第3話 持たざる者たち

 怪我をした人間は普通は医者にかかる。

 しかし医者にかかれば国民識別番号やら指紋やら照合することになり、そうなると特殊な職業に就いている者は不都合なことになる。特に国民識別番号を持たない花鈴や、幾つもある上に前回どれを使ったか記憶にない史狼などは厄介だ。

畢竟、社会の正常な枠からはみ出た者たちは、足がつかない代わりに素性や経歴が信用ならない闇医者を頼ることになる。

「なかなかたいしたもんだよ。ここまで分解するとはね」

名も知れぬ重症患者をいきなり担ぎこまれた老医師は、ひととおり彼の状態を検めた上でそう語った。患者をこんな状態に追い込んだ相手を評しての言である。

「神経反射強化系のバイオウェアと視神経・末端神経間センサーリンクウェアがあったのは間違いないけど、抜き取られてる。開腹したのは代替臓器を取り去るためだろうね。気管と声帯は焼けていたからバイオ品に交換したよ」

不思議なのは、捨てるだけなら開腹したそのままでいいはずだろうに、雑にとはいえ傷口が縫合されていたことだ。そのあたりをのんびりと説明しながらも、必要な手当てを終えた老医師の手は傷を素早く縫合しつつあった。


 最も現代社会に浸透したバイオウェアはセンサーコアとセンサーリンクである。

携帯や端末からの電気信号を脳に直接届け、ユーザビリティの向上を目的に作られたのがセンサーコアだ。人間の脳や脳髄は脳殻と呼ばれるシェルへ格納し、コアはそれに付随して機能する。

眼鏡などのハードウェアと接続することで視界にARを展開する、家の施錠や冷暖房コントロールを含めた家電インターフェイスの総括など、携帯電話や生活空間における電子サービスを便利に使う為にスタートを切ったセンサーコアは、対応する義眼・センサーアイの開発を皮切りに人体の新構築スマート化を推し進めた。

 センサーアイの次に世間一般に利用者が多いのがセンサーリンクである。人体の神経系をバイオウェアに置き換え、脳からの指令を四肢をはじめ全身に的確に反映するためのシステムだ。

単純作業を効率化、ミスを限界まで排除・生産性を口上させる、という名目で広く社会に浸透したが、センサーリンクの効能はそればかりではない。

コアのメモリを拡張し、接続したセンサーリンクによる神経反射の増強、身体コントロールの向上、銃器の照準補正や同一通信に同期するなど、軍人、犯罪者、企業の工作員御用達の機能を盛り込めるというメリットもあった。


「代替臓器?」

首を傾げた花鈴に答えたのは、豊かな金髪をポニーテールにした女だった。キャスターがついているのに動かない椅子にかけて足を組み、タブレットの文字を青い瞳で追っている。

「必要な薬の摂取・分解機能をあげたり、毒物を排除するのにバイオ臓器を入れるのよ。バイオウェアを抜いたのは、製造番号から移植された個人を特定されるのを避けるためでしょうね」

「単純に使い回してるのかもしれないけどね?」

「よしてよドクター、誰に入ってたかわからないバイオウェアなんて怖いわ」

立ちあがった女が不安そうに我が身を抱き締める。出るべきところは出て引っ込むべきところは引っ込んだ、申し分のないボディラインに沿ったニットドレスは似合っていた。

「エレオノーラも物騒な渉外部門ってとこで、そういうの入れてたの?」

女の隣に花鈴が並ぶと女の背の高さが際立った。史狼ほどではないがヒールを除外しても百七十センチはある。

タブレットをテーブルに放りだし、女――エレオノーラが花鈴に笑顔を向けた。

「そうね、いい機材を入れてくれたから。でも辞めてから別のに交換したわ」

「どうして?」

「企業で人材に提供する機材は定期的にメンテナンスを受けるのが前提だ。企業を離れたらそうはいかない。扱いやすくて丈夫なものに切り替えざるを得なくなる」

「フリーは気楽だけど、そこだけが心残りだったわ」

企業に勤めた経験がない花鈴に答えたのは史狼だった。しかしエレオノーラの慨嘆を聞くに、企業に所属するのも悪いことばかりではないらしい。

話が途切れるのを待っていたように、老医師がもう一言付け足す。

「あとは、センサーコアが一度強制終了シャットダウンしたようだね。ウイルスに感染した形跡もあるし、起きるなり撃たれたら困るから出力系を切ってあるよ」

「コアがウイルス感染なんて穏やかじゃないわね」

エレオノーラが眉をひそめた。

 センサーコアは脳に設置するPCも同然であり、ウイルスに感染するとソフトの運用やセンサーに対応した四肢の機能に支障を来す。

センサーコアが社会に浸透してまもなく、ウイルスによる事故や事件が相次いで社会問題になったほどだ。医療担当者は暴走による被害に遭わないために、センサーコアを凍結ロックしたり四肢への出力を切る術を心得ていた。

「で、どうなんだ。死にそうか」

「助かるだろうね」

血まみれの医療用手袋をくずかごに放りこみながらの老医師の返答を聞いて、心底忌々しそうに史狼が舌打ちをした。

「担ぎこんでおいてそれかね。わしの腕をあんまり舐めてもらっちゃ困るよ」

 バイオウェアをかなり使っていたこの男の身体は、生命にかかわる状態になった段階で出血を抑制し、脳を保護するセーブモードに入っているという。

そのためせっかくセンサーアイであるのに、見たものを一時的に記録しておくログすら機能していなかった。

生命にかかわる状態になった原因は、炎と銃弾を浴びたせいだろう。

取れるだけのバイオウェアを外したのは、彼が危険な状態になってからのことらしい。彼は徹底的に取れるものは取られて廃棄されるところだったのだ。

「それと、体質かね。癒着がひどくて皮下装甲が外せなかったようだ。こっちは製造番号が読み取れたら連絡しよう。他に身元確認に使えそうな部分はないね」

 皮下装甲は名の通り表皮下に埋め込むバイオウェアであり、外的な攻撃から装着者を守る最後の砦となるものだ。犯罪者を相手にする警察、炎や災害の中へ飛び込む消防士やレスキュー隊員、自衛隊や所属する者なら当然の装備と言える。

しかし保護された男の場合は、身体に使われているバイオウェアの傾向は防衛寄りではなかった。皮下装甲に反射神経の強化、対毒物と思しき代替臓器。

 これは日本には公的に存在しない軍人まがいの強化だ。

 つまり重体で発見したとして、謝礼が見込める対象ではない可能性が高い。

そう判断を下した史狼はベレッタの安全装置を外して立ち上がった。

「金にならないんならもういい、殺す」

さすがに座視はできず、彼の右手に花鈴が、左手にエレオノーラがとびついた。両手で掴んで二人がかりで止めに入る。

「ダメよ待ちなさい、弾代とセドリッくんの修理費が要るのよ!」

「俺の車に妙な名前をつけるな」

「待って史狼ホントに待って、この人なにか情報くれるかもしれないし待って」

ずるずると女二人を引きずりながら簡易ベッドに近づく史狼を、ひと仕事終えて煙草をふかしながら老医師がのんびりと眺めていた。

「しかしそうすると、わしの治療行為には誰が金を払ってくれるのかね?」

「拾ってきたのは花鈴だ」

一秒の躊躇いもなく史狼が答え、彼からベレッタを取り上げようと苦労しながら花鈴が思わず悲鳴をあげる。

「うっそ?! うわそうだ。やっぱり待って史狼、絶対何か聞き出すから」

昨夜のドライブは花鈴の運転の練習に史狼が付き合っただけだ。そこで史狼の車に追手がついている身元不明の男を積んで戻ったわけで、これはいかにもまずい。

身元不明男から何らかの利潤を得ないと、ただ仲間に迷惑をかけただけになる。

花鈴必死の訴えを聞いて史狼の足が止まった。

そこで、それまで一言も話さなかった最後の一人が口を開く。

「ボクも厄介なことになる気しかしないけど、史狼。万分の一の確率でそいつが完璧な被害者だったら、ボクもちょいと寝覚めが悪いかな」

「わあキエロありがとう!」

史狼に何か言う暇を与えず、花鈴がその言葉にとびついた。

 割って入ったのは老医師の手伝いをしていた少女だ。花鈴以上に若い、それこそ十代前半であろう。やけに老成した雰囲気を纏い、緑の瞳がうっすらと光を放っている。

消毒用品を棚に戻して鍵をかけ、老医師に鍵を渡して戻ってきたところで史狼が不機嫌そうな声をあげた。

「おまえも九割九分九厘までクロだと踏んでるんだろ」

史狼の指摘にまあね、と肩をすくめ、大きすぎる白衣を脱いで花鈴を見上げる。

「でも最後の一厘がシロかもしれない。ボクは花鈴の選択を支持するよ。とりあえずここの支払いはボクと花鈴で割り勘しとくね」

「お金が入る宛ができたら、必要経費として返却するわよ。ねえ史狼?」

三対一では仕方ない。渋々史狼が銃を元通りホルスターにしまう。

 あの男たちに車のナンバーを見られていたら面倒だから、既にナンバープレートは交換してある。自分と花鈴の簡単なモンタージュぐらいはあるかもしれないが、警察でもあるまいし簡単には突き止められまい。そう思っての妥協だ。

 男の意識が戻ったという連絡があったのは、それから四日後のことだった。


「何も覚えていない」

「よし死ね」

ノータイムで史狼のベレッタが男の額に突き付けられた。

それでなくとも銃を持った追手がついているのははっきりしていて、どんな火種を背負っているかわかったものではない。これが駆け引きだろうが本当だろうが史狼にとって結論は一つだ。

史狼を止めに入ったのは、今回は花鈴だけだった。

「ちょ、ちょっと待って。記憶を探るとかしないの?」

ネットで行方不明者についての情報収集を中断して来たエレオノーラと、白いワンピースの上からローブを羽織ったキエロが困った顔を見合わせている。

「ねえ花鈴。その人が本当に記憶を失っているなら、よ。私たち、どうやってその人を助けた報酬を得ればいいと思うの?」

「嘘ならボクたちを利用するつもりだからね。今回ばかりは史狼が正しいよ」

「でも本当に記憶がないんなら、この人困ってるってことでしょ?」

「奇遇だな。俺もこいつの死体をどこに捨てるか困ってる」

侃々諤々の騒動の中で男は茫然と考えていた。

 手当して事情を説明してくれた医者も彼らも日本語を喋っているが、今いる場所が日本かは疑わしい。室内は清潔に整えられているが床材は剥がれ、天井板も数か所落ちている。野戦病院かというような趣だ。窓には分厚いカーテンがかけられていて外は窺い知れない。そしてなによりも、目の前に銃がある。

 シロウと呼ばれた黒いコートの男は見るからに険呑な雰囲気を漂わせていた。目つきがとにかく鋭すぎる。恐らく二十代後半、自分より年下ではないだろうか。

男の掌にはセンサーリンクのポートがあった。銃の照準補正を行うセンサーリンクは銃を持つ以上、手首か掌に接続部があるものだ。バイオ素材であれ金属剥き出しのポートであれ、センサーリンクが入っていれば見ればわかる。

この男が自分を厄介者だと思っているのは確かだった。

「おれは、殺されなきゃならないようなことをしたのか?」

自分を庇うように立つ女が振り返った。かりん、と呼ばれていた彼女の素通しの眼鏡ごしに、榛色の瞳がよく見える。驚いたのは彼女の両手、手首のどこにもポートがない。目の前に立っているから見えたが、肩にかかるぐらいの髪の間から見えるうなじにコアポートすらなかった。

彼女は現在少数派になりつつある、身体に機械を一切入れていない人間なのだ。

「おれの扱いに困っている……んだろ?」

「殺さないで済めばと思っているけれど、そうなのよ。あなたが覚えていることを全部喋ってくれたら、ちょっとは考えもあるのだけれど」

長い金髪の女の妖艶な容貌と流暢な日本語、それにそぐわない物騒な発言に素直に驚いた。胸のボタンが飛びそうなシャツスタイルで下はタイトスカートと、秘書じみた装いをしている。手首にリンクポートがあるということは、少なくともリンクソフトは使えるし銃も持てないことはない。

考えてみたが、頭のなかを覆い尽くしたもやは晴れなかった。

「どうだろう。名前も思い出せない、し」

「これ、どうぞ」

横から花鈴が、洗面台の前にあるような大きめの鏡を差し出す。受け取って覗きこむと、三十代ぐらいの男が映っていた。

 太い眉と穏やかそうなはっきりした目。人工眼球センサーアイだと聞いているが、よくある茶色の虹彩だ。短い髪に少し癖があって毛先がはねている。人が良さげで荒事には縁がなさそうな風体に見えた。

「顔は派手にいじった跡があったそうよ。元の顔ではないでしょうけれど、いくらか見覚えでもないかしら」

エレオノーラの解説は聞こえているが、男の頭にはあまり頭に入ってこなかった。何か思い出せないかと思ったが、顔を見ても全く埒が明かない。

「じゃあ、ボクが『何』かわかるかい?」

椅子を立ったローブの少女がすたすたと歩み寄ってきた。

十二、三歳ほどで身体も小柄だ。ショートカットにした栗色の髪、抜けるように白い肌。外国人だと見てすぐわかったが、彼女も随分と日本語が流暢だから入国して長いのだろう。

そして。

底光りする緑の瞳に怯えを感じて思わず腰が引けた。

「……『ゴブリン』だろう?」

 世界の異変のひとつ。常識のせいかそのぐらいは知っている。

 人類に変異種が現れはじめたのは前世紀の終わり頃だ。彼らは科学では説明できない現象を引き起こす、いわゆる『魔法使い』として世界に混乱を巻き起こした。

生まれながらにそうである者もいるし、ある日突然そうした力を得るものもいる。

いわゆる変異人種たちは淡く光る緑の瞳になったり、皮膚が緑色を帯びたりしたことから、西欧諸国を中心に『ゴブリン』という呼称が広がっていった。

「社会常識はわかってるようだね。そうそう、ボクはキエロって言うんだ」

頷く少女が人差し指をたてると爪の先にぽっと小さな炎が灯る。

思わずびくっと身体が震え、微笑んだ少女は火を消し、椅子へ戻っていった。

「名誉だ人権だなんてたいそうな御託は俺たちにはない」

額に触れていた冷たい銃口がごつりと力を込めて押しつけられる。

「だがその蔑称を使うことで、おまえが国援系企業に属していたのがよくわかる。都市の郊外みたいなゴミ溜めは見たこともない手合いだ」

「……蔑称……」

自分はあの少女を貶めたのか。眼鏡の娘が少し悲しそうな表情で見つめてくるのから、男は身の置き所のない想いで目をそらした。

「答えろ。俺を見て何を考えてた」

何を? 何を答えたらいいのか。そんな迷いを見てとった史狼は目を細めた。

「今思ったことを全部言え。『ゴブリン』よりは言いやすいだろ」

痛烈な皮肉を浴びせられ、男の腹の底が熱くなった。

 何故こんな目に遭わなければならないのか。自分だって記憶も何もないこの状態が怖いのに。かっとなった勢いのまま感じていたことを口走る。

「おれが殺されたって、凶器がベレッタってだけじゃ警察があんたを逮捕できるか怪しいってのはわかる。なにせ数が多い。けどな、そんな脅しをかけられても何をどうしたらいいかわからないよ。なあ、おれは何をしたんだ?」

怒りを隠さずにまくしたてたが、男の表情はわずかも動かなかった。身を乗り出した途端にあちこちに痛みが走る。

「信じないだろうが何も思い出せないんだ。あんたたちがおれをこんな目にあわせたんじゃないだろうな?」

ぐいと銃口が強く押しつけられた。それが黙れという意味なのはわかった。

「ねえ、貴方。私たちの仲間に結構な暴言を吐いてくれたのは、記憶がないという免罪符をもって今は流すとしてもよ」

突然、金髪の妖艶な女が口を挟んだ。

口ぶりからするに先ほどの自分の発言に少なからぬ怒りを覚えているのだろう。

「まずはっきりさせておくわ。貴方は、貴方を唯一庇っているその眼鏡の子、花鈴に救われたの。その子にはちゃんとお礼を言って欲しいわ」

額に押しつけられていた銃口の感触が離れていく。顔をあげると、男のベレッタに眼鏡の娘が手をかけて下げさせているところだった。

「それは……ありがとう。申し遅れてすまない」

「いえ、半分は成り行きなので、お礼を言われることじゃないんです。それに」

かけていた眼鏡を外すと、現れた淡い榛色の瞳は淡い緑光を帯びている。素通しに見えた眼鏡は目の光を隠す偏光レンズだったのだ。

反射的に息をのむ男の反応に、彼女はそっと目を伏せた。

「私も魔力というか、そういうのがあるくちなんです。魔法は使えないけど。怖がらせてごめんなさい」

史狼が苛立たしげな舌打ちをした。眼鏡の娘にもう一度手をかけられ、渋々銃をコートの内側へとしまいこむ。金髪の女――エレオノーラは端末から通信ログを呼びだして音量をあげ、その場に流した。

 ログが再現したのは、四日前の夜。史狼と花鈴の会話、どこからともない出現。助けを求める自分の声、追手による追撃、そして銃声と車のタイヤが軋む音。

聞いてみれば、置いて行かれなかったのが不思議な状況だった。

「じゃあ、おれはどこから来たんだ」

「ここにいる誰もそれは知らないのよ。貴方が誰かも、何故そんなひどい怪我をしていたのかも。つまり貴方をこのままここに置いておくことは、リスクなの」

ぽかんとして、男は目の前の四人の顔を順に眺めた。

「……リスク」

「そうだよ。君の声を聞いただけでそっちの二人は撃たれかけたんだ。ボクたちにすればキミがいるだけで、どこの所属かわからない集団に襲撃される可能性が極めて高いってことなんだからさ」

