過去
♯7
円香「日坂君には話しておいたほうがいいかもね…」
翔真「……なんだよ…」
円香「私はもともと地方の出身で、自分と同じ召喚術師の家柄が集まってできた集落で暮らしてたの。その時にはすでにお父さんが仕事の都合でこっちに来てたんだけど、私は召喚の儀を行ってから、こっちに越してくる事になった。」
円香「村にはたくさんいたよ。私と同じ年の子が、みんな小さな頃から各家で召喚術について教わっていた。それを応用した小さな術式で遊んだりもしてた。」
円香「みんながみんな、あそこの家のあの子はどんなものを召喚できるのだろうか、うちの息子はあそこの息子には負けたくないとか、村は小さかったけど、その分繋がりも深くてとても暖かかった。」
円香「そして私は、召喚の1週間前位に、お父さんの赴任先の、この町に遊びに来た。何泊かして帰る予定だった。」
円香「いろんな土産話を持って帰るつもりだった。そして私は村に帰ってきた」
そこで目にしたのは……
翔真「…………!!!!!」
円香「全滅だった。村は廃村になって今も閉鎖されてる」
円香「そして現場には落ちてたの…。カラスの羽が」
翔真「羽…?」
円香「能力者の中でもいい人とそうでない人がいてね。数いる人間の中で自分たちは抜きん出てると思い上がった連中が非人道的な行動に走るのも珍しくない話だよ」
円香「通称カラス。団体の組織か、単独であるか、それすら悟らせない位、捜査のの包囲網を潜ってきた奴がいるの。能力者の犯罪世界では伝説とまで言われてるね。唯一分かってるのは、犯行現場にカラスの羽を残していくことくらい…」
円香「私はとにかく悔しい…。何故自分だけ生き残らなきゃいけなかったのか…。そして、奴が…、必ず、その尻尾をつかんで自分の手で裁いてやる…。そう思って賞金稼ぎに入った…。少しでも奴に繋がる何かを見つけるために…」
翔真「それでさっきの土使いを調べるって言ってたんだな」
翔真「……それ、何か俺に手伝えることないか?」
円香「……え?」
翔真「ほら、さっきはお前に殺されかけたにしろ、あれは不可抗力というかなんというか…。何よりあの土使いを倒して俺を助けてくれたのは事実だ。何か俺に手伝いさしてくれよ」
翔真「それに…。復讐なんて長引かせるもんじゃねぇし…」
円香「いい。」
翔真「え…?」
円香「それに日坂君に話したのは、もしカラスに狙われることがあったら、知っておいてくれた方が都合がいいからだよ。私はそういう奴なの…」
円香「ほら、家ついたよ。マンション暮らしだったんだね。今日はゆっくり休んで、明日また大学で様子見さしてもらうから…」
翔真「お前はどこにいるつもりだよ」
円香「さぁね。マンション見渡せるところくらいにはいるんじゃないの?じゃあね」
バタンーー。
翔真「………」
ボフンッ--
翔真「あんな大学では綺麗に笑ってたのになぁ…」
〜〜〜〜〜〜
円香『自分の手で裁いてやる』
〜〜〜〜〜〜
翔真「復讐…か…」クァ...
ピリリリリリリリ!!!!!
翔真「うぉぁあっ!?」
翔真「うげ、時間スゲェ経ってる!?寝ちまったのか!?電話電話…」
ピッーー!
翔真「はい?」
『私よ!円香知らないっ!?』
翔真「知らないってマンションの外に…」
『いないのよ!』
翔真「えっ!?」
『私達は任務の時、報告を逐一するよう義務付けているから、連絡が付かずに消えることの方がおかしいのよ!』
翔真「俺…帰ってからすぐ寝ちまったから…」
『それに、今からターゲット…さっき日坂君と戦った土使いね…!アイツの引き渡しをするために、保護してる円香とコンタクトを取る必要があったんだけど…何か知らないっ!?』
翔真「っ…!!?そういや、梨々子さん!!東雲の復讐の件て知ってるっけ!?」
『え…えぇ、でもカラスはブラックリストの事案だから円香は扱えないことになってるけど…!!』
翔真「それだよ!もしアンタらの組織が細かい連絡が義務化されてたとして、東雲は俺を襲ってきただろ!?あの時、報告があれば、俺が眼を持ってることを知ってる梨々子さんは攻撃前に東雲を止めれたはずだ!」
翔真「てことは…俺を襲った東雲は完全に自己判断で攻撃したことになる…」
翔真「なんかなかったか!?今までカラスの件になると命令無視を繰り返したとか!!」
『そういえば、任務を放棄して全く別のことをしてた事が一回だけ…』
翔真「アイツはあの土使いを調べるって言ってた……
見つけたんだ…!カラスに関する何かを!!!」
翔真「カラスを取り扱ってるのが東雲が取れないブラックリストの依頼だとしたら…
東雲が危ない!!!」
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