第14話ケルビム隊が後方に下がり新型機のテスト部隊になる

1944年 8月 イギリス スコットランド グラスゴー近郊にて


私は瑞雲 ユキ イギリス空軍の客将として迎撃任務に励んでいたわね。まあ、戦況はかなり良くないみたいね。まあ、新開発の地対空誘導弾やロケット弾と組織的なレーダー管制による対空砲火と新型信管搭載の高射砲弾で敵重爆撃も相当な被害を受けているという情報を聞いてるわね。

こっちはこっちでフランスの港やらドイツの河川に大量の機雷をばらまく飢餓作戦に切り替えてランカスターやリンカーン重爆撃機と護衛のモスキートが活躍しているようね。まあ、国際法上違反行為ではあるが都市を無差別爆撃をしている以上やってもね・・・。

で、私が所属するケルビム隊の方だけどモルトたちが戦死しダージリン達も空戦で怪我したりして戦線離脱し残っているのは16人中9人という状況でこれは軍隊では全滅と同じ状況と言えるわけで。私たちは戦力補給のために後方にさがることになったわね。


で、そこで怪我で離脱していた坂上准尉が戦線に戻ってきたわけだけど。私がビクトリア勲章をもらったと聞いて驚いていたりしたわね。そして彼女は第二小隊に配属されたわね。で、私たちも英軍のコールサインを与えられたわね。隊長がリカー。私はルシファー、向井がギネス、菊地はダンサーというコールサインに変更となったわね。

そして部隊が後方に下がった時にイギリスのグロスター社の技術者がやってきて格納庫へと案内されたわね。そしてその時見た機体はすごかったよ。


「これはジェット機というやつやな。イギリスでも開発していたんか」

隊長の質問に技師は答える。

「そうです。あなた方がドイツのジェット機を運んできたのもそうですがそれ以前に我々はジェットエンジンを試作してました。ですが貴方方が鹵獲したジェット実機とドイツからの新式空気力学の実験データとジェットの設計図は大いに参考となりました。ここからは技術的な話になりますがよろしいでしょうか」

「付いて行ける範囲なら」

「そうですか」

「知って通り今までの飛行機のエンジンはピストンエンジンを使っているそれはわかりますね」

「もちろんや。シリンダー内部で混合気を吸入、圧縮、爆発、排気させてピストンを動かしてクランクを回してプロペラを回して飛ばすんやな」

「そうです。で、ジェットエンジンはピストンやクランクを使わずにタービンを回してその回転を使って空気を取り込んで圧縮させそこに燃料を吹き込んでタービンを回してそのガスの推進力で飛ばすのがジェットですね。で、我々が使っているのは遠心式のジェットエンジンを搭載しており貴方方が分捕った機体を解析した際に軸流式のジェットエンジンを使っているという事実を知って驚愕しましたよ。なんというか

ドイツの技術は世界一とはよく言ったものですよ」

「そうやな。うちも私物でツァイスの双眼鏡持ってるがあれは倍率もよく鮮明やからなぁ」

「ですね。で、今我々が使用しているジェットエンジンは遠心式という方式なんですが遠心力を利用し空気を圧縮しその圧縮した空気に燃料を吹き込んで燃焼させてタービンを回してそのガスの推力を利用して飛ばす方式なんですが。これは構造が簡単という利点はありますが問題は大出力のエンジンを作ることができないという欠点がありますね。で、ドイツが使用している軸流式はタービンの回転を使って空気を取り込み圧縮するため圧縮機の段数を増やすことが容易なんです。圧縮機の段数が増えれば当然タービンにかかる圧力も上がるため推力を上げることが容易ということなんです」

と、言う技師の説明に隊長が質問する。

「なんでイギリスはその軸流式というのを使用せんかったんや」

「それですか。軸流式の場合出力を上げるのは簡単なんですが問題がありまして。

軸流式の場合タービンや空気圧縮機に使われる羽根車の材質や工作不良があった場合あっという間にエンジンがバラバラになってしまうという欠点があるんです。遠心式のばあいは2段圧縮の単段タービンなので構造が簡単で量産が容易いということで採用したのです。我々も軸流式を試作したのですが如何せん耐久時間が10時間も無いという代物でした」

私が尋ねる。「じゃあそっちが使っている遠心式の耐久時間はまさか軸流よりもひどいわけはないわね」

「もちろんです。ベンチテストで150時間連続稼働しました。ですが未だ未知のエンジンゆえどうなるか」

「わかった。それをテスト兼迎撃任務をしろということだね。エンジンなどの整備パーツに補給用品なんかはどうなっているのかしら」

「それは大丈夫です。我々開発スタッフが責任もって」

「そう。それいいわね。それじゃあ早速この機体の説明をおねがいするわね」

「ええ」

そんな感じで我々は新型ジェット機ミーティアの説明を受けたわね。そして慣熟飛行を行ったけれどなんというか今までのレシプロ機とは違ったスロットルの使い方になるわね。私たち以外にもアッサム達もジェットの慣熟が始まったわね。


そうそう。その頃日本本国では米軍の反攻作戦を退けたとの情報が入り。イギリス救援のために大輸送船団が派遣されるという情報がはいってきたわね。

まあ、技術交換と増援やイギリス王家などの疎開用の脱出船団としてもだろうけどね。


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