致命的なミス
致命的な仕事のミスをしていると、上司が話しかけてきました。
「佐々木くん。最近仕事の調子はどうですか?」
「はい。今は致命的なミスをしています。」
「へえ。そうですか。」
上司はそういって頷くと、自分の机に戻っていきました。
致命的なミスは致命的なミスなので致命的でした。会社が倒産しそうです。
「会社が倒産しそうです。」
上司に連絡しました。
「へえ。そうですか。」
上司はびくともしませんでした。上司はお相撲さんだからです。上司はお相撲さんなのでびくともしませんでした。
ドーンッ!!
サーバールームが爆発しました。私がミスして灯油を撒いて火をつけたためです。
ピピピピーッ!!
顧客のデータが抜かれました。私が間違えてパスワードをハッカーに教えてしまったためです。
そんなことよりも火の海です。フロアのみんなは急いで非常口から逃げました。上司もどすこいどすこい逃げました。
みんなで外に出て燃え盛るビルを眺めました。
「こりゃ倒産だな。」
「倒産だ倒産だ。」
「これからどうすればいいのだろうか。」
「どすこい。どすこい。」
「ああ大変だ大変だ。」
「おしまいだおしまいだ。」
「もう無理だもう無理だ。」
「どすこい。どすこい。」
皆が絶望している中、相撲取りの上司は張り手をしています。今にも倒れそうな会社を支えようと必死に頑張っているのです。
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます