第21話イギリス本土撤退戦 後編

5月10日 0800 

ついにその日が来た。この日は特にこれといった敵襲がなかった。なんというか今日の天気は大雨であったね。本来ならば飛行不可能ということになるんでしょうが今日ばかりは飛び立つだけでこの基地には戻ることが無いから出撃となるね。

敵サイドもこの悪天候では飛べる状況ではないようで幸い空襲はなかったね。

そして私たちは食堂で久々のコメを食することができたのは嬉しかったね。まあ、ダージリンたちは驚いていたようだけど。「日本で客将として戦うなら日本の食物にも慣れないとね」とか言って美味しそうにご飯を食べていたようね。

そして朝食後ピストにて司令から今回の作戦のブリーフィングが行われた。

内容は撤退する部隊の援護するべく制空戦闘が主体で燃料の続く限り戦闘を行い、補給は港郊外にある港湾道路にある非常用滑走路に降りて燃料、弾薬の補給を行い撤退の援護を行えとのことであった。そして撤退時間は今日の1630に最後の脱出船団が出航するとのことだ。そして補給のリミットは1430が最後の補給可能時刻だそうだ。その後に降りても機を捨てて乗船する段取りとなってる。イギリス軍に残っているガソリンも残りは少なく。ジェット用のケロシンは大量にある上にスペアエンジンもあと30機分60機のエンジンがあるそうだ。弾薬も十分あるそうなので大いに活躍せよとのことだそうね。

で、今回の通信管制は機動部隊に帯同してきた戦艦金剛の通信指揮所でおこなわれるそうだ。まあ、金剛にとっては里帰りしたということだろうけれど彼女が生まれた故郷がこの有様となって彼女はどう思うやら・・・。


まあ、私たちの部隊はジェット機なので滞空時間は良くて2時間そのためギリギリまで出撃は行われずレシプロ機の連中が先に離陸し艦上爆撃機、艦上攻撃機、爆撃機やスワローDを飛ばす連中は皆爆装し飛び立った。そして15分後私たちジェット戦闘機部隊も基地を飛び立ったわね。まあ、その頃には天候も回復しロンドン方向から多数のジェット戦闘機やアメリカ陸軍最強戦闘機であるP=51D型やH型がファイタースイープにやってきたようだよ。


で、私は管制官の指示を聞きながら敵編隊を発見し編隊内電話で敵発見を伝えて流れる動作で燃料コックを切り替えて増槽を落として機銃の発射装置を撃発状態にして戦闘に移ったわね。で、私の背後にはダージリンがついてきているようだけど彼女もなかなかの腕前のようね。そして太陽から逆落としで敵ジェット戦闘機を続けざまに2機撃ち落として急上昇したわね。そしてジェットとの空戦が終わるとB29の迎撃も行ったけれどB29を3機血祭りにあげたところで燃料と弾薬切れになったので私たちは補給所に降りたわね。まあ、爆装したスワローの連中もロケット弾や爆弾を戦車やらトラックに叩きつけたあと同じく戦闘爆撃機であるP47やP4U、フォッケやらMe410なんかと交戦していたみたいね。

そして補給後即座に出撃を何度も繰り返したわね。そして補給所から赤色の信号弾が上がる。撤退の合図があがった。それを見た私は隊内電話で言う。

「ダージリン。ペコ、ローズ、アッサム燃料あるか」

「ダージリンはあと30分はありますわ」

「ペコも全速で10分巡航で30分前後です」

「ローズはあと20分といったところですわね」

「アッサムはあと15分ですわね。油圧も怪しいです」

「わかったローズとアッサム、ペコは会合地点に到着後パラシュートで脱出しろ下手して甲板を壊したら後が困るからな」

「判りました。ルシファー隊長は」

「私はのこり全速で30分ほどね。ギリギリまで粘るわよ」

「判りましたご武運を」

そう言ってアッサムとローズヒップ、オレンジペコの3人は会合地点へと引き上げていく。私たちも殿の艦上攻撃機「流星」の護衛をしつつ会合地点に到着したわね。そして神谷隊長率いる第一小隊の方は隊長だけが残っているという状況だったわね。そして私はジェットだったので空母信濃へと着艦せよとの信号を受けて私は限界まで速度を殺しフラップを使って非常用着陸フックを使って着艦ワイヤーに引っ掛けることに成功したわね。その時の制動索は8番索だったそうね。で、無事におりれたわけで隊長は残念ながら燃料切れで近くのトンボ釣りに助けられたみたいね。で、ダージリンも着艦技能持っていないということで着水をえらんだそうだね。

