『反面教師の通夜』(課題:葬式)2016/8/2

課題『葬式』

目標:久しぶりに親族が集まる場所

儀式の場


駄作です。


『反面教師の通夜』



人 物

葛島達也(17)受験生

葛島由紀子(44)達也の母

葛島栄一(47)達也の父

河合圭一郎(26)達也のイトコ

河合コウキ(19)同

河合夕実(15)同

河合ジュリア(22)圭一郎の妻


〇喫茶店・外観(夕)

 個人経営の喫茶店。


〇同・内(夕)

 店内に客はまばら。

 テーブル席に座る葛島達也(17)、その向かいに座る葛島栄一(47)、葛島由紀子(44)。

 テーブルに全国模試の成績表。志望校合格判定、F判定の文字。

達也「……だから、オレは大学行かねーって言ってるだろ。ゲームの専門行くからさあ」

由紀子「あのね、お母さんね、達也の夢は応援してあげたいんだけど、やっぱり大学には行ったほうがいいと思うの。ほら、就活のときに困っても遅いじゃない? 好きなことを仕事にするのは難しいっていうし」

達也「オレ、ゲーム会社以外で働く気ねーし」

由紀子「それだけって決めてかかったら、その仕事につけなかったらどうするの?」

達也「だーいじょぶだって。イトコの昴輝さんっているじゃん? あの人、いわゆるユーチューバーとかってゲームの実況動画を配信してお金稼いでるんだよ。そういう人だっているんだから平気だって。今は好きなことやってお金稼ぐ時代になったんだよ」

