スッポンポー革命

 鳩が鳴く。クルッポー、クルッポー。

 あっちの鳩も、クルッポー、こっちの鳩も、クルッポー。


 スッポンポー、スッポンポー

 あれれれれ、変な鳴き方の、鳩がいる。

 スッポンポー、スッポンポー。

 この鳩は、みんなと鳴き声違うけど、なんだかとても、楽しそう。

 スッポンポー、スッポンポー。


 その鳴き声が、人間Aの目に止まった。

 なんだこの鳩は、卑猥な鳴き声しやがって。こんな声で鳴かれたら、人間の風紀が乱れちまう。猥褻罪で死刑だ。

 銃を取り出す。


 バーーーーーーーン


 スッポンポーーーーーーーッッッッ


 スッポンポー鳩、死んでしまった。

 鳩たちはとても悲しかった。人間に腹が立った。みんな、スッポンポー鳩が大好きだったのだ。そこで、鳩たちは考えた。なぜあいつが死ななければならなかったのか。そして、なぜ撃たれたのはあいつだけなのか。

 ある鳩、閃く。

 俺たちとあいつの違い、それは鳴き声だ。きっと、スッポンポーが原因で撃たれたに違いない。

 多くの鳩たちが賛成した。そうだ、それに違いない。

 そこである鳩がいった。

 仲間が撃たれて、黙って引き下がれるか。明日からは俺たちも、スッポンポーと、鳴いてやる。

 おお、おお、賛同の声が上がる。ここに、スッポンポー同盟、誕生。


 次の日。

 鳩が鳴く。スッポンポー。

 あっちの鳩も、スッポンポー、こっちの鳩も、スッポンポー。


 人間A、考える。困ったな、この鳩みんな殺しちまったら、急激に生態系が崩れて、環境が崩壊し、人類が滅んじまうぞ。どうしたものか。


 悩んでいるうちに昆虫や木々、草花も鳩の味方をしだした。


 木々が囁く、スッポンポー、キリギリスたちの、スッポンポー。

 あっちを見ても、スッポンポー、こっちを見ても、スッポンポー。


 人間Aは困り果てた。どうすればいい。もう人間の風紀が乱れるのも時間の問題だ。


 予想どうり、スッポンポーは人間界にも飛び火した。そして、それは社会現象に。


 テレビをつけるとスッポンポー、ラジオをつけてもスッポンポー、インスタグラムも、スッポンポー。


 最早、反スッポンポーは、Aだけだった。ぐぬぬぬぬぬ、仕方がない、今日から俺も、スッポンポー。


 世界が一つになった瞬間であった。

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