道路、ドーロドロ

「居酒屋いかがすかー、居酒屋いかがすかー。」


 午後7時、駅前、人々が慌ただしく行き交っている。私は客引きをしていた。なぜなら客引きだったから。人々の反応は良くない。概ね無視される。かなC、かなC。


 ふと、ある看板が目に入る。


『客引き禁止』


 どうやら客引きは違法行為だったようだ。私は法律遵守人間なので、客引きをやめることにした。私はやることがなくなり、ぼうっとしていた。あ、アリが歩いている。


 アリリリリ、アリリリリ(テクテクテク、テクテクテク


 ドドドドギャーーーン


 長い舌でアリを食している。そんな映像が突然あたまに浮かんだ。これはなんだ、、、。


 ....そうだ、これは前世の記憶。私の前世はアリクイだったのだ。その瞬間から食欲が止まらなくなり、気づくとアリを食べていた。


 ペロペロペロペ、ロペロペロ


 しかし、アリを食べるために道路も舐めてしまう。道路はザラザラする。あまり舐めるのに向いていない。不快だ。だが、アリを食べるためには、舐め続けなければいけない。


 ペロペロペロペ、ロペロペロ


 すると、道路がだんだん柔らかくなり、アイスのように溶け始めた。


 道路、ドーロドロ、道路、ドーロドロ


 道路が溶けたので、そこにいる人々は困り果てた。


 困ったなあ、この道は歩きにくい。居酒屋にでも行こうかな。


 困った人々は居酒屋に入っていった。居酒屋は大繁盛。


 ヤッタネ、ヤッタネ


 完

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