ナポレオンさん

 ナポレオンはいつも馬と一緒に描かれているから馬と仲良しなんだろうな。


「いいえ、馬と仲良しではありません。」


 ナポレオンは言いました。


「私は河童と仲良しだ。」


 というと、河童が現れました。


 ひょっこり


 緑色の、よく絵の中で見るような河童です。肌がツルツルで光っています。


「私はナポレオンと仲良しの河童です。私たちは二人でよく川で泳ぎます。」


 そういうと二人は川へ飛び込みました。ナポレオンは全裸でした。


 ザブーン


 スイスイスイ、スイスイスイ


「河童と共に泳ぐのは楽しいな。」


「そうですね。ナポレオンさん。」


 二人は楽しそうに泳いでいました。二人とも平泳ぎでした。川は澄んでおり、魚が泳いでいるのが目視できるほどでした。


 ぼぼぼっ!!


 突然河童が深く潜りました。


「んっ?うぼぼぼぼぼ!!」


 ナポレオンも沈みました。


「うぼぼぼぼぼ!!」


 河童がナポレオンの足を引っ張ったのです。そう、ナポレオンを裏切ったのです。溺死させようとしているのです。なんて恐ろしいのでしょう。河童は所詮妖怪だ。


「ああっ!!あああっ!!」


 ナポレオンは今にも溺れてしまいそうです。


「あぶっ!!あぶぶっ!!」


 河童は水の中でニヤニヤしています。


「あぶぶーっ!!」


 ああっ!!ナポレオンが死ぬぞー!!


 ヒヒーン!!


 馬が川に飛び込みました。


 ヒヒヒーン!!


 あぴょー!!


 馬は華麗に河童を蹴り殺しました。


「ぶはぁー!!」


 ナポレオンは一命を取り留めました。河童の死体はゴムみたいに流されていきました。


 ナポレオンは一命を取り留め、アメンボのように華麗に平泳ぎしています。


「私は馬と仲良しです。」


 完

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