ゲボゲボヘアー

 美容師が、若い女の髪を切っている。美容師は食中毒で吐き気を催していた。


 ゲロゲロゲー


 美容師、ふとした刺激で女の頭に嘔吐してしまった。臭いなあ、触りたくねえ、終わりでいいや。

「お疲れ様でした。今流行りのゲボゲボヘアーにしておきました。これはサービスです。」

「あらありがとう。いいゲロですね。」

 臭かったが、イケメン美容師がいうなら間違いない。変な流行もあるものだなあ。女は思った。

 次の日、ゲボゲボヘアーのまま女は学校に行った。女は友人にゲボゲボヘアーを自慢した。

「今流行りのゲボゲボヘアーよ、うふふふふ。」

 友人達は臭いなあ、と思った。しかし、スクールカースト最上位の女さんがいうなら間違いない。友人たちはゲボゲボヘアーを褒めた。

「ゲボゲボヘアー、素敵ゲボ、素敵ゲボゲボ。」


 ゲロゲロゲー


 ゲボゲボヘアーの臭いにつられ、みんな嘔吐。頭に掛け合った。

 こんな感じで、ゲボゲボヘアーは町の噂になった。しかし、ある医者が異議を唱えた。医者は言った。

「衛生的によくないゲボ。」

 これを聞いた人々、衛生と衛星を勘違いした。ゲボゲボヘアーを続けるには人工衛星が邪魔なのね。みんなで人工衛星を撃ち落とした。


 バキュン、バキュバキュン。


 ピューーーーン、ドッカーーーーーン


 世界中の通信が麻痺した。インターネットもテレビも使えなくなった。パニック、パニック。一方、ゲボゲボヘアーだけはどんどん広がっていった。このせいで感染症が世界中で大流行。パニック、パニック。情報が得られないなか人々は食料を得ることに躍起になり、食料をめぐる争いが起こった。争いは徐々に規模を拡大していき、人類、完。


 完

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