第17話 戦場のメリークリスマス

1944年12月 ケンブリッジ近郊


12月になり天候がかなり悪化して敵も味方も航空攻撃が困難となるも敵も味方も少数での嫌がらせ攻撃や偵察を行っており、私たちも日々の哨戒戦闘任務は続いている状況だ。


そして、イギリスからカナダ、インドへの民間人や技術者の疎開が始まりつつあった。以前のバトルオブブリテンではロンドンやイギリス南部いわゆるイングランド、ウェールズあたりが空襲の対象で北部のスコットランドやアイルランドは無事であったが今回の戦いでは北部工業地帯も空襲を受ける有様であった。

そしてイギリスの諜報機関からの情報ではどうやら未知の新兵器がドイツ、アメリカ連合軍で開発されているという情報が入り。日英両軍は政府機能を北部のエジンバラに臨時疎開が検討されイギリス王室の家族たちもカナダなどに疎開するという決定が下された。

そして私たちケルビム隊も損耗が激しく生き残っているのは私たち4人とダージリン、アッサム、ローズヒップ、ルクルリだけになったわね。後の連中はみな落とされて戦死しちゃったわね。まあ、女子航空隊で空輸任務もほぼ無実化し空軍での迎撃任務が主体になったけれどグラスゴー、バーミンガムが灰にされたのはかなり厳しく航空機の生産もおぼつかなくなっているような状況よ。制空権の確保も厳しくなってきたわね。


そして日本陸軍航空隊と陸軍はイギリス脱出作戦のために援軍を出すことにした。

イギリスの最新鋭のブラックプリンスやセンチュリオンの試作車両と技師たちを日本内地もしくは満州の工場へと疎開するという決定をくだしたみたいね。


で、私たちケルビム隊もその脱出船団と共に日本へと転属が決定したわね。つまり英国本土は放棄ということになるわね。


その決定を知って私たちも撤退する船団護衛任務があたえられ、脱出する民間人の車列や列車などの上空援護任務がおおくなった。そして12月25日にロンドンで大惨事が起こったね。その時私たちはロンドン北部のケンブリッジの臨時飛行場からロンドン近郊の哨戒任務に出撃した。けれどまさかドイツアメリカ連合軍がロンドンにとんでもないクリスマスプレゼントを渡してくれたようね。ケンブリッジを離陸して5分後にロンドン方向に巨大な閃光を発見し不気味な色のキノコ雲が上がったわね。

私たちはその様子をロンドンの防空指揮所に無線連絡を行おうとしたが防空指揮所の無線は通じなくなっていた。で、私たちは無線の周波数を変えてほかの指揮所と連絡をとろうとしたがどこも通じず。我々は止む終えずあたりの様子を手持ちの写真機で写して基地にもどることにした。

そして基地に戻るとてんやわんやの大騒ぎとなっていたようだ。どうやらラジオの臨時放送によるとロンドンに新型の反応兵器が投入されたという情報が入った。

で、私は基地司令に写真機のフィルムを渡して待機所にもどったわね。


で、その翌日。カナダがアメリカにたいして宣戦を布告し、ケベック、モントリオール、トロントから電撃的にボストン、フィラデルフィア、ニューヨーク、デトロイトなどを電撃的に制圧し北米大陸でも戦争が始まったという情報が入った。

で、ロンドンの方は既に民間人の9割以上が疎開済みであったので人的被害は少なかったが、イギリス王室や閣僚たちが犠牲になったと言う情報が流れていた。

どうやらエジンバラに疎開していたエリザベス王女が急遽王位を継ぎ、たまたまロンドンを離れていたチャーチル首相の演説がラジオから流れていた。

で、我が軍の陸軍司令部などはロンドン後方のスローという町にあったため特に被害はなかったのが幸いであった。そしてイギリスもまた北海沿岸のアバディーンという港町からベルリンに向けて新型の燃料気化爆弾を搭載した弾道誘導弾300発が発射されドイツ各地にとてつもない被害を与えたというニュースが流れたわね。


そして年明けにとうとうアムステルダム、カレー、ルアーブルやアメリカ本土から大量の上陸船団がアイスランドを経由してイギリス北部海岸からグラスゴー、カーコーディ間を占領されドイツはポーツマス、ブライトン、テムズ川を遡上してドイツ軍がやってきたわね。で、我々は脱出船団の出航を早める決断をして私たちもイギリス最後の出撃の時がやってきたわね。

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