しゃべるお札

 ある昼下がり。私は部屋で昼寝をしていると

「おい、お前。」

 どこからか声がする。

「ここだ。ここだ。」

 どうやら財布の中から聞こえているようだ。財布をひっくり返す。すると、声の主がわかった。一万円札の、福沢諭吉だ。

「俺は福沢諭吉だ」

 といった。一万円札の絵柄の口の部分だけが動いている。

 これは、福沢諭吉と喋ることができる千載一遇のチャンス。私は感動した。そこで私は、かねてから疑問に思っていたことを投げかけた。

「あなたは、天は人の上に人を作らず。と言いましたね。そこで質問です。『天』とは?」

「違う違う。」

 彼は言った。

「私は『天は人の上に人を作らず』なんてことは言っていない。『テ○ガは人の上に人を作らず』といったのだ。」

 え、私は再び質問した。

「それは、あのアダルトグッズメーカーの『テ○ガ』ですか。」

 彼は深く頷いた。そうだったのか、あの名言にそんな秘密があったとは。

「どうしてそんなことを言ったのですか。」

「特に意味はない。ある時私は、オナホールを使って気持ちよくなっていた。そして、気持ち良さのあまり、なんとなく『テ○ガは人の上に人を作らず。』と言ったのだ。この発言にはなんの意味もない。しかし、それを偶然オナホールが、『天は人の上に人を作らず』と聞き違えたのだ。そのオナホールは感動してしまい、私の名言として、ツイートした。それが爆発的にに広がって、今のようになってしまったのだ。」

 私は違和感を感じた。こいつが言っていることは、なにかがおかしい、、、、。

 ピカリリリーーーーン

 閃いた。

 そう、福沢諭吉が生きていた時代にはテ○ガもツイッターもなかったはずである。私は確信した。こいつは、嘘をついている。

 私はその点について激しく叱責した。そして言った。

「さてはお前は福沢諭吉ではないな。誰だ。」

「僕ドラ○もんです。」

 へえ、そうだったんDA


 完

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