経験の破裂
「死とは経験の破裂だ。」
と彼は言いました。私は質問しました。
「どういうことですか。」
「みんな病気で死んだら病死、事故で死んだら事故死だと思っている。しかし、本当の原因は経験の破裂なのだ。」
と彼は言いました。私は質問しました。
「どういうことですか。」
「人は産まれながらに経験貯蔵可能量が決められている。個人差が大きいものだ。そして、経験し貯蔵した経験がその限界量に達したとき人は死ぬ。車に轢かれるかもしれないし病気になるかもしれない。しかし本当の原因は経験が蓄積され破裂したことなのだ。そして死んだ瞬間、蓄積された経験はその人物から解放され、誰のものでもなくなり、また誰かに貯蔵されていくのだ。」
へえ、そうなんだ。
「まあ、そうかもしれませんね。私はそう思わないけれど。」
「そうかい。」
「でもそれ、破裂したのは経験が蓄積された身体であって経験ではなくないですか。」
「それは、そう。」
私はケンケンして帰った。ケンケンの経験。
ケイケンパ、ケイケンパ
完
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