第6話

 授業が終わった放課後は部活、それが終われば帰るだけ。そして、ツインエンジェルとして出動するかどうかは、悪党たちの気分次第――。

 とはいえ最近は幸か不幸か出動もなくて、単調な毎日の繰り返し。……その生活が一変したのは、お兄様から生徒会の仕事を引き受けてからだった。


 ……あ、違った。依頼されたのは正確に言うと、水無月先輩たちからだ。お兄様の言葉の印象が強すぎて、時々忘れてしまいそうになる。


 それはともかくとして、いつもどおりに薙刀部の練習を終えた私は制服に着替えると、まっすぐ学院寮に……ではなく、三年楓組の教室に戻る。そして自分の席につくと早速、仕事を始めていった。


「川流美さん。コピーしたこの書類を三枚で三十一セットにしてもらえる?」

「おっけー!」


 部活帰りに受け取ってきた書類の束を川流美さんに渡すと、彼……いや、彼女は鼻歌を歌いながらコピーした資料の仕分けを始める。

と、ほぼ時を同じくして教室の扉が開き、羊の被り物をした宇狩さんが大きなファイルを抱えながら教室に入ってきた。


「戻ったぱ~!」

「あ、お疲れさま。中等部生徒会室から、去年の予算資料を借りてきてくれた?」

「おー! なんか、それっぽいのもらってきてやっただぱ~!」


 クラスメイトの中でもひときわ小さな彼女は、そう言って私たちの方へ駆け寄ってくる。しかし、


「だぱっ!?」


 突然、床には何もなかったはずなのに足を取られたようにつまずき、その転んだ弾みでファイルが宙を舞う。そして身体が、危険な角度で倒れ込むのを見て――。


「危ないっ!」


 私は椅子を蹴飛ばして立ち上がり、宇狩さんの身体が地面に激突する寸前に左腕で受け止めた。

 続いて、鳥が羽を広げるようにページが開かれたまま空に浮かんだクリアファイルは、右手でキャッチ。どちらも間一髪で捉えることができた。


「宇狩さん、怪我は無い?」

「助けてもらったの、はじめてだぱ~。如月、いいやつだぱ~♪」

「それほどでも……あ、悪いけど予算資料からこのチェックリストの項目を探して、メモを取ってもらえる?」

「んー、よくわかんねえけど、やってみるだぱ~!」


 ファイルと同時に手製のチェックリストを渡すと、彼女は手近な机に座ってパラパラと書類の束をめくり始めた。


「皆が己の力を出し尽くさんとばかりに尽力している……ならばこの寿麗、文化祭をスムーズに進めるために当日の天気を的中させて……」

「寿さん、当日の天気予報の前に去年の来客リストを職員室から貰ってきてもらえるかしら。事務の先生に言えば出してくれると思うから」

「……う、承った」


 寿さんはポケットから取り出したタロットを元の場所に戻しながら、とぼとぼと出入り口へと向かっていく。

 力になろうとしてくれているのはわかるが、文化祭はまだまだ先の話だ。天気よりも、気にしなければいけないことが他にも山ほどあった。


「……それよりも」


 教室で作業をしている川流美さんと宇狩さん、そして職員室へ向かって行った寿さんたちが手伝ってくれるようになった経緯を思い返す。

 私が高等部の生徒会室に呼ばれた、翌日――。

 放課後、ひとり教室に残って作業をしていると、忘れ物を取りに来たという彼女たちに「何をしてるの?」と尋ねられ、その話の流れで手伝ってくれることになったのだ。

 最初は、私が頼まれたことだから大丈夫、と言って断ろうとしたが、「文化祭はみんなのお祭りでしょ?」と半ば押し切られてしまい……今ではこうして、いろんな方面で頼りにさせてもらっている。

 正直に言うと、任された仕事は私ひとりでもなんとかなる分量だ。とはいえ、実際彼女たちに手伝ってもらうと仕事が早くて、何より気分が軽くなっていることも確かだった。


「お疲れ様ー。こっちはどうかしら」

「伊院さん」


 そうしているうちに再び教室の扉が開き、伊院さんが入ってきた。


「中高合同の文化祭会議は?」

「さっき終わったわよ。私も手伝えることある?」

「でも、伊院さんはクラスの仕事が……」

「現状出来ることは全部終わったわ。必要な書類も全部提出済みだし、購入予定表も全部出してあるから」

「えっ……もう?」

「うん。学院祭の準備をクラス委員長として手伝うのはこれで三回目だし、慣れたものよ。だから、私にもお仕事ちょーだい、ねっ♪」


 彼女はポンと自分の胸を叩き、あわせてそのふくらみもたゆん、と揺れる。外見も内面も大人びていて、とても中学生とは思えないが……その存在感が無性に心強かった。


「千代理は一年の時から、毎年クラス委員長だしねー」

「できるやつだぱ~。中学生離れだぱ~」

「なんか褒められた気がしないけど……まぁ、そういうことだから。手伝えることなら、なんでもやるわよ」

「……ありがとう」


 私一人で、終わると思っていた。私一人で、終わらせるつもりだった。

 でも、このクラスだともう、そんなふうに「孤独」になることができない。私が断っても、みんながあれこれと言いながら私の仕事を持っていってしまうからだ。

 今の状況は、正直くすぐったく感じられるけれど……いずれ慣れて、これが当然という日がくるのかもしれない。

 それでも、彼女たちがこうして私を気遣ってくれることへの感謝は忘れないように……そんな感慨に浸っていると、視界の中で伊院さんがにこり、と微笑んだ。


「その代わりに……如月さんも、ちゃんとクラスの出し物に参加してもらうわよ。今年のうちのクラスの模擬店、喫茶店になったから」

「喫茶店……? 私、料理はあまり得意じゃないんだけど」

「問題ないぞよ」

「うわっ、麗!?」


 にゅっ、と音もなく寿さんが現れた。


「びっくりした……音もなく現れないでよ、心臓止まるかと思ったじゃない」

「お主が閉め忘れたであろう扉が、開きっぱなしだったせいである。ふむ、身体以外にもだらしないところがあったとは新発見なり」

「身体は関係ないでしょ、身体は!」

「それはそうと、来客リストを獲得したぞよ」

「あ、ありがとう……って、問題ないってどういうこと?」


 受け取ったファイルを抱えながら尋ねると、寿さんはスッとタロットカードを取り出すと私に突きつけながら宣言した。


「刮目せよ!……これはッ! 運をメイド喫茶に任せよと出ているッ!!」

「えッ」


 メイド……家政婦さんの外国における呼び方だ。

 でも、現代日本でメイドといえば、ふわふわとしたフリルとフリフリレースたっぷりの衣装を着て、「お帰りなさいませ、ご主人さま♪」とか言ったりする……あのメイドしか浮かばない。

 もちろん、お兄様がご主人様だったら喜んでこのすみれ全身全霊を持って尽くさせていただくというかむしろ尽くさせて頂きたい! とお願いしたいところだけれど、見知らぬ他人をご主人様と呼ぶのは……正直、若干の抵抗があった。


「えっと、私……メイドは、ちょっと」

「抵抗してもムダよ~! もうすみれのメイド服、用意してあるしっ☆」


そう言って川流美さんは私の肩に手を載せながら、にやりと笑ってみせる。……この手際の良さから考えて、かなり用意周到に進められていたようだ。


「うむ、諦めよ。腹をくくるが吉、と占いにも出ているぞよ」

「いや、だからって勝手に決められても……」

「まぁまぁ、いいじゃない。如月さんのメイド服姿、今から楽しみだわぁ~♪」

「ゆーきも、メイド服着るのめっちゃ楽しみ☆……ってか色々喋ってたら、書類どこまでセットにしたかわかんなくなっちゃったぁ!」

「ゆーき頭悪いだぱ~」


 教室の中が賑やかな声で満たされる。せっかくお兄様に頼まれた仕事があるのに、こんな寄り道をしている暇は無いと理解しているはずなのに、なんだかこの空間が心地よくて ……でも。


