傘、邪魔
傘を持って電車に乗っていると傘が邪魔だ。
「おい邪魔だ!」
と叱りました。
バババババッ!!
人々は私を避けていきました。私の周りにスペースが出来ました。これは、勘違いされているに違いない。
「ごめんなさい。私は傘に言ったんです。皆さんに言ったのではありません。怖い思いをさせてしまってごめんなさい。」
と言いましたが人々は戻ってきません。
「お前も謝れ!」
と再び傘にキレました。傘は何も言わずただそこにいるだけです。本当に邪魔だ。
「謝れ!!」
どんどん人々が離れていきます。全部傘のせいだ。
「お前のせいで、みんないなくなっちまっただろうが!!」
ボキィーッ!!
私は膝で傘を折り曲げました。もう傘は傘ですら無くなってしまったのです。
「はっはっはっ、なんなんだお前。ついに傘でもなくなったな。なんなんだ。なんなんだ本当に。」
この車両にはもう誰もいなくなっていました。
「なんなんだ。なんなんだお前は本当に....なんなんだ....。」
私は傘だったものを抱きしめて泣きました。
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます