第15話ジェット部隊の初陣

1944年10月 ロンドン近郊 タングミア飛行場


「ケルビム隊の編成も第一、第二小隊がジェット機運用部隊。第三、第四は今までどおり空輸任務かいな」

「そのようですね。確かに機材輸送も重要な任務ですしね」

「確かにそうやな。そういえば川崎 三式戦闘機「飛燕」もグリフォンエンジン搭載するという話を整備長から聞いたで。なんでも日本にもグリフォンエンジンの設計図とジェットエンジンのデータを今度の船団が来た時に技術交換するそうや。

日本からは何を出すのかなぁ

「さあね。意外と新型迎撃機の設計図だったりするかもな。もしくは新型魚雷の製造ノウハウかもしれん」

「まあ、それはともかく日本からの援軍が来るとなれば戦局は少しはましになるかもしれませんね。今はどうにか輸送船団が中東の油やインド、オーストラリアからのゴムや錫などの金属資源がかろうじて輸送されている状況ですが敵の重爆撃機や双発爆撃機の反跳爆撃で少なくない被害を被っているとも聞きます。イギリス海軍もショートサンダーランド飛行艇や我が国の二式飛行艇、96陸攻による対潜哨戒や護衛空母、正規空母による船団護衛でどうにかなっていますがこの損害が続けばいずれはジリ貧になるでしょうね」

「そうやな。それにドイツもロンドンやらポーツマスなんかの港に機雷ばらまくようになったからこれは結構厄介なことになりそうやな」

「ですね」

そして詰所でそんな会話を隊長としていたがそこに突如サイレンと赤ランプが点灯する。

「どうやら出撃やで。マスクのチェック忘れるな」

私たちは酸素マスクのチェックを行いそのまま新型の耐Gスーツとパラシュートハーネスを装備し即座に隣接している格納庫へと走るそこで樹脂製の飛行帽をかぶり耐Gスーツと酸素マスクのホースを接続。そして整備班にエンジン始動を要請する。

即座に高圧コンプレッサーと電源が接続され高圧空気がタービンを回転させるそして回転数が一定値になったところで「コンタクト」と叫び燃料コックを開いてエンジンが始動する。そして定格出力を確認し動力系の計器をチェック。そして整備兵に車輪止めを外してもらう外されたのを確認後駐車ブレーキを解除しスロットルを少し開けてそのまま滑走路へと向かう。隊長機が滑走路中心線で移動しているので私は軸線を

右に逸らし移動させる。その際に無線機のスイッチを入れ管制からそのまま離陸せよとの指示を受けて私たちはそのまま滑走路に入りスロットルをゆっくりと開いて出力を最大に上げ離陸速度まで速度を上げて離陸後高度60で主脚格納。高度600でフラップ格納し防空管制所からの指示で高度12000まで上昇する。なんというかジェットのスゴさは高度12000まで10分かからないのがすごいところだと思うね。そしてドーバー上空12000で私たちは敵編隊を発見。どうやら敵もジェット機を投入してきたようね。そしてそこで私たちは胴体の増槽を捨てて空戦にもつれ込んだわけよ。

どうやらドイツも例の破壊工作から立ち直ってジェットを使って我々の航空兵力をすり潰そうとしているようね。で、そのまま空戦となったわね。

まあ、今回は私たちが勝ったけれどなんというかお互いに途中でエンジントラブルで引き上げたというのが本音のようね。で、第二小隊の方は敵B2930機を主体とする戦爆連合との空戦でB29を20機以上撃墜撃破したという無線が入ったようね。

まあ、無事に基地へと戻ることができたわね。

そして機を格納庫に収め、エンジンを止め、風防を開けると整備兵が昇降用はしごを持ってきてくれて私はそれを使って機を降りる。

「やあ。無事に戻ってきてくれたようだな。どうだった」と真田さんが尋ねるので私は答える。

「問題はありませんが。強いて言うならここ一番の時に加速できるような装置があるといいですね。急上昇や迎撃の際に所定高度に一気に上がれればそれだけ迎撃する時間が伸ばせますので」

「なるほどな。協議してみよう。耐Gスーツの方はどうだった」

「こいつは当たりですぜ。速度900で急旋回しても今までのように目の前が真っ暗になることがなくなんとか耐え抜けましたよ。これは是非とも最優先で量産したほうがいいですね。あと、機関砲を見てもらえませんかね。どうやら最後に撃とうとした際に突っ込み起こしたみたいで弾がでなくなったんで」

「そうか。実はな。高速のジェット用の空対空機関銃として20ミリ5銃身回転機関砲が試作されたのだ。弾は今までの20ミリを使用する。発射速度は毎分4500発だまあ、南北戦争時や戊辰戦争時に使われたガトリング銃の動力型というやつだ。電力で動作するが機体のエンジンが動いている限り通電されるがな。それに機関部も通常の機関銃と違って回転銃身なので焼き付きの心配もないぞ。使ってみるか」

「是非。ですがそれだと装弾数は幾つで」

「一応最大で1800発だが引きっぱなしだと30秒前後で撃ち尽くすな。この場合の打ち方も変えねばならないかもしれないなぁ」

「ですね」

そんな感じで新兵器のテストと迎撃を兼ねた部隊運用がなされていく。そして日本から大船団がイギリスに到着した。

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