非常口の人

 非常口の人。火事になっても逃げ出さず人々に出口を示し続けなけばいけない。


 こんなの、おかしいじゃないか。生まれた時からこんな理不尽な仕事を任されて、ふざけやがって、俺は俺の人生を生きてやる。


 非常口の人A、自身の置かれている立場が狂っていることに気づく。


 ぴょーん


 非常口のマークから飛び降りた。すたこらさっさ、すたこらさっさ。逃げて行く。逃げて行く。


 自由だ自由だ、ぴょーんぴょん!


 彼は飛び跳ねて喜んだ。


 次の日、


 ウーーー、ウーーー


 火事が起きた。昨日彼が逃げ出した施設だ。さて、どうなるかな、彼は見守っていた。


「非常口はどこだ!!どこだ!!」


「あそこだ!!光っているぞ。逃げろ!!逃げろ!!」


 彼がいなくても人は非常口を発見することが出来た。あのマークに人がいようといなかろうと非常口マークは光るからだ。それを見た彼は怒った。


 くそ!!俺がいようとなかろうと変わらないじゃねーか。ふざけやがって!!今まで消えていった仲間たちはなんだったんだ。人間はゴミだ。あんな奴ら俺が滅ぼしてやる。


 非常口の人Aは人間を滅ぼすことにした。しかし、現在の彼はあまりにも弱い。彼は強くなるために修行の旅にでた。が、旅の道中車にひかれて死んでしまった。小さいから、車の窓から見えないんだよね。


 完

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