第5話
シーファは吐き気をもよおすようになった。何を食べても吐いてばかりいる。
そうかと思っていると、下腹がしだいに膨れてきた。
はじめは太ったのかと思った。
ますます膨れ上がって、何かが自分の腹を蹴ったと思った瞬間、やっと自分が身ごもっていると気付いた。
すでに真冬でシェングは寝泊まりしなくなっていた。夏の間に妹がワラを少しずつ落としてくれたので、ひどく冷たくはなかった。
自分が身ごもっていようといるまいと、多分この冬は越せまい。
いつか死ぬと思っていたときが、やっと訪れたのだ。
それなのにシーファは冬を越してしまった。
寒波がやってくる前に、シェングが羊毛や羽毛を大量に穴から落としこんだのだ。
冬を越してしまったせいで彼女は産み月が近づいてきたことを悟った。
痩せた体に腹だけが豊かに膨らんでいる。
「子供が産まれそうなの」
ある日、彼女は思い切って告げた。次の日からシェングは山羊の乳をもってくるようになった。
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