第22話
手のひらがとがった岩を握り締めていた。
まだあの不可解な記憶が脳裏に引っ掛かっている。
自分のなかにだれかがいるなんて……
夢のなかにまで今ならわかっている知識をもっていくことができれば、おかしな行動を取らずにすむのに。
シェングは自分が見ている夢のなかで苦しむヒトの姿を思い出す。
あのヒトの煩悶はいっときの夢。あの世界を作り上げているのは大昔に生きていたヒトの残像……
自分の夢の中だけで再現される、地獄。
身じろぎすると、無数の砂利が音を立てて転がり落ちていった。
背中の白斑があえぎながら尾のほうへ移動していく。
夢見が悪いといつも斑紋が痛むのだ。
恨めしげなため息をついた。
斑紋の見せる夢がいつも楽しいとは限らない。
浮き上がる白斑のひとつひとつが違った夢を見せてくれる。
静かな波に似たまどろみが寄せては返し、瞼をしだいに重たくした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます