2時間目
午前の授業が終わった。
昼休みの時間。友達もあまりいない私は、自分の机で1人
おにぎりを食べる。
親は仕事で忙しいため、朝自分で握ってきたものだ。
中身は、梅干しと卵焼き。梅干しは甘ずっぱくて、卵焼きはちょっとしょっぱかった。
最後の一口を麦茶で流し込み、トイレへ急ぐ。
トイレで歯磨きを済ませてから、もう1度教室に戻って筆箱とノートと文庫本を
抱えて1人、図書室に向かった。
図書室には、誰もいない。図書委員は仕事をいつもサボっているためここには誰もいない。私1人だ。
窓に向かって並べられている机に座って、絵を描く。
今日はなんだか、調子がいい。学校の向かいには、小さな山と川がある。
すごく綺麗で、この景色は大好きだ。
校庭では、男子がボールを追いかけて走り回っている。
毎日毎日同じことを休まず繰り返して、飽きないのか。
だが、私も人のことは言えないくらいずっと同じように過ごしている。
もしかしたら、考えは同じなのかもしれない。
「あ...上田先輩だ...!」
つい呟いてしまった。
焦って周りを見渡したが幸い誰もいなかった。よかった、と胸をなでおろした。
ほっとしたのもつかの間、自分の中でどんどん恥ずかしくなってきてしまった。
今の時点でもうどうでも良くなっているはずなのに、なぜだか顔を赤らめてしまった。その事が1番恥ずかしく、そして、嬉しくもあった。
上田先輩がけったボールが今、まるで吸い込まれていくようにゴールした。
キーパーは全く反応出来ていなかった。それほど強く、速い
怖いけれど、少しだけ気になる。もし、私がサッカー部で、キーパーをやっていたらとれただろうか。
絶対に取れていないと思う。
上田先輩がボールをける直前、時間が一瞬遅くなった。スローモーションで私には見えた。
頭がおかしくなったのかと思ったが、恋のせいだ。と勝手に思い込んだ。
校庭に視線を移すと男子がみんな片付けを始めていた。そろそろ昼休みが終わる。
描きかけの絵と読みかけの本と筆箱を持ち、
椅子を片付けた。
その時、校内にチャイムが大きく鳴り響いた。
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