で、私達は皆信濃の客人として居候することになったわね。

で、そうこうするうちに高槻たちの艦上攻撃機「流星」も綺麗な三点姿勢で3番索にフックを引っ掛けて綺麗な着艦をしていたみたいね。

で、私たちは士官用風呂場に案内されたわね。なんでもこの日の疲れと汚れを洗ってくれとの労いなんだろうね。


で、衣服を脱いで洗い場で体を洗おうとすると隊長達も同じようにしていた。

「なんや~。あんたも来たんか」

「ええ。隊長も無事で何よりですよ」

「ほやな。しかしなんだな。ウチラの活躍も結局役に立たなかったなぁ」

「全くですね。って。あら隣にいるのはダージリンたちじゃあないの」

「ええ。私たちもこの船に客将として參りましたわ。しかし私たちの機体はないそうなので員数外ということになりそうですね」

「そうやな。ま、員数外なのは相変わらずやけどな~。しかし、どうや日本の風呂は」

「まさかこれほど気持ちのいいものとはね。今まで経験しなかったことが残念ですよ」

「そうやな。まあ、古代ローマで風呂文化はあったみたいやけど、キリストさんのおかげですっかり排除されてしもうたしな。なんというか砂漠の宗教やさかい風呂という水を浪費する文化を排除しようとしたんやな」

「そうかもしれませんね。で、体臭を消すために香水をしていたわけですが・・・」

そうこうしていると浴室に新たな客が入ってきていた。

「失礼するわよ。あら。先客が居るようね」

「だれや~。って女王陛下じゃあないか。まあ、ここではどんな身分の人も等しくする場や。遠慮しないで入ってきていいで~」

「そうです。私がリードいたします」

と入ろうとするのをみて私は指摘する。

「陛下。ここでは全裸が基本ですのでそのお召し物は全て脱いでもらいましょう」

ダージリンもまた同意する。

「陛下。ここは日本の船です。日本の風習に従うのが良いかと」

「そうね。ではダージリン。脱ぐのをてつだってもらえるかしら」

「わかりました」

それを見て神谷隊長は言う。

「なんや~さすが麗しき愛情ってやつか~」

「そうですよ。背中を流してもらえるとたすかるけれどね」

「ん~わかったで~。でも、ここの石鹸は宮様達も使っているという石鹸や泡立ちがいいから綺麗になるで」

そんな感じで洗っているのを私は浴槽でのんびり見ているとそのまま意識が飛んでいくのを感じたわね。まあ、流石に20回近くの連続出撃は堪えたということかしらね・・・

で、気が付くと私は下着姿でダージリンに膝枕されていたという状況だったわけで

流石の私もすぐには飲み込めなかったわけよ。

「あの~。これは一体」

「ええ。貴方風呂でのぼせたのよ。で私たちが引き上げて私が看護していたそれだけ」

「そう。感謝するよ」

といって立ち上がろうとするといきなりダージリン抱きついてきた

「あら。あれだけのことしてこれですか少し寂しいわね。私にもおねがいできましょうか」

で、ことに及ぼうとすると風呂から上がってきたペコたちがやってきて。

「あー。ダージリン様抜け駆け厳禁です~」

「そうですわ。ユキは私達皆のモノですわよ~」

「あの~。私の意志はどうなるの」

「ですが私たちは皆あなたを愛してしまった以上これが最善の策ですわ~」

「あのね~」

という感じでいつのまにかタチネコが逆転しちゃったようね。これから私はどうなるやら。


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