第6話

そして俺と菅野さんは妙な関係を築くことになったのだが。家に帰るなり父と母は俺に駆け寄って何故か怪我はないかだの酷いことされてないかだのと異常に俺を心配した。

「俺、河川敷いってただけだよ。」

「紅、貴方今日菅野くんと居たでしょう。」

その一言でなんで心配をされていたか分かった。

「菅野さんは悪い人じゃないよ。」

でもそういう最初が優しい人ほど怖いのよ…母はそういってじろじろ変化はないか俺の体を舐めるようにみた。

「それでね、あの子と絡むのは辞めてほしいの」

「…なんで?」

「紅もニュースみてたでしょう。」

父も大きくそうしなさいと頷く。

「俺は人を偏見で判断しない」

「心配なの」

「俺は菅野さんはそんなことしないってわかってるから。」

「嫌だから辞めてっていってるの!」

ぱん。

母が大きく声をあげ手を振りおろした。

荒い息と赤い目が俺を責める。

そして彼女は俺を叩いた手を見つめ握り後悔するように膝をついた。

「ごめんなさい。でも会わないでほしいの」

見下すように見る母程無様で素晴らしいものはないが俺もしゃがみ母を真っ向面から見た。

「心配、ありがとう、母さん。父さんも。やっぱり会わない方がいいよね。そうする。」

「ええ…叩いてごめんなさい、痛かったでしょう。それは謝るわ。だけど会わないことは約束して頂戴?」

熱くてじんじんした頰は何も思わない。

「大丈夫。母さんの心配する気持ちは分かるもん。会わないこと約束する。」

まっぴらな嘘だった。

俺はもう菅野さんの本音に触れてしまった。菅野さんの裏をかいてやりたいと思った。だからそれをするまで、何かを成し遂げるまでは約束をする気はない。

「部屋、戻るね。俺勉強するから」

そういって母と父のいるリビングを後にした。

部屋に戻ればいつも通りの風景が広がる。だが雰囲気はいつもの部屋じゃない。

河川敷で汚れた服も着替えないまま布団に飛び込む。

「つまんないなぁ。」

ため息と共に口角がみるみる上がった。

「つまんないつまんないつまんない。」

菅野さんに会いたいな。

会いたいっていうのは恋愛の好きじゃなくて。


双方が利用価値での相対なんだろうけど。



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