年の瀬、隆くんの反抗

 年末、年の瀬。外は真っ白。登下校時の吐く息の白さが、新しい年の訪れが近いことを知らせている。


「も〜い〜くつ寝〜る〜と〜お〜しょ〜お〜が〜つ〜。お正月にはマリついて〜駒を回して遊びましょう。は〜や〜く〜こ〜い〜こ〜い〜お正月〜。」


 音楽の時間、先生が歌っている(音楽の先生)。教室には暖房の音が低く響いている。と、隆くんが手を上げた。


「隆くん、どうしたの?」


 先生が隆くんをあてる。


「あの質問なのですけど、お昼寝は含みますか?」


「いいえ、お昼寝は含みません。」


 先生が答える。


「では、二度寝は含みますか?」


 隆くんが再び質問する。


「二度寝は含みません。」


 先生が答える。


「では、居眠りは含みますか?」


「居眠りは含みません。」


「レム睡眠とノンレム睡眠は分けますか?」


「分けません。」


 先生が答えと、隆くんが怒り始めた。


「先生は僕たちを舐めていますよ。あといくつ寝ればお正月かなんて、カレンダーを見ればわかるじゃあないですか?なんでそんなこと聞くのですか?今日は12/16なのだから、あと16回!あと16回ですよ!!みんなもそう思うだろ!!なあ!!先生、僕たちのこと舐めてるよなあ!くそお、悔しいよ!!俺は悔しい!みんなはどうなの?俺は悔しいから怒るよ。抵抗する、抵抗してやる!!命懸けで、抵抗してやる!!うおおおおおおおお!!!」


 隆くんは怒って生卵を投げた。


 グチャッ


 見事。先生の顔面に生卵は命中。先生はちょっと舌を出して口近くの卵を舐めた。


「あ、生卵を投げたわね。隆くん、生卵を投げましたか?」


 生卵を浴びた先生が言った。


「投げました。」


 隆くんが答える。


「生卵持ってるなんて偉いです。非常食になりますからね。繊細なものを持ち運ぶことで、整理整頓能力も養われることでしょう。しかし、人に投げるものではありません!」


 先生は怒っている。怒って隆くんに近づいてきて、殴った!!



 なまたまゴ〜ン



 完

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