第2章 キャバ嬢の女、デリヘルの高校生。

矢野なつみ。19歳。新宿ナンバーワンのキャバ嬢。何人もの客を落としては貢がせる。もちろん、未成年ってのは隠して...。


   「お前、今日仕事は?」

   「あるけど?その前に会いたかったんだもん...。ダメ...?」


甘え上手で彼女にしても良いが、相手はキャバ嬢だ。これは、商売の為にやってるんだろう...。それでも、手離したくはない。それほど、魅力がある。


   「あ、あのね、なおたんがプレゼントしてくれた香水...。もう使い終わっちゃうの。でも、またあれがいいな。かわいいし、香りも好きっ!!!」

   「あれ、人気でなかなか手に入らないんだぞ?...まぁ、ちゃんと使いきったらまた、買ってやるよ。」


____22時。なつみは仕事に行って、きっとまたいろんな男の人に媚売ってるんだろうな...。そりゃ、新宿ナンバーワンだし。当たり前。今日は、そこまでお金ないしな...。なにか暇潰しになるような事無いかな...。


_____トンッ


いきなり、ぶつかってきたものを反射的に支える。小柄で、化粧が濃くて。でも、どこか幼い...。手元には大きなバック。


   「ご、ごめんなさいっ!!」

   「いや、良いけど。何歳?未成年...に見えるけど?」


彼女は顔色を変えて焦り出す。多分、未成年で一人なんだろう。

   「もしかして...家出とか?」

   「そんなんじゃ...ないし。未成年なんかじゃ....ない。お兄さんには関係ないでしょ?離してください。」


...バックの隙間から見える制服。やっぱりこいつ、高校生だ。それにしても、今着ているこの服。随分露出度高い。キャバ嬢か...?


   「バックの中、高校の制服...だよね。しかもその服...キャバクラで働いてるの?」

   「なっ....。お兄さん、バックの中見たら反則ですよ....。未成年ってバレたなら仕方ない...。私、17歳で風俗嬢なんです。兄はニート。お母さんは、2年前に亡くなって。お父さんは、お酒に溺れて。働けるのは私しか居なくて....。」


なるほどな....。初対面でここまでさらけ出すとは...。多分、今まで他の人に言えなかったんだろう...。こういう経験してるやつは、いつか強くなれる。けど、17歳で風俗は後悔と傷しか残らない....。


   「風俗嬢ってどれくらいなの?給料。結構人気??」

   「私、人気ないので...。全然です...。もっといいバイト探さないと...。」

   「じゃあ、俺に電話番号教えて。暇なときかけるからそしたら来いよ。1日10万とかで、どうかな???暇潰しに遊んでくれたら、その日に渡すけど...」


ふと彼女は、少し驚いたような顔して、紙とペンを急いで出し電話番号と名前を書く。多分、仕事の時間が迫ってるのだろう。特徴的な丸文字で書かれた紙を押し付けると走って行ってしまった。

 

 ______家に着きベッドに飛び込むと、ポケットからさっきのメモを取り出す。

 

宮本 凛香...。17歳のデリヘルか...。

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嘘愛  紫陽花 @Minaduki-Azisai

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