つけつけと栗色の髪の少女が容赦のない指摘をしてみせる。

思わず恐怖で咽喉が鳴った。

自分の両腕を見下ろすと、皮膚の焼けた痕が目立つ。両の掌にはリンクポート、首筋にはコアポート。痛みを感じる胸から腹へ縦に裂かれた傷。膝の上には撃たれた痕もある。

目覚める直前に見ていた夢を思い出した。


夢で自分は炎に呑まれて、撃たれて、ひどいめに遭っていた。それからセンサーリンクが再起動して、死にかけていた……。


震えていると、溜息をついた史狼という男がつっけんどんに口を開いた。

「おまえは何故、警察を呼べと言わない?」

「……え」

問われて初めて、男は警察という存在を思い出したような気がした。

 そうだ、普通は警察に助けを求める。焼かれ、撃たれ、今は銃を突きつけられているのに、警察を頼ろうという気持ちが少しも沸いてこなかった。

目の前の男が銃を持っていつ撃たれるかわからないから、ではない。

警察と関わりたくない、近づきたくない。警察沙汰にはしたくもなりたくもない。

そう思っている。自分が。

愕然として口をぱくぱくさせる男にはお構いなしで、史狼が更に言い募った。

「こんなご時世でも、そこらを歩いてるまっとうな日本人が銃を見るのは稀だ。あれがベレッタだとよくわかったな。見たことがあるのか?」

男は目を瞬いた。あれはベレッタ92FSで間違いない。無論、警察に見咎められれば不法所持で逮捕は確実だ。そんなものを自分が見たことがある?

「そ、そんなのゲームとか、銃のマニアとか、あるだろ」

「確かにここらで銃だけで俺を特定するのはラクじゃない。だがベレッタがここらじゃ多いことをよく知ってたな」

「それは……」

 92FSは古い銃だが流通量が多く、扱いやすさから国内にもかなり入っている。殺人の凶器として使われたなら捜査はさぞかし難航することだろう。

でも何故そう思うのだろう、と自問する。わからない……否、予想はつく。

「おまえは俺の同類だ。銃を扱う汚れ仕事の経験があるだろう」

自分では口に出せなかったその結論を、史狼が無造作に突き付けてきた。

返す言葉もない男をよそに、エレオノーラが首を傾げて苦笑する。

「バイオウェアがなければ、サバイバルゲームのマニアもありえたのだけどね」

「おれの身体に入ってたバイオウェアって、身体改造ガイドラインの規定内じゃなかったんだろうか……」

「思いっきり違法ラインよ。身分証明を持っていない以上、即逮捕だわね」

エレオノーラににこやかに返答を叩きつけられ、男はがっくりと肩を落とした。

 日本においては公的に『軍人』がいないため、身体改造は自衛隊員や海上保安員、警察などの組織に所属するものだけに限られている。当然法でも規定されていて、民間人に許された範囲を超えた身体改造は違法行為だ。

そうした意味でも自分が警察に行きたくないのだなと再認識する。

「反射神経の増強とか皮下装甲とか強化してる割に、軍人なら必須のボディの内蔵武器とかないし。やっぱ企業工作員あたりだろうね」

エレオノーラが肩をすくめて笑い、キエロと名乗った少女が深く頷いた。

説得力があるのはわかるが、そうは言っても自分がそんな世界に身をおいていたとは信じられない。

「ぐ、軍人なみに強化した工作員なんて、本当に企業で使っているのか」

問いかけに返ってきたのは、なんとも微妙な沈黙だった。困ったような顔をしているのは花鈴だけで、残りの三人は醒めた視線をぶつけてくる。

「……これがとぼけてるんなら、とんだ食わせ者だよねホント」

しかめ面のキエロに上から下までじろじろと観察され、男は思わず首を竦めた。

「じゃあ工作員だとして、何か失敗をして、しょ、処分されたとか」

だとしたら、自分が生きていると知れたらまずいことになるのではないか。想像しただけで恐怖で舌がうまく回らなくなる。

「ないとは言えないわね。敵対勢力に捕まって身ぐるみ剥がされたのかもしれないし。それに貴方、コアがウイルス感染していたけれど、何か身に覚えはある?」

「えっ?」

センサーリンクで全身の神経がコアのコントロールを受けるようなタイプにとって、コアのウイルス感染は死活問題だ。青ざめた男を宥めるように、エレオノーラが両手をひらひら振ってみせた。

「たいしたウイルスではなかったわ。一番大きな影響としては貴方の位置情報を発信できないようになっていたの。だから気になったのよ」

「位置情報……」

「エレオノーラがウイルスを除去したんですが、位置情報がどう転ぶかがわからなかったので、発信しないようにしてあるそうです」

花鈴から驚くべきことを告げられて男は目をむいた。

センサーコアは脳と直結する最も身近な端末であり、当然ながら外部からの不正操作などの被害に遭わないようセキュリティも用意されている。ウイルスを除去とか発信しないようにとか、気軽に行える作業ではない。

「じゃあ君はもしかして、コアエンジニアか?」

期待をこめた男の視線を浴びたエレオノーラは、花が開くように優雅に笑ってとんでもない一言を放った。

「エンジニアの免許はないけれど、そのぐらいの腕はあるわ」

「はあ?! 資格がないのにおれのコアをいじったのか?!」

絶叫である。勝手に頭をいじられたも同然で無理もない反応ではあった、が。

至近距離で銃声が響き、男は口から心臓が出そうなほど驚いて鏡を取り落とした。咄嗟に横から花鈴が鏡を受け止める。

視線だけ動かしてみると、座っている簡易ベッドのマットレスとシーツに穴があいていた。ただでも人相がいいとは言えない史狼が三白眼を細めて唸る。

「次に大声出しやがったらコアを吹き飛ばしてやる」

いつの間にか彼の手には再び銃が握られていて、こめかみに銃口を押しつけられた男が口を開けたまま固まった。史狼の行動に慣れているのか、見るからに最年少のキエロですら微動だにしない。

「わあ、そしたら手入れが必要なくなってラクだね」

「話を戻していいかしら?」

にこやかなエレオノーラに男がぶんぶんと首を縦に振る。

「貴方の位置情報がわかって起こることを考えたらね。ウイルスも放ってはおけなかったし、勝手にしたのは悪かったけれど、非常対応と思ってちょうだい」

「えっとつまり、来るのがあなたの味方だけならいいんですが、あなたをそんな目に遭わせた人たちにばれたら困りますから」

鏡をサイドテーブルの上に置いた花鈴が事態を整理して説明した。

位置情報の発信を設定したのが彼の味方なら仲間がくる。だがその場合、救助した自分たちに好意的な対応をとるとは限らない。

少し考えにくいが、彼を傷つけた敵がウイルスの除去を見越して設定していったのなら、当然襲撃が行われる。見つかればこの場の全員が抹殺対象だろう。

「ここの爺は死なれちゃ困るからな」

史狼の呟きで男ははっと我に返った。ここには自分だけがいるのではない。

「……そうだな。おれの為に他人が巻きこまれるのは、その、だめだな」

自分で口にした言葉に自分で恐怖をおぼえた。

悪夢のようだ。あの熱さも、あの痛みも、夢だけならどんなによかったか。

しかし目覚めても身体にははっきりと、焼かれて撃たれた痕跡が残っている。

「おまえ、俺たちに回収されたこと自体覚えてないのか」

眉間にしわを寄せた史狼に問いただされて男は身を縮こまらせた。彼の機嫌を損ねるのは生命に直結する危機のような気がするが、気になっていることもある。

「はっきりとは……。おれを運んでいた車って、救急車じゃなかったのか?」

「そこらを走ってる宅配とかの小型貨物車だ。どう考えても荷物扱いだな」

ひどい話だ。しかも瀕死の工作員が荷物としてどこかへ運ばれる途中だったなら、一つとして楽しい想像が浮かんでこない。

埋められる予定だったのか、薬剤で溶かされる予定だったのか。

手掛かりになりそうなことを考えていたらしい花鈴が首を傾げた。

「あの夜撃ってきたのがどこの人たちかわかれば、身元とか調べる手掛かりになるでしょ? ねえエレオノーラ、VINシステムに侵入できるよね?」

「もちろん出来るわよ。彼本人を調べるのも手だし、ねえ史狼?」

許可を求めるようなエレオノーラの言葉を史狼は手で制した。

「それはこいつが選ぶことだ」

「えっ?」

疑問符だけで問いかけると、彼は突き放したような口調で続けた。

「何もかも忘れたままで生きて行くという選択はある。何があったか詮索せず、顔を変えて、自分に出来ることを仕事にすればな。普通に考えてそれが一番安全だ」

 思いがけない言葉だった。

 確かに触れなければ、詮索しなければ、何事もなく生きていけるかもしれない。それはいい考えのような気がした。

「治療費を請求する関係上、俺はお勧めだな」

「そんな理由なのか!」

「外科治療に抗生物質投与、栄養剤に輸血でボクと花鈴、結構な出費だよ?」

請求書をひらひらと振って見せながらキエロが笑う。この四人の中では一番常識的だと思っていた花鈴までもがこくこくと頷いている始末だ。当然だが今見せなくてもいいだろうにと思いながら受け取って、二度驚いた。

「何だこれ、こんな高いはずがないだろ!」

「身元も知れないのに健康保険が使えるなんて思っていないわよね?」

「……あ」

エレオノーラの無慈悲な指摘で現実を思い知る。

治療費が結構な高額になったのには、実費が必要な以外にも理由がある。

普通の人が普通の病院にかかるのとはわけが違う。非正規のルートで手に入れた医薬品や器具、それに闇医者への手間賃は結果として相当な割高になりがちだ。

男は思わず両手で顔を覆った。


今の自分には過去も、金も何もない。

何もかも忘れるのが無難だということはわかっている。

けれどそれは『何かがいつか来るかもしれない』という恐怖を常に伴う。それも、一体何が引鉄になるかは自分ではまるでわからないままでだ。

それに。

こうなる前の自分には同僚も、家族もいたはずなのだ。でなければどうしてこんな――世界に取り残されたような寂しさを感じるというのだろう。

自分は誰で、何をしていたのか。どうしてこうなったのか。

自分という人間の過去を知りたい。その気持ちを抑えることはできそうにない。


「『おれ』のことを調べられるような……探偵とか、いないか」

見上げると、史狼は眉間に深いしわを刻んだ。振り返って女性陣の反応を見る。

誰も拒否しないのを見てとると、面倒そうに頷いた。

「いいだろう、俺たちで引き受ける。合法・違法問わずあらゆる手を使って、おまえが何者かをおまえの気が済むまで調べる。出来る限りおまえの身も守るが、金は現状一円も貰っていないんだ。おまえもそれなりに働いて貰う」

