通勤

 ピピピピピッ.......


 ウトウトウト、ウトウトウト...


 はっ!大変だ!会社に遅れるぞ。


 布団から飛び起きバス停へ向かいます。


 バタドンドンバタスタスタスタスタ


 たくさんの人が並んでいます。9:15のバス。乗れるでしょうか、ギリギリのラインです。少なくともこのバスに乗らなければ会社には間に合いません。


 ブボボー


 バスが来ました。人々がバスに吸い込まれ列が短くなっていきます。バスがポッキーを食べているようです。美味しそうだな。


 いよいよ私が乗り込む番です。


 しかし、、


「すみません。お客さん。もう一杯です。これ以上は乗れません。」


 運転手が言いました。


「ええ、でもこれに乗らなかったら私は会社に遅れてしまいますよ。」


「とは言われましてもね。」


「じゃあ天井に乗りますね。」


 のばのぼ


 私は天井に乗りました。


「だ、駄目ですよお!天井に乗ったら落ちてしまいますよお!」


 バスの運転手は慌てて言いました。


「そうですかあ、わかりました。」


 私は天井から降りました。


「お、言うこと聞いて、いいですねえ。ご褒美に、天井に乗ってもいいですよ。」


「お、本当ですか?ありがとうございます。」


 私は天井に乗りました。バスの天井、こんな景色が見えるのだなあ。なんとも言えない高さです。すごいなあ、すごいなあ。


「私も天井に乗ってもいいですか?」


 私の後ろにいた女性が聞きました。お、あの人は確か同じ職場の人だったような。話したことはないけれど。


「駄目です。」


 運転手が言いました。


「ええ、なんでですかあ。あの人は乗ったのに、なんでですかあ。」


「言うことを聞かないから駄目です。」


「わかりました。じゃあ乗りません。」


「お、言うこと聞いて、いいですねえ。ご褒美に、天井に乗ってもいいですよ。」


「わあ、ありがとう!!」


 出発進行!!


 プップップー、プップップー


 バスは進む。道路を進む。速いなあ、速いなあ。


 ちょっと、非日常な感じ。せっかくなので隣の女性にも話しかけてみようかな。


「こんにちは。ちょっと、非日常ですね。」


「ほんとですね。ちょっと、非日常ですわ。うふふふふ、うふふふふ。」


「うふふふふ、うふふふふふ。」


 プップップー


 そうこうしている間に着きました。


 さあ、降りましょう。


「すごい!!ずっと乗れていたのですね!!今まで乗せていた人々はみんな途中で落ちていました。」


 興奮したバスの運転手さんが話しかけてきました。


「あなた方はドラゴンに乗ることもできるでしょう。ドラゴン使いになりなさい。」


「嫌です。」


「私も嫌ですわ。」


 スタスタスタスタ


 1日が始まる。新しい、1日が。

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