ニッポン人とスッポン人とスポンジ

スッポンが池で泳いでいる。

スポー、スポー


近くで人間が騒いでいる。サッカーの応援をしているようだ。


ニッポン、チャチャチャ、ニッポン、チャチャチャ


どうやら彼らはニッポン人というようだ。彼らがニッポン人なら、僕たちはスッポン人だ。スッポン国をつくろう。早速スッポンたちを集め、スッポン会議を始めた。


「スッポン国をつくろうじゃないか。」


スポー、スポー、スポー、スポー(賛賞の声


スッポン国建設が決定した。


一方、この話、スポンジたちの耳に入る。


おい、スッポン達が、スッポン国を作るらしいぞ。なんてこった。俺たちこそスッポン人だ。負けるものか。

スポンジたち、スッポンたちに対して怒りをあらわにする。


次の日のスポンジたち、一斉にスッポン池に進んでいく。

スッポンジッ、スッポンジッ(行進する音


スッポン池についたスポンジたち、スッポンたちに宣戦布告。

「スポスッポッスッポンジジジー」


スポンジたち、一斉にスッポン池の水を吸い始める。


すーぽーーーんーーーじぃーーーーすーぽーーーんーーーじぃーーーーすーぽーーーんーーーじぃーーーー


為すすべないスッポンたち。深く絶望する。


俺たちはもうダメだ。ここで干からびて死ぬんだ。


そこに人間が通りかかる。人間、スポンジに問う。

「君たちは何をしているんだ。」

「スポンジッジスポンジッジ。」

「なんでそんなことをしているんだ。」

「スポンジッジスポンジッジ。」

「なんだって。いいかい、よく聞きなさい。ニッポンというのは、人間という種を国という単位に分類したときに生じた種族であって、種の名前ではないのだ。君たちの原理で行くと私たちは人間国人の人間人だぞ。」


なんてこった。スポンジたちもスッポンたちも己の愚かさに絶望した。反省したスポンジたちは吸収した水を排出しだした。


はーーーいすーーーいはーーーいすーーーいはーーーいすーーーいはーーーいすーーーい


スッポン池は、元どおり。スッポンたちは安心した。


それに、スッポンがスッポン人だったら、スポンジたちはスポンジ人ではないか。



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