牛美容師
美容師は牛ですがびよびよした牛ではない。人を殺しかねないほどの恐ろしい牛だ。
「はい。ええと、ショートヘアーでお願いします。」
「モー、モー。」
こんなに穏やかそうな鳴き声だが、知っているのだ。昨日は3人殺された。入った人数と出てきた人数が合わなかった。3人いなくなった。そんな危険な美容師になぜ髪を切ってもらうかというと、牛乳がもらえるのだ。髪を切り終わったら。無事に髪を切り終わったら。
「モー、モー。」
手渡されのは牛の藁カタログだ。ビタミン藁、カルシウム藁、チョコミント藁など、様々な藁が載っているのだ。取り敢えずこれを貢げば命は助かるはずだ。
「こっ、これっ....。カルシウム藁下さい....。チョコミント藁も...。」
「はいっ、15000円ねー。」
「はいっ...。」
「はいどうぞ。」
飼い主おじさんから二束渡される。
「バウッ!!バウッ!!」
一瞬で藁を奪っていく牛。後ろ足で立って前足で器用に髪を切っている。
「ボォォォォォオオオオ!!」
ひっひぃっ!!なんだなんだ!!突然の咆哮が聞こえる。なんだ、、、カルシウム藁とチョコミント藁の組み合わせが悪かったのだろうか。ヒーッ!!恐ろしい!!恐ろしい!!
どうしよう、どうしよう、あわわわわ、あわわわわ、怒りを抑えるにはカルシウム、カルシウムが効くと聞いた。カルシウム、カルシウム。
「か、カルシウム七百束くださいっ!!」
「はいっ。五万円です。」
「バグバグバグバグバグバグッ!!」
「ひっひぃぃっ!!」
「モーモー。」
どうやら怒りは治ったようだ。ふぅ、ふぅ......。
気づくとわたしは眠っていた....。
「お客さん。終わりましたよ。」
飼い主おじさんの声と共に方が叩かれる。鏡を見ると素敵なショートヘアーになっている。よかった....生き残ったのだ....。
「はい。ご褒美の牛乳です。」
「あっ、ありがとうございますっ!!」
ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ!!
おっ、、、美味しいっ!!今まで飲んだ中で一番っ!!美味しいっ!!
ゴクゴクゴクッ、ゴクゴクゴクッ!!
美味しいっ美味しいっ!!
牛乳、美味しいなー。
「牛乳はお風呂あがりに飲むものだモー」
ん、牛の声だ。ええ、怖いよお。
「お風呂に入ってから飲むモー!!」
ギャピーッ!!
完
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