風使い

「ええと、高校時代に使っていたノートはここにあったかな?ええと、ええと。」


 ガサゴソガサゴソガサゴソ


 たかしはノートを探している。棚にあるはずだ。この辺の棚にあるはずだ。


「あったあった。これだこれだ。」


 見つけたようだ。それは昔、たかしが数学に使っていたノートだ。


 パラパラパラパラ、パラパラパラパラ


 ノートを開いてパラパラすると風がこちらに吹いてきて気持ちがいい。


 パラパラパラパラ、パラパラパラパラ


 ノートは風使いだ。たかしは思った。


 しかしそのノートを操っているのは僕だ...。僕、いや僕らは風使いだ。たかしは思った。


 完

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る