由紀子「河合さんとこの昴輝クンのこと? 高校卒業してから、仕事しないで、ずっと引きこもってるって聞いたけど……」

達也「それは母さんがそういう世界を知らないだけだって」

 由紀子、ため息。

由紀子「ねえ、お父さんからも何か言ってあげて」

 栄一、腕を組んで気難しそうに眉間にしわを寄せている。

由紀子「お父さん!」

 栄一、ハッとして、

栄一「ああ、スマン。なんの話だっけ?」

由紀子「(ムッとして)お義父さんの具合が心配なのはわかるけど、今は達也の進路のことを考えてよ」

栄一「(重苦しく)……そうだな」

達也「おじいちゃん、そんなに悪いの?」

栄一「週末にはお見舞いに行こうな」

由紀子「その話は今はいいの。達也の進路の話でしょ。この前の三者面談で先生とお話ししたけど、この夏が勝負だから予備校に行かせるべきよ」

達也「だからー、行かねーって。専門行くって言ってんじゃん」

 サザンオールスターズの着メロ。

栄一「スマン、ちょっと妹からだ」

 席を立ち、折り畳みのガラケーで電話にでる栄一。

栄一「なんだって!? そうか……わかった」

 携帯を閉じ、席に戻ってくる栄一。

 席に着き、神妙な表情で鼻からため息。

由紀子「もしかして、お義父さんのこと?」

 不安げに栄一の顔を見る達也。

栄一「父さん、ついさっき息を引き取ったって」


〇興福堂会館

 入口に筆文字で『葛島家通夜式場』。


〇同・親族控え室

 長テーブルとイス、ポットに湯呑み、まんじゅうなどが置かれている。

 部屋にはボーッとした表情で、達也が一人、座っている。

ジュリアの声「コンニチハー」

 控室のドアが開いて、河合ジュリア(22)が赤ちゃんを抱えて入ってくる。

 ジュリアは褐色の肌で、カジュアルな服で薄着。

 ギョッとする達也。

 ジュリアの背後から喪服姿の河合圭一郎(26)が出てくる。

 圭一郎、達也に気づき、近づいて、

圭一郎「タツヤ君、だよね? オレ、覚えてる? イトコの圭一郎。こっちは妻のジュリア。フィリピン人」

ジュリア「ヨロシク」

達也「……ドモ」

圭一郎「5、6年ぶりかな? タツヤ君は小学生だったよね? 覚えてないかな」

達也「覚えてますよ。ばあちゃん家に日本人の彼女連れてきてましたよね? すごい美人の」

圭一郎「(まいったなあという顔)ちょっと外でタバコ吸ってくるよ」

ジュリア「早く戻ってキテよ」

圭一郎「タツヤ、ジュース奢ってやるよ」


〇同・外

 タバコの煙をふかす圭一郎。

 隣でジュースをチビチビ舐める達也。

圭一郎「ユカとはあの後、すぐ別れたよ。フラれたんだけどな」

達也「……」

圭一郎「父親に反対されたんだってさ。オレ高卒だったし、あの時は仕事コロコロ変えてたし信用なかったんだろうな」

達也「今の人とはどこで?」

圭一郎「仕事帰りに通ってたフィリピンパブでな。できちゃった婚だよ」

達也「……」

圭一郎「タツヤ、そんな目で見んなよ。そりゃお前ぐらいのトシじゃ、外人ってだけで偏見あるだろうがいいヤツなんだ」

達也「圭一郎兄ちゃんは昔さ、日本一の美人と結婚するって言ってたよね」

圭一郎「ジュリアは日本一、それにフィリピン一さ」

達也「……」

圭一郎「人生、なかなか予定通りにはいかないもんさ。お前もそのうち分かるよ」

 タバコの火を灰皿でもみ消す圭一郎。

圭一郎「先、戻ってるよ」

 入り口に歩きだす圭一郎。

 タクシーがやってきて入口に停まる。

 タクシーから中年男性と中年女性が出てくる。

 中年女性に助けられて、河合夕実(15)が下りてくる。

 夕実はお腹が大きい。

 河合コウキ(19)がタクシーを下りてくる。

 コウキは肥満体で髪がボサボサ、オタクっぽい見た目。

 中年男性、中年女性、夕実は会館に入っていく。

 コウキは達也の姿を見つけ、近づく。

コウキ「(半笑いで)や、やあ……ヒヒッ」

達也「コウキさん、ドモっす。オレ、コウキさんのゲーム実況動画観てます。再生数凄いっすよね。どれくらい稼いでるんスか?」

コウキ「アッ……。ありがと。広告収入でそれなりに? 稼いでるよ。君はどうなの? ゲームの専門、行くんだよね?」

達也「それなんスけど、母親が認めてくれないんすよねえ。じいちゃん亡くなったって聞く直前まで言い争いしてて……」

コウキ「それは大変だね……」

達也「つか、コウキさんの妹の夕実ちゃん? 妊娠してるんスか?」

コウキ「アッ、ウン……。そうだね」

達也「私立のいいとこの女子校通ってるんですよね? 見た目も真面目そうなのに…。相手の男、どんな奴なんスか?」

コウキ「アイツ、相手がだれか言わないんだ。親にも内緒にしててさ、子供は一人で育てるって……」

達也「……すごいですね。コウキさんの家族とは五年くらい会ってないだけなのに、こんなに変わってるとは思ってませんでした」

コウキ「しかも僕ね、実は家から追い出されそうになってるんだよね」

達也「動画投稿で稼いでるのに出てけって言われるんですか?」

コウキ「うん、まあ……」

達也「そうだ。オレも実況動画撮りたいと思ってるんですよ。キャプチャーボードとかどれ買ったらいいか教えてくださいよ」

コウキ「それは、また今度で……」

夕実の声「おい、クソニート! こっちきて手伝え!」

コウキ「行かないと……」

達也「(ムッとして)オレも戻ります」


〇同・内

 トイレ前で達也と夕実が会う。

達也「あ。ねえ、夕実ちゃん」

夕実「(不機嫌そうに)なに?」

達也「コウキさんをクソニート呼ばわりはひどくない? ゲーム実況で稼いでるし、ネットでは有名人だよ?」

夕実「はあ? アイツが? そんなわけないじゃん。アイツ今働かないからって親にパソコン取り上げられてるんだよ。そんなの絶対ウソだから。本当に引きこもりのクソニートだから」

達也「(目を丸くして)……」


〇同・セレモニー会場

 会場のパイプ椅子に親族たちが座っている。

 焼香をする達也の目は真剣。

 八〇歳くらいの老人の遺影。


〇同・外

 霊柩車が停まっている。

 達也、隣に由紀子に、

達也「母さん、オレやっぱ予備校行くよ」

 目を丸くする由紀子。


/了


ログライン

『受験生の男の子が専門学校に行きたがるが、親は大学を出てほしいと言い、喧嘩になるが、祖父の葬式で5年ぶりにあった従弟たちの落ちぶれた姿を見て、現実を見ようと思い、大学受験をすることに決めた』


勢いで書ききってしまった作品。

詰め込みすぎたのが一番の失敗。

今までで一番書くのに時間をかけていない作品。

構想含めて3時間くらいか?

実は、ノンフィクションの部分も多いです。

見直してみて、若干イタイ作品だったので、封印したい作品の1つではあります。

ただ、アイデア発想は悪くないと思ってるので、また使えるかも?


先生の意見:

・ニートのイトコ、コウキと主人公の関係を掘り下げてよかったかも。

・イトコの3兄弟全部やるのは多すぎた。

>>

まったくです…

実は手書き原稿を提出後に清書したのですが、

20枚をじゃっかん超えてました…。それでも3人は書ききれなかったので多かったですね。

・最初のシーンはバッサリカットしてもよかったかも?

>>たしかに


2016/8/3引導

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