ウッホー

 ウホーウホーウホーウホー


 空の彼方からなにやら飛行物体がやってきた。ウホーウホーなっており、円盤のようなものの上におっきな半円がくっ付いている。見るからにUFOという感じだ。


「お母さん、UFOが飛んでいるよ。」


 たかしくんはお母さんに言った。


「いいえ、あれはウッホーです。ウホウホ言っているでしょう。」


 へえ、ウッホーなんだ。たかしくんはメモ帳に書いた。


『ウホウホいっているのでウッホー。』


 しばらく眺めていると、底の方からなにか光が発せられゴリラの塊みたいなのが降りてきた。


 ウホウホウホウホ、ウホウホウホウホ


 上半身はゴリラの塊みたいだが、下半身にはもやしみたいに細い脚が二本。奇怪な生物。ゆらゆらゆらゆら動いている。


 なんだろう。なんだろう。日曜日の商店街。人々は好奇心を抑えられない。一定の距離を保ちながら、じぃっと眺めている。


 宇宙人だ。


 たかしくんは思った。


 初めてみた、宇宙人だ。


 ゆらゆら揺れながら、ウホウホウホウホ鳴き声をあげている。


 ゆらゆらゆっくり。危険性はなさそうだ。人々がそう考え始めた、その時


 ウホッ!


 短い発声と共に一頭消えた。


 ドガーン!


 ウボオ!


 宇宙人の腕がおじさんの腹を貫通している。


 きゃーー!!!


 人々は一斉に逃げ始めた。宇宙人はすごい速さで人々の腹に穴を空けている。


 ウホッ!


 ウホッ!


 ウホッ!


 ウホッ!


 勿論、たかしくんも逃げる。


「お母さん、宇宙人怖いよお!!うわああああああああん!!」


 たかしくんは怖くて泣き叫んでいる。


「いいえ、あれはウホー人です。ウホウホ言っているでしょう。」


 へえ、ウホー人なんだ。たかしくんはメモ帳に書いた。


『ウホウホ言っているのですウホー人』


 完

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