「だぱ~っ!」


 ふいに、ドンガラガッシャーン、と響き渡った音に慌てて振り返ると、なぎ倒された机と椅子のそばで宇狩さんが大の字で転がっていた。どうやら転んだ拍子に、椅子と机を巻き込んで倒れたらしい。


「大丈夫?」

「痛くも痒くもねぇだぱ~」


 慌てて手を貸して、彼女を助け起こす。するとその身体の下から鞄が現れて、開いた口から中身が飛び出した。……私のだ。


「あら、大変。……大丈夫、怪我はない?」

「ぶちまけたぱ~!」

「いいの、気にしないで」


 誰ともなく床に散らばった中身を拾い集めてくれる。私はそれを受け取って、鞄の中に収めていった。すると、


「やーん、このマステめちゃイケ! もしかしてこれ、すみれの!? 意外にカワイイもの好きなんじゃーん♪」


 歓声をあげた川流美さんの手に、握られていたもの。それは、袋に入ったままの二つ一セットのマスキングテープだった。

 ルンルンとリンリンにそっくりなミニチュアダックスフントが、可愛らしくぺろりと舌を出している。やはり他の人から見ても目を引かれるようで、それが少しだけ嬉しい。


「ねね、2個入りなら1つ私に売ってくれないっ? めっちゃ女子力上がりそう~!」

「ごめんなさい。それはめぐるに頼まれて買ってきたものだから……」

「あ、そーなんだー! 納得~! めぐるめっちゃ好きそ~コレ!」

「……そうね。はい、付箋ならこれを使って」


 私は鞄の中から付箋を取り出し、それと未開封のマステセットを引き換える。ちょっと言い方がどうだろうと思ったが、川流美さんは特に気にしたふうもなくそれを受け取ってくれた。


「そういえば、めぐるって検査入院してるんだよね。あんなに元気だったのに……」

「某の占いをもってしても見抜けなかったとは、不覚の極み……」

「いねぇと静かだぱ~……」


 それまでにぎやかだった教室が、めぐるの不在を再認識した途端ふっと明かりが消えたように静けさを取り戻す。

 あの子の存在の大きさを認識していたのは、私だけじゃない。伊院さんたちも同様に、今ここに居ない彼女のことを慮ってくれていた……。


「まぁまぁ。そんな大げさじゃないって本人も言ってたことだし、あまり深刻に考えないようにしましょう。それに、めぐるが帰って来た時に文化祭の準備が終わってなかったら、きっと張り切りすぎて本当に倒れちゃいそうじゃない?」

「うんうん、そーよねっ! よーっし、準備、巻きで行くわよ~っ!」

「ハアァァッ!……うむ、今出来ることをすべき、と占いにも出ているぞよ」

「それ占いじゃねぇだぱ~」


 伊院さんの言葉に励まされたのか、クラスに活気が戻り始める。さすがは、三年連続でクラス委員長と言うべきだろうか。

……とはいえ、真実を口に伝えられないことに対しては、若干の後ろめたさを否めない。内心でそっと謝罪の言葉を呟きながら私は制服のポケットに手を入れて、自分のスマホを取り出してみた。


「……そういえば最近、連絡来なくなったな」


 めぐるは自他共に認める機械音痴で、スマホは持っていない。とはいえしばらく修行に出るということもあって、みるくちゃんが私物のひとつを貸してくれていた。

 最初の数日は「めーるおくれてる?」「げんきだよ」「すみれちゃんもがんばつて」などと辿々しさを匂わせながらもメールを送ってきていた。……だけど、最近は私が様子をうかがうメールを送っても、返事が来なくなったのだ。


「修行、大変なのかな……」


 毎日修行で疲れて、メールの返信なんてすっかり忘れている……そんな理由なら、まだいい。でも、もし事故か何かで怪我を負ったりしていたら……?

