第17話連合艦隊長官山本五十六 戦死する
昭和18年3月 横須賀
ミッドウェーの大敗以後攻勢から守勢になってしまった我が海軍は陸軍のソロモン諸島にあるガダルカナル島の戦いに巻き込まれ水雷戦隊がネズミ輸送ともいえる補給などが行われているようですね。そして米国の反攻作戦がはじまり戦いは泥沼となっているようです。
そんな中連合艦隊司令長官である山本五十六大将が私の庵にやってきましたね。
「そのなんだ。ミッドウェーはわしの失策と言える。わしがもっと軍令部をどうにかすればせめて2隻は助かったかもしれんのだが・・・。しかし、加賀の高槻が瀕死の大ヤケドを負っていながら加賀から脱出してカッターに助けられたのを聞いたのには驚いたがな。まあ、わしから軍医長たちに彼を死なせないでくれと頼んでおいた。
あいつとは赤城の艦長の時にしりあったがなぁ。大和のやつが瀕死のやつに血を飲ませていたようだから多分パイロットとして復活する日も近いだろうな。まあ、世間話はここまでにして。三笠どの。わしはこれから南方に視察に向かうことになった」
「そうですか。ラバウルへ向かわれるわけですね。ですが戦も既に一年以上経過している以上今のうちに手を打たないと米国の反攻作戦に対応できなくなる日も近いでしょうね」
「そうだな。故に視察するのだ。現場を知らずにだからな」
「そうですか。お体に気をつけてください」
「む。5月ないしは6月に戻る予定だ。土産に南方の果物を持ってくるよ。では行ってくる」
そう言って長官は迎えの車に乗ってトラック島からラバウルへと向かいました。
そして4月のある夜。一筋の流星が空から流れ落ちたのを見て私は山本長官の身に何かあった事を察しました。そしてその直後に連合艦隊司令長官が古賀氏に代わり彼がトラックへと移動したのをみて私は山本長官が戦死なされたことを知りましたね。
そして同年6月彼の遺体が内地に戻り国葬が行われました。そしてその遺骨を持って武蔵が私の庵を訪ねてきました。
「三笠ねえさま。ただいま戻りました。その私はあの人を守り切れなかったのが残念でなりません。私たちはすぐに戻るようにと釘をさしましたが長官はラバウル視察なされたあと最前線であるブインも視察なされたいといわれ護衛付きで向かわれました。そしてブーゲンビル島上空で敵機の襲撃に会い長官の乗った機体が撃墜されました。そして救援隊がきたときにはすでに長官はこと切れていたそうです。
その、無意味かもしれませんが南方の果物を持ってきました。その台所をお借りしますがよろしいでしょうか」
「わかりました。いいでしょう。ところで武蔵あなたがやるのですが」
「はい。一応、従兵がいない以上。大丈夫です。トラックで私たちはパパイヤやパイナップルを剥いていましたので。
そういって武蔵は器用にパイナップルやマンゴー、パパイヤなどの南方の果物を剥いてお皿にもりつけていましたね。
「どうぞ。南方果実の盛り合わせでございます」
「頂きましょう。と、いいましてもこれだけの量は私一人では無理なので武蔵あなたもご相伴ねがいたいのですがよろしいでしょうか」
「わかりました」
そして二人で南方の果物を食しました。それから戦局は悪化の一途をたどりました。
ロ号作戦、渾作戦、コロンパガラ海戦など次々と駆逐艦たちが沈んでいきました。それにともない戦局も日本不利となりとうとうマリアナまで米帝が来ました。
米帝はトラック、ラバウルを直接たたくのではなく島というのを利用して後方の島を占領しトラック、ラバウルを無力化させたようです。で、海軍のほうでも海上護衛総体という組織が発足し海上護衛につとめようとしていましたが海軍軍令部の横やりで満足な護衛ができずと言っておりました。
このような事態になったのは私が対馬沖で東郷閣下と伏見宮殿下を消さなかったのが元凶なんでしょうね・・・。
わたくしも覚悟を決めました。たとえ日本が負けたとしても堂々といようと。そして解体されようと標的となって沈められようとも堂々としようと覚悟を決めましたね
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます