中国と日本のビジネススタイルの違い
空港にて、カバンに入ってるものを聞かれたのですが、中国語が聞き取れず右往左往していると
「電化製品がないかと聞いています」
と、後ろに並んでいた人物が私に耳打ち。
私は、「あったかもしれない。髭剃りとかを入れていたかもしれない」と返事すると、その人物が翻訳してくれて、事なきを得たということがありました。
話を聞けば、転職を(出世で)繰り返しているかなりできるエンジニア。なんと、日本語がとても上手で、日本語でのコミュニケーションが可能でした。
その方と、飛行機の待合室でまたお会いし、お礼を伝えて談笑。
本の並んでいた一角で、
「あなたは鄧小平を知っていますか?」
とたずねられます。
「今の中国は、彼のおかげであるようなものです。鄧小平を知っていますか?」
「猫の人ですよね。黒であろうと白であろうと、ねずみをとってくる猫が良い猫だ、といった人物であるということは知っています」
「よくご存じで」
こんな具合で話は進みます。
歴史の話もたくさんできました。が、興味深かったのは「日本人と中国人の仕事のやり方」の違い。
「中国人は、やりながら直すスタイルです。日本人はリスクを負う事を非常に恐れます」
と、彼は語ります。
しかし、続けてこうも言います。
「ですが、中国人には矛盾があります――
中国では、管理職になると給料が高くなります
高い技術を持った人間は仕事で結果をだし管理職になります
すると、技術を使った仕事ではなく、会社の内部を管理する仕事をするようになります
結果、仕事をするのは技術が低い人間になっていく、という構図となります」
お金持ちになりたい人達が管理職になる結果、技術を持った人間が現場から離れるという現象が起こっているとのこと。反面、日本についてはこう語ります。
「日本は、高い技術を持った人間と管理職の給料が変わりません
ですから、高い技術を持った人間が物作りの仕事に携わることができます
つまり、中国で発案、製作をし、日本の技術者がその手直しをする
これが、バランスのとれた形となります」
中国=リスクを恐れずに挑戦するが失敗もする=スピードが早い
日本=技術力は高いがリスクを考えすぎる=スピードが遅い
中日協力=リスクを恐れずに挑戦して失敗したものを日本の高い技術力でカバーする
という流れで、ビジネスに挑戦しているようです。
なんとも、興味深い生の声です。
特に、「深圳」という街は今非常にスピード感の速い動きがあると言っておられ、若者が非常に多く集まっている、ということを教えてくださいました。ところが、この話にはオチがあります。
「それだけ成功していたとしても、愚痴が多くてですね
残業が多かったり、働くために時間を多く使う事に対する不満があり、現在はドイツのビジネスモデル、すなわち週に35時間(確か)働く、というのが理想であるという流れがあります」
とのこと。
あれだけ経済的に進んでいる国である中国からみても、理想であるのはドイツのビジネスモデルであるという意外な流れです。
時間は流れ、あっという間のフライトが終わります。
「貴重なお話をどうも」
と挨拶すると、
「いえ、ビジネスの世界ではこれが普通ですよ」
と非常にスマートな返しをされました。思わずにやりとしてしまうような、かしこい方との会話をさせていただきました。旅でこういう出会いがあるのは、本当に素敵ですよね。
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