七夕とクリスマス

『サンタさんをください。』


 短冊にそう書かれていた。織姫は困ってしまった。織姫はすごいので大抵の願いは叶えられる。しかし今回の願いは分が悪い。なぜなら七夕界隈とクリスマス界隈は昔から緊張状態にあるからだ。なんせどちらも願いを聞き入れることが仕事で若干役割が被っている。どちらかが大きく出るともう片方はちっちゃくなる。過去に一度七夕に欲しいものの願いがやってきて、サービスで願い以外のものも一緒にあげたりしてたら、クリスマスの願い事が少なくなったことがあった。そのことについてサンタ協会から苦情の手紙をもらったことがある。それ以来、お互いの存在を邪魔くさく思いながら、空気を読みあいやってきたのだ。


 で、今回の願いだ。うーむ、困ったことにこればっかりはサンタ協会に頼むしかない。織姫はプライドを捨て、手紙を書いた。


「サンタ協会様、短冊にサンタ様が欲しいという願いが書かれていました。この子にサンタを送って頂けますでしょうか。」


「いいyo!!」


 すぐに返事が来た。サンタ協会は歳をとり動けなくなった老サンタを少年のもとに発送した。これを機に七夕界隈とクリスマス界隈は仲良くなり、協力するようになった。めでたし、めでたし。


 完

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