思わぬ返答に、男はとっさに言葉が出なかった。ついさっき自分に銃をぶっぱなした男に身を守ると言われても、説得力があるはずがないではないか。

そもそも。彼らが救ってくれたのは聞いたが、彼らが何者なのかも知らない。

「……君たち、何をしている人たちなんだ」

どうやら不安がありありと顔に出ていたようで、苦笑した花鈴が口を開いた。

「私たちはチームで札幌の周辺で護衛や調査を請け負っています。正規企業や法的範囲に比べたら『融通がきく』渉外業者です。聞いたことないですか?」

「出来ることは何でもやる。食っていくためにな」

つまるところそれが彼らの生業なのだと呑み込めて、男は考え込んだ。

 なんと言うんだったか。そう、非合法活動者アウトソーサー、だ。そう呼ばれる存在がいることは知っている、というか、常識の一部としてあった。

合点がいった顔になった男に、エレオノーラが艶然と微笑む。

「まあ。犯罪者を見るような目は困るわ。あなたたち企業に属する人たちだって、自分の手を汚したくない場合は私たちのような者に依頼するでしょう?」

「……そんなこと覚えていないよ」

「じゃあ企業にいた身として証言するけど、『外部委託』はかなり多いよ。特に企業体力のない会社にはなくてはならないよね」

キエロが男のほうを見もせずに肩をすくめる。考えてみれば、自社で工作員を養成する技術も資金もない場合、外注に出すしかないわけだ。

正直なところを言えば、法を犯し社会の正しい在り方を歪める社会不適合者たち、という認識しかない。しかし自分も不法に身体を改造した工作員だったのなら同じこと……どうあれ非合法なのだ。


彼らの手を借りるべきなのかを一瞬考えこんだ。

自分が本当に企業の工作員なら、調査は穏便にすまない可能性が高い。

そして警察には頼りたくない。普通に考えてそれが一番確実で正しいはずなのに、どうしても選べなかった。


拾った彼らにすらこれほど不審がられている自分が、他の人間に依頼を出来そうにないとも思う。現状一番怪しいのは自分、なのだ。

出来る限り、と史狼が言ったのが気になったが、他に選択肢はなさそうだった。

「わかった。よろしく頼む」

「必要経費は請求書に追加させてもらうわ。何かご質問はあって、依頼者さん?」

エレオノーラに水を向けられて、男は戸惑いながらキエロへ視線を向けた。

他の三人は今の説明で納得がいくとしても、彼女は義務教育を終えているようには見えない。となると――。

「その、彼女は君たちに保護されているのか?」

「はあ?」

驚いたような声をあげたのは当のキエロだった。光を放つ瞳をぱちぱちさせてからぎゅっと眉を寄せる。小さな唇からつんけんした声が飛び出した。

「君も『ゴブリン』って言ったじゃないか。ボクはチームの一員で魔法を使う魔物だよ。それで仕事してお金を貰って生活してるんだ、馬鹿にしないで欲しいね」

「いや、それはその、失言というか。でも君はまだ子供じゃないか」

「だから何だって言うのさ。こんな世界じゃ誰も守ってくれないよ」

憤慨した様子のキエロが背後にあったカーテンをじゃっと音をたてて引いた。

差し込む光に目が慣れると、目の前の異様な光景に肌が粟立った。

 ここが何階かはわからないが、少なくとも地上に近い階ではない。すぐ前にあるビルにはたくさんのひびわれと弾痕が穿たれ、窓ガラスは半分も割れていなければいい方だ。外壁すら剥がれた躯体は鉄骨がのぞく。

その背景へ目をやると、荒涼とした大地が広がっていた。

春を控えた北海道だからというだけの話ではない。五階建てぐらいの低めのビルは傾き、その隣には倒壊した建物の残骸が見える。道路には大きな亀裂が走っているところがあり、道なりの建物もかなり傷みが見えた。

「……ここはどこなんだ」

「北海道、札幌市に隣接する北広島市よ。まあこの辺りがこんなに荒廃したのは、ロシアの侵攻が原因なのだけれどね……って、覚えている?」

ロシア侵攻。呟いてみると、ぼんやりとした情報が頭に浮かんできた。


 前世紀の終わり頃、世界に相次いで異変が起き始めてすぐのこと。ただでも不安定だった世界情勢は、『魔法使い』、つまり人類の変異種という絶大なイレギュラーの発生により均衡を失った。

