後味の悪い話
たかおは仕送りで暮らす大学生。楽しい日々を過ごしていた。しかしある時、知ってしまう。食糧不足で餓死する人間が、この世に数え切れないほど存在すると。それに比べ私は、恵まれすぎている。たかおの胸は痛み、それ以来罪悪を感じながら食事を摂るようになった。罪悪の味がする。ああ、助けなければ、人々を。僕にできることは何か。たかおはユニセスに寄付することにした。早速仕送りの全てを寄付。たかおが使えるお金の全てだった。
どーん
すっきり
たかおはすっきりした。お金もすっきりした。食べ物を買うこともできない。三日間、たかおは何も食べずに過ごした。厳しい日々だった。それでも日課のランニングは欠かさない。四日目の今日もランニングへ向かった。
フラフラ、フラフラ
限界だった。
さあ、外に出よう。ドアノブに手を掛ける。
バタッ
ついにたかおは倒れた。栄養失調だった。
何か食べなければいけない。たかおはちょうど掴んでいたドアノブに噛み付いた。
ガブリ
ドアノブは、まるでドアノブのように硬かった。
ガリガリガリ
たかおは必死に噛み砕き、飲み込んだ。
ゴクリ、ゴクリ
元気百倍。さあ行こう。しかし、ちくちく、ちくちく、いたたた、お腹が痛む。なにか、変なものでも食べたかな。ああそうだ、お腹をなくせば、痛みもなくなるのではないか。そうだ、そうだそうだ。たかおは台所に行き、包丁を手に取った。これでお腹を切り取るのだ。たかしは包丁でお腹を切った。
シャキーーン
いろいろ飛び出る。いたたたた。たかおは気を失った。
バタッ
ガシャーン
突如、窓が割れる。泥棒さんが入ってきたのだ。隣の部屋では受験生が受験勉強をしていたので、代わりにたかおの部屋に来たのである。さあ、何を盗もうか。ワクワクしながら辺りを見回す。と、人が倒れている。大変だ、大変、だ。救急車を呼ばなければ。
「火事ですか、救急ですか。」
「救急です。泥棒に入った部屋に、人が倒れているのです。」
「まあ、優しい泥棒さんですね。」
「ふふふ、私は彼から、死を奪うのです。」
「ははあ、そんなことを言って。実は見て見ぬ振りをして立ち去った後、バレてしまい、殺人の疑惑をかけられるのが怖いだけではないのですか。」
「失敬な!第一発見者となる方がリスクが高いだろう!!」
泥棒さんは激怒した。
ピーポーピーポー
救急車がやって来る。救急隊員が四名、降りて来る。タタタタタッ。泥棒さんは激怒していた。よって救急隊員を一人、包丁で刺した。
グサリ
彼は倒れた。それを見た残りの救急隊員が、なにやら話し始めた。
救急隊B「大変だ。隊員Aが刺されたぞ。埋葬しなければならないのではないか。」
救急隊C「しかし、どのように埋葬しようか。」
救急隊D「そんなのどうでもよい。さっさと庭に埋めてしまえばよいのだ。」
救急隊B「うーむ、最近は地球温暖化が進んでいる。地球温暖化解決のためには森林を増やさなければ。森林に埋葬して、木々の養分にさせるべきだ。」
救急隊C「私は隊員Bに賛成である。地球温暖化のせいで娘の未来が心配だ。せっかくなので、森林に埋葬すべきではないか。」
救急隊D「私は反対である。なぜなら私たちはたかおを病院に運ぶことを優先すべきで、埋葬に時間をかけるべきではないからだ。」
救急隊B「否、たかおを助けても地球温暖化の解決には繋がらない。よって隊員Aを森林に埋葬すべきである。」
救急隊C「賛成、賛成。」
救急隊D「うーむ、2対1。私の負けである。多数決の原理。仕方がない。」
そういうと三人の隊員は隊員Aを救急車にのせ、走り去って行った。
ブーン、ブーン
仕方がない。私が運ぼう。泥棒さんはたかおを担ぎ、病院へと急いだ。
タンタタッタタタッ
病院につく。受付に見せる。
「これは大変。医者へ、医者へ。」
医者に見せる。
「これは大変。手術、手術。」
手術は成功した。たかおは一命を取り留め、しばらく入院することになった。話を聞いたたかお母がやってきた。
「たかお、どうしたのだ。」
「私は貧しい人々を救うため、ユニセスに寄付したのだ。仕送りの全てを。その結果食べるものがなくなり、こんなことに。」
「流石は我が息子。私も習わなければ。」
たかお母も早速、全財産をユニセスに寄付した。しかし、間違えてウニセスに寄付してしまっていたため、全てはウニの餌になっていた。
バッド、エンド
完
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます