アダルトチルドレン
アルコール依存症であったり様々な要因でいわゆる「一般的な家庭」で育つことができず、人格形成において大人になりきれていない人のことを指す言葉としてアダルトチルドレン(AC)というものがあります。「一般的な家庭」の定義は難しいですが、その対義語といえる「機能不全家族」というのには両親の離婚、性的虐待、身体的虐待、アルコール依存や中毒、重い障害を持った家族がいる家庭、ドラッグ中毒などの人が家庭にいる家族のことを言います。正直、定義は曖昧ですが人格形成が上手くいっていない場合、機能不全家族で育っている可能性はあるかもしれません。
身近に「変わっているな」と感じたり、極度に臆病だったりする人はひょっとするとそれは個性の範疇を超えた、背景に基づいた人格形成の不調が起こっていると考えることができるかもしれません。ACというのは家族の中で特定の「役割」を担わざるを得なかった人。(いくつか種類があって名前がつけられているのですが、それは調べればでてくることで、ここに書いてもそのコピペにしかならないので敢えて省きます)
例えば、家庭内暴力のある家庭で育った場合、「ほかの家族を守らなければならない」という役割に基づいた特質が身についてしまう人がいます。かたや、同じ状況でも「息をひそめて自分の存在感を消すよう努めていた」という人もいます。これは、個人差があります。どちらにもいえることは「自分の人生を生きるというよりも、他人とりわけ家族の目を気にしていた」というところですね。
かくいう私は「期待にこたえ続ける」という役割のあるタイプだと長年思っていたのですが、以前読んだ本の中に「イネイブラー(支え役・偽親)」という役割があるということを知りまして、自分はこっちの方だ、と思ったものです。うちは父親がアルコール依存、弟が重い自閉症を抱えており三男もアスペルガー症候群とかなりめちゃくちゃな家庭で育っているので、常に母親のカバーをしたり、自覚のない父親に代わって弟の面倒を見たりと無理をする幼少期を送ってきました。ですから、自分がメインとなることが非常に苦手です。自分自身の人生設計、となるとわけがわからなくなってしまいます。しかし支え役をずっとやっていたことがあってか、「参謀」となると凄まじい知略を発揮することがあります。とはいえ、心の中での葛藤や落ち込みは慢性的で苦しいものです。
私のはあくまで一例で、世の中には様々な「役割」を幼少期から演じなければならなかった方がきっとたくさんいると思います。期待にこたえ続けることを余儀なくされた人もいれば、本心ではないけど笑ってごまかそうとする癖がついてしまった人など、さまざまだと思います。病気ではないので治療法が特にあるわけでもありませんし、人それぞれ問題の程度も違いますから、無責任なことは言えません。ただ、私自身が気を付けているのは「無理して自分の人生を生きようとしなくてもいい」ということです。逃げのように聞こえるかもしれませんが、運転を殆どやらない方が運転を急にやると危ないのと同じで、やったことのないことをいきなりやろうとすると失敗する確率は非常に高いですよね。だから、車だったら「まずは見知った町内を一周」から始めるとか、「ものすごく細かいところで自分の意思を貫いてみる」ところから始めようと思っています。どれだけ仕事が残っていようと定時で帰るのを徹底している私の行動は、その「自分を生きる」一歩をやっている感覚です。生きづらさを抱えている方それぞれに、「やり方」があることを自分は確信しています。そういうみんなを陰から応援してます。
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