 考え始めると、嫌な予感が一気に胸の内に広がる。めぐるがメアリに浚われたあの日のことが鮮明に蘇り、くらりと目眩がした。


「……ごめんなさい、少しお手洗いに行ってくる」

「おけー☆」


 明るく見送られた私は、廊下に出るとトイレに向かう。そして個室に入って鍵をかけ、登録したばかりのめぐるのスマホに電話をかけた。

 コンパクトを使っての通信も考えたが、今は少なくとも平時だ。緊急事態でもないのに私的利用はどうかと思い、控えることにする。


「…………」


 コールの音を数える。一、二、三、四、五……やがてカウントが二桁に達したけれど、電話は延々と持ち主を呼び続けるだけ。出る気配は無かった。

 むなしいカウントが三十に届く前に私は通話を切り、短いメールを作成した。


『そっちはどう? ちゃんとご飯食べてる?』


 送信ボタンを押し込み、はぁと息を吐く。

 もしかして、本当に何かあったんだろうか。一度、お兄様に相談してみるべきだろうか。

 そう考えながらトイレを出て、教室に向かう途中――。


「……なんだか、騒がしいわね」


 窓の外から聞こえる物音が、今日は妙に響いてくることに私は感づく。校庭かと思ったが、どうやら違う……この響きは、学院寮のある方向からだろうか。

一応様子を確かめておこうと思い、私は廊下を引き返す。

ここから直接寮に向かうと、階段を降りて校舎をぐるりと半周するため、余計な時間がかかる。だから――。


「っ……!」


 人気の少ない廊下を走り抜けて、階段を目指す。そして息が切れるのもかまわず一気に駆け上り、鉄の扉を開け放った私は屋上へと飛び出した。

 吹きすさぶ突風にほんの一瞬目を細めながら、コンクリートの床を赤く染め上げる夕焼けに気持ちを切り替え……軽く息を整えると、寮のある方向の手すりから身を乗り出す。

 そこで私が目のあたりにしたのは、先日私とめぐるで退けたのと同じ、フクロウの仮面――それをつけた巨大な敵が、赤と青のシルエットに襲いかかる光景だった。


「やあああっ!」

「せいっ!!」


「水無月先輩、神無月先輩…!?」


 一歩も引かず、勇猛果敢に戦い続ける先輩たち。とはいえ、相手は巨大な武器を振り回して地面に大穴を開けている。彼女たちは上手く避けているけれど、このままだといずれ追い詰められてしまうことは明白だった。


「(どうする……どうすればいい……!?)」


 今までなら、何も考えずに飛び出せた。でも、私よりも早く飛び出していっためぐるはここにいない。


「(本当に、一人で戦えるの……?)」


 今さらかもしれない。だけど、こんな時になって自分が一人だという恐怖が背中に張り付き、恐怖で心を震わせていた。

 ……その瞬間、隣でふわり、と明るい色の髪がひるがえった――ように映る。そして、


 ――いくよっ、すみれちゃん!


「えっ!?」


 一瞬現れためぐるの幻は、黄昏の空に溶けるようにして消えていく。

 今のは、なんだったのだろう……ううん、なんでもいい。

 恐怖でつい忘れそうになってしまったけれど、やっと思い出した。


「……大丈夫。約束、したもの……っ!」


 めぐるが帰ってくるための場所を、守らなくちゃいけないから――。

 私は決意を固めると、屋上の柵に両手をかけて乗り越える。赤く燃え上がる夕陽が視界を覆い、強い風が髪をなびかせていった。

 

「――よし、行くわよっ……!」


 ポケットからコンパクトを取り出すと、手のひらの中にメダルが出現する。それと同時に私は大きく息を吸って……吐き出しながら柵を蹴り、空へと飛び出した――。


「ジュエリー☆えんじぇる!!」


 叫びとともにメダルをコンパクトにセットした途端……周囲が、光に包まれる。重力、そして世界の法則から離れた場所で身を包むのは、文字通りの力――。

 ツインエンジェル――世界を守る、天使の力だった!