世界の各所で紛争が起き、日本ですらその災禍を免れることはできなかった。

北西から中国の侵攻を招くと、友好先の保護という名目でロシアの極東連邦管区サハリン州軍が北海道へ侵入。それはロシア連邦の総意ではなかったというが、サハリン州軍にはハバロフスクなどオホーツク海沿岸の州軍が参入。

それはアメリカの介入を招き、二年にわたる戦禍が北海道を蹂躙した――。


自身が体験した事でないことはすぐにわかった。常識の一部の知識に過ぎない。

恐らくその戦禍のさなか、自分は北海道ここにはいなかった。

「それは……覚えてる、というか、知ってる」

「だろうな」

正しい言葉遣いだと言わんばかりに史狼が相槌を打ったが、男は今にも倒壊しそうな目の前のビルから目を離せなかった。

ビルがあんな様子では、市街はいったいどうなっているのか。自分はとんでもない世界へ放りだされてしまったのではないか。

頭がいっぱいいっぱいの男の顔を覗きこんだエレオノーラが眉を寄せる。

「ちゃんと頭に入っているか心配だわ。話を戻すけれど、キエロは前哨戦闘魔法士スカウトソーサラーとして日本の企業に所属していた魔法使いよ。どこの企業かは言えないけれどね」

「……斥候スカウト……」

返す言葉を失った男が茫然とキエロの方を向いたが、彼女は唇を尖らせてぷいと横を向いてしまった。すっかり機嫌を損ねてしまったらしい。

「『買われ』た企業に六年いたんだ。記憶のない君よりは余程、企業のこともやり方も知ってるつもりだよ」

それでは人身売買ではないか。ありえないという想いと、『魔法使い』という才能に値がつけられない価値があると判断する理性とが同時に男に湧きあがる。

不安と混乱に囚われかけた男の意識を引き戻したのは、花鈴の言葉だった。

「彼女は私たちの仲間で、戦力です。それを忘れずに対して貰えませんか」

四人の中で一番、男に対して同情的で親身なのが花鈴だが、それでも声は硬い。

彼女たちにとっては仲間を侮辱されたに等しいのかもしれない。しかし。

 幼くすらある歳の少女が自身を『魔物』と評すること、仲間が彼女を『戦力』として扱っていること。どちらも男には俄かに受け入れ難い事象だった。

だとしても、今自分は彼らしか頼れないのだと思い直す。

「失礼なことを言った……改めて君たち全員に、お願いする」

唇を噛み、男は頭を下げた。張り詰めていた部屋の空気がいくらか緩む。

少しも気を許す感じのない史狼が睨みつけるように釘をさしにきた。

「調査の途中で利益になる情報が出たら、それは俺たちで利用させて貰う。慈善事業はまっぴらだ。料金を踏み倒そうなんて気は起こすなよ」

首がもげるのではないかというほど男は首を横に振った。

今は金も何もない。しかし救われた礼をするのは当然だし、大声をあげただけで銃をぶっぱなす男相手に料金を踏み倒そうなどという度胸もない。工作員だったとしても彼に勝てる気はしなかった。

微笑んだエレオノーラが椅子を立ち、楽しげな笑みを浮かべる。

「本格的にお仕事ね。せいぜい赤字にならないように頑張りましょうか」

キエロはまだ男の方を向くつもりはないようだが、窓際でやれやれと肩をすくめていた。その仕草がやけに大人びている。

「ボクと花鈴は既に赤字だよ。まあボクが払うって決めたんだからいいけど」

「だから九割九分九厘クロだと言っただろうが」

吐き捨てた史狼が懐から黒い煙草の箱を出すのを男はぼんやりと眺めていた。

ナチュラル・アメリカン・スピリットのペリックボックスだ。自分が喫煙者だったかは覚えていないが、あの煙草が高かったことはわかる。

以前から高かったが世界的な異変による流通量減少、かつ税制改革で嗜好品の税率が跳ねあがり、いまや一箱千円近くする贅沢品だ。

見つめていると、出した煙草の端を箱でとんとん叩いて葉を詰めながら史狼がじろりと見返した。癇に障ったかと首を竦めると、思いの外穏やかな声が降ってくる。

「身体は守れても精神までは面倒みきれん。おまえの過去はおまえが向き合え」

驚くほどに乾いた口調だった。これから何を見ることになるのかを知っているような、達観した――いや、老成した感すらある。

「……もちろんだ」

自分のことだ、当然だ。

そう思いながらも縫合後がひきつれる傷口の奥で、恐怖が蠢くのを感じる。

ひどく咽喉が渇いていた。

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