1時間目

昨日の夜、絵を書き続けていた私はHRの最中、ずっと欠伸あくびを噛み殺していた。

それからずっと、1時間目が始まる前まで外を眺めていた。こういう時に、窓側の席でよかったと感じる。

私が1人、ぼーっと外を眺めていると教室の戸が開いて数学の先生が入ってきた。


正直、勉強は苦手だ。特に数学。大嫌い。

連立方程式なんて、何を言っているのかさっぱり分からない。これが将来、役に立つと全く思え無い。

数学の授業は子守唄レベルに聞き流しているため、授業の最中は暇で仕方が無い。

授業をまじめに受ければ、暇じゃなくなる。というのは分かる。分かってはいる。が、それが出来ていたら苦労はない。


3年生の1時間目の授業は、体育だ。

外で体操をして、校庭をだらだらと走り、その後に各自で陸上の競技の練習をしている。

先輩、どこにいるんだろう。

校庭を隅から隅まで見回す。見つけた。

やっぱ、上田先輩が1番かっこいい。

サッカー部のキャプテンで、エース。身長も高くて、優しくて、運動神経抜群。おまけに面白くて、頭だっていい。

まさに完璧超人だ。


私が先輩に恋したのは、体育祭の時。

部活ごとの対抗リレーがあって、先輩はアンカーだった。

サッカー部の前には、野球部とバレー部がいて走ってた。野球部のアンカーは、キャプテンの大田先輩。バレー部は、セッターの高橋先輩だった。

2人とも、凄く足が早かった。

大田先輩は、地区陸の100mで1位を取った実力者だし、高橋先輩は小学校の時の陸上部だ。

でも、サッカー部は優勝した。

野球部もバレー部も追い越してぶっちぎりで1位だった。

私はその時、手を叩きながら飛び跳ねた。

泣きそうになりながら、1人で笑い続けた。

凄く、かっこいい人を見つけてしまったから。


その瞬間、私の恋が始まった。






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