ある街について

 ジョ〜〜〜〜〜〜、ジョ〜〜〜〜〜


 マンションベンをしているマンション。


 ジョジョジョジョジョジョジョジョジョ


 圧巻。巨大。滝、もしくは連続して落ちる象糞のようだ。それに比べ、自分なんかちっぽけだ。昨日までの悩みも吹き飛ぶ。


 ザッパ〜〜〜〜〜ン!!


 道にはマンションベンが溢れかえっている。


 スイ〜スイ〜


 散歩の犬は気持ちよさそうに泳いでいる。小学校の先生はティッシュで水を吸い取ろうと頑張っている。花々はたくさん養分をもらえて、喜んでいるようだ。


 ビチャビチャッ!!ビチャビチャッ!!


「やあジョン、今日はマンションベンデーだね。」


 後ろから走ってきたボブが話しかけてくる。彼とは新人時代からの長い付き合いだ。優しくていいやつ。その上仕事もできる。


「ああ、ボブ、おはよう。本当だね。うん。マンションにとって街は便器みたいなもんなんだろう。私たちは便器のカビかな。ははははは。」


 ピチャピチャピチャ、ピチャピチャピチャ


 マンションベンを掻き分けながら前進する。前へ、前へ。


「ははははは。そうか。便器のカビか。ははははは。そうかもしれない。ならあれはなんだい?」


 ボブは上を指差していった。指差す方向には、空、青い空が広がっている。


「空は、、、空さ。」


 私は答えた。そう、空は空だ。マンションからしたって、空は空だ。だって、空なのだから。空はいい。空はいい。青く清らかで、どこまでも自由なのだから.........。


 飛行機雲が、まっすぐに伸びていた。


 完

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