うなぎ℃

 夏だ、暑い。今日の気温はうなぎ。誰か助けてくれ。


 ピッ


 私はクーラーの設定をカラスにした。カラスはうなぎを食べるだろうか。


 ジーーーーッ


 私は観察した。


 カーッカーッカーッ


 ウナギウナギウナギ


 カーッカーッカーッ


 ウナギウナギウナギ


 食べない。


 すると、


 ♪〜タタタターンッ、タタタターンッ、タタタタッ、タタタタッ、タタタタッ、タタタタッ〜♪


 どこからか結婚行進曲が聞こえてきた。その流れで、うなぎとカラスが結婚しそうである。


 私「永遠の愛を誓いますか。」


 カラス「カーッ。」


 私「永遠の愛を誓いますか。」


 ウナギ「ウナギーッ。」


 カラスとウナギは結婚した。おめでたい、おめでたい。二人は幸せそうだった。


 しばらくすると、子供が生まれた。私はその子供に『ウナス』と名付けた。


 私「やあ、今日から君の名前は『ウナス』だ。」


 ウナス「アギャグヂャグャーーブジャ」


 ウナスは苦しんで死んでしまった。どうやら、『ウナス』という名前がとても気に入らなかったらしい。しかし、他者から与えられた名前が気に入らなくて死んでしまうなんて、愚かすぎる。生物ならもっと主体的に生きて欲しい。こんな生物、死んで当然。私は思った。そこでふと、うなぎとカラスを見る。彼らは子供が死んでしまい、悲しんでいるだろう、と思った。


 カカカカーッ、カッカッカ


 ウナギナギーッ、ナギナギーッ


 彼らも、子供があまりに貧弱すぎて怒っているようだった。


 死んでも親が悲しんでくれないなんて。私はウナスが可哀想になってきた。そこで私は、ウナスの墓を作った。『ウナス』という名前が気に入らなかったようなので、お墓には『ウラス』と書いておいた。


 それにしても、このカラスとウナギ、子供が死んで怒るなんて、毒親に違いない。これ以上子供を産めないように別々に隔離しよう。私はウナギをお風呂に、カラスをカラス置きにいれた。


 その後カラスは酸素と子供を作ったが、その子供は窒素に食われてしまった。カラスはカラス置きにいた。酸素は川で芝刈りをしていた。


 次の日の気温はカエル。昨日のウナギはカエルになっていた。

 カラスはカエルを食べるだろうか。カエルをカラスと対面させて見た。


 ゲコゲコゲコゲコ


 カーッカーッカーッ


 ゲコゲコゲコゲコ


 ジジジジジジジジ


 ゲコーッゲッコーッゲギャギャギャア


 カラスはカエルを異次元に飛ばした。その日の気温はカラスになった。私は、すごいな、と思った。


 文明(クーラー)の勝利、文明(クーラー)の勝利


 完

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