった。早くぼろ切れのようになって、人生を終わらせたかった。誰からも忘れられて、ちりのように消えてしまいたかった。

 若々しかった少女の外見は、薬と酒で変わり果てた。まだ十代のはずだが、三十代後半に見えた。

 のどは酒に焼け、声もしわがれた。体は骨張ってやせていった。

 薬も男も酒も全部試して、気がつけば、願った通りに少女の体はボロボロになっていた。

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