銀行強盗

「金を出せ!!」


 白昼堂々強盗です。銀行で、強盗です。偶然客はいませんでした。銀行員は6人。男男女女女女。中年若年若年中年若年中年。


「ひいぃっ!!」


 恐れおののく銀行員。早く準備して渡すのだ。早か出て行って欲しいのだ。金を、金を準備するのだ。警察が来て下手に立て込まれたりするのも面倒だから緊急ボタンも押さないのだ。早く、早く渡すのだ。がさがさがさがさがさがさっ。


「早く!早くしろ!」


 強盗は銃を突きつけまくし立てる。


 ひっひぃっ


 手が震えてなかなか現金を掴めない。その時


 ピーポーピーポー、ピーポーピーポー


 風の噂で聞きつけた警官たちがやってきた。風の噂、怖い。


「ただちに出てきなさ〜い。出てきなさ〜い。逮捕するから、出てきなさ〜い。」


 警察が語りかけます。


 クソ、こうなったら立てこもりだ。


 最悪だぜ、銀行員、涙。


 下手したら人質に襲われるかも。人質に襲われるの怖い。意思疎通できないようにしちゃえ。


「おい、こっちへ来い。」


 強盗犯は銀行員に銃を突きつけながら一人一人、口にガムテープをつけます。


 つけつけ、つけつけ


 完璧につけつけしました。さらに手を縛り、一列に並ばせました。


 これでよし。


「出てきなさ〜い。逮捕するから出てきなさ〜い。出てきなさ〜い。」


「やなこったー、あっかんべー。あっかんべー。」


「出てきなさ〜い。逮捕するから出てきなさ〜い。出てきなさ〜い。」


「やなこったー、あっかんべー。あっかんべー。」


「出てきなさ〜い。逮捕するから出てきなさ〜い。出てきなさ〜い。」


「やなこったー、あっかんべー。あっかんべー。」


 こんなことを何時間も繰り返し、夜になりました。


 困ったな。困ったな。困ったな。困ったな。疲れたな。疲れたな。疲れて限界に達した警官、閃く!!


「出てきなさ〜い、出てきなさ〜い。逮捕するけど、ケーキをあげるから出てきなさ〜い。」


 なんと、ケーキをあげることにしたのでした。


「なんと、ケーキをくれるなら出て行こう。」


 犯人も疲れていたので出て行くことにしました。


 ぴょーん


「はい、では手錠をかけますね。でもその代わりにケーキをあげるからね。」


「ありがとう。」


 パクパク、パクパク


 警察も手柄を立てることができたし、人質も死ななかったし、犯人もケーキを食べることができました。ウィンウィンウィンの関係です。みんな満足げでした。


 さあ、早速人質を解放するのだ。


 たたたたたっ


 人質たちは銀行の隅っこに固まって並べられていました。さあ、助けるぞ、助けるぞ。


 ビリビリビリビリビリビリ


 ガムテープをビリビリしました。しかし誰も動きません。男女男女女女、誰も動きません。


「助けに来ましたよ。助けに来ましたよ。」


 語りかけても動きません。これはどういうこったい。脈をとります。


 ペタリ


 ないっ!!脈がないぞ!!男女男女女女、誰も脈が動いていません。みんな脈がありません。


 よくわかんないけど死んでるぜ。司法解剖するぜ。窒息死だったぜ。みんなアレルギー性鼻炎だったから口を塞がれたら息できなかったらしいぜ。


 オーノー


 犯人はショックを受けました。傷害致死なのかな?やばいなあ、嫌だなあ。罪、重いだろうなあ。


 裁判当日


 ドンドン


「ただ今より、裁判を始める。」


 裁判長が言いました。すると弁護士が


「異議あり!!」


 手をあげました。


「裁判が始まってしまったら被告が有罪になってしまいます。よって裁判はやめましょう。」


「じやあ、やめyo。」


 やめました。弁護士、強い。


 完

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