第24話 大和以下第二艦隊が沖縄へ出撃す

昭和20年4月 横須賀にて


「そうですか。出撃が確定ですか。航空機の掩護はどうなっておりますか。長門」

私が言うと長門は答えに詰まってしまったようね。


「残念ながら掩護機は殆ど無しであります。沖縄の機動部隊攻撃のために稼働機が使われておりますので」


「そうですか。出撃は6日ですね」


「そうです。すでに米軍から大和たち第二艦隊に対して決闘状が送られたそうです。つまり米軍もまた我々戦艦の時代は終わりを告げているのでせめて最後にということでしょうね。私も参加したかったのですが…」


「そうですか。ですが長門貴方にはあなたの役割があります大和たちにはですね」

「判っております。将兵たちを死なせてしまうとなるとですが・・・」



「そうね。どちらにしても我が国はですかね」


「そうですね」


そして数日後・・・沖縄に向かった大和以下第二艦隊が壊滅的な損害を受け司令部は作戦中止を決断し雪風以下4隻の船が佐世保に向けて撤退を開始したという通信を受けたわね。

それを受けて私は思う。


「大和。貴方は私を恨むでしょうね。それは仕方ありません。すでに信濃にも恨まれてしまっている身ですので私は貴方の恨みもまた引き受けましょう」


そして数日後雪風が私の所にやってきて、戦の顛末を全て語ってくれたわ。


「なるほど。アメリカサイドは約束を破り空母機動部隊にて攻撃してきたということですね」


「はい。そして、大和長官は米軍に対して呪詛をしました。許されざる行為と分かっていたとしてもわれらの誇りを踏みにじる米機動部隊に対して許せなかったという事です。そして長官は恨みを持って自害なされました。私は彼女を介錯した後、首を

回収し佐世保に引き上げました。そして佐世保で彼女の首を荼毘に付してその骨を

佐世保に残っていた皆で食べてしまいました。故に彼女の遺骨はありません」


私はそれを聞いて雪風に言う。


「そう。つまり敵に渡すのを防ぐためにということですね。そのことに関しては不問と致します。雪風。とにかく無事に生き延びてくれて私はうれしいですよ。雪風ご苦労様でした。次の指示を待ちなさい」


「はい。では失礼します」


そして戦局は次つぎと悪化の一途をたどり5月には関東一円の主要都市は焼け野原となり東海地方も阪神、北九州もですがそれ以上に厄介なことは敵は関門海峡や瀬戸内海に大量の機雷をバラまいたことですね。これにより国内の物流網はズタズタとなり物資すら満足に行くことがなくなったという事ですね。


そして7月には呉、横須賀にも空母機動部隊の攻撃機が襲い掛かり少なくない数の艦船がやられました。長門もまた中破したそうです。そして呉では伊勢達が大破着底したり横転するほどの大損害を受けたそうです。


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