「黄昏に煌めく一番星、エンジェルサファイア! 夕陽と共に、沈みなさいっ!」


 落下の勢いを校舎の側面を蹴ることでさらに加速させ、出現させた長刀の刃を敵の右肩口に鋭く突き刺す。

 眼前の先輩たちに気を取られていた敵にとって、空からの一撃は完全に不意を突かれた格好で……その場に奇声を上げながら、もんどりうって倒れた。


「っ、すみ……サファイア!」

「援護します! はぁぁっ……!」


 巨大な両腕を振り回すことで二人の接近を退けていたが、右腕は私の一撃で封じた。今なら……!


「エンジェル……アロー!!」


 ブルーの弓矢が虚空を切り裂く。狙うは頭部、生物の弱点!


「グルアアアアアアアアアア!!」


 彼女の放つ天使の矢は、あっさりと無傷の左手によって弾かれる――だけど、狙いはそっちじゃない!


「エンジェルローリングサンダー、黄昏!」


 身を屈めて地面すれすれの体勢で駆け出し、左足に連続して長刀を突き出す。

 皮膚はまるで金属のように硬く、一撃ではたいした傷は負わせられない。でも、幾重にも裂け目を作れば話は別……!


「雨垂れ石を穿つ……連続して攻撃を重ねれば、体勢を崩す程度の傷は作れるっ!」


『ギィア、ァアアアアアア……!』


 その読み通りに敵は巨体を支える力を失って、体勢を崩す。その頭上に夕日を背負った赤い影が、竜巻を伴って襲いかかり――!


「エンジェル……トルネード!!」


 螺旋の槍となったレッドの一撃が、巨体の頭部へと突き刺さる。強烈な破砕音とともにその身体が崩れ落ち、……どうっん、と地面に倒れ伏していった。

 なんとか、決着がついたらしい……。


「お二人とも、怪我はありませんか?」

「う、うん。大丈夫……ありがとう、すみれちゃん」

「助かりました。遥さんが近づこうにも腕の勢いで阻まれ、私の弓も弾かれて攻撃が届かず……なんとお礼をいえば」

「かまいません。それより、この敵はなぜ……っ?」


 敵のことを尋ねようとした瞬間、その巨体が突然少しずつ光り始める。

 それは、倒れ伏した敵の全体を包み込み……やがて収まるとそこにあったものは跡形もなく消えて、残っていたのは――。


「二つに割れた、メダル……?」


 おそるおそる割れた二つのメダルを拾い上げる。

 質感は鉄のようだが、触っても冷たさはほとんど感じない。表面には何かの紋様が彫り込まれていたようだけど、割れた衝撃で表面にヒビが入っているせいか、一瞥しただけではよくわからなかった。


「怪物の中から、メダルが出てきた……ううん、怪物がメダルになっちゃったの……?」

「これはいったい、どういうことですか?」

「わかりません……ですが、最近このようなことが町のあちこちで起きているそうです」

「えっ?」


 倒した敵が、メダルに変わる……?

 初めて聞く話に、私は神無月先輩にどういうことかを尋ねようと口を開きかけて――。


「みんなー!!」


 森の中からこっちに向かって走ってくる白い影に気づき、話す機会を逸してひとまず口を閉じた。


「はぁ、はぁ……っ、そのメダル。やっぱり、こっちにも出たのね」

「こっちにも、ってどういうこと?」

「聖堂の方にも出たのよ、似たような敵が」


 その言葉にすぐ納得する。みるくちゃんが変身している事実が、なによりの交戦の証だった。


「幸い、エンジェルボムでなんとかなったけどね。だけど、メダルから生み出された怪物……まさか……」


 そう言いながら、彼女が広げた小さな手のひら。

 そこには、私が手にしたものと同じ割れたメダルが握られていた――。

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