『金魚のまぶた』(課題:不安)2016/7/20
あまりにもシナリオ書けないモチベが続いたので、自分が書いてて楽しい話を書きました。
あんまり不安っぽくないですね…。
(ネタを考えてるときはちゃんと不安してたんだけどなあ)
『金魚のまぶた』
人物
魚峰カナ(15)女子高生
武田克也(15)高校生
橘リカ(15)カナの友人
遠山ミレイ(15)カナの同級生
羽生優人(28)体育教師
〇××高等学校・外観
校庭に人影はない。
セミの声。
〇同・1年B組教室
教室内は静寂。
生徒たちは真剣な表情で、机の答案にペンを走らせている。
黒板には、1:世界史8:50~9:40、2:物理9:55~10:45、3:数A11:00~11:50と書かれている。
教室の時計は11時20分をさしている。
坊主頭でガタイのいい、ジャージ姿の羽生優人(28)が教卓から教室を見回している。
グオーといびきの音。
まゆをひそめ、立ち上がる羽生。
歩いていって、教室の中央付近で立ち止まり、怪訝な表情。
近くの生徒の顔を見比べるが、全員が目を開いている。
首をかしげ、教卓に戻ろうとする羽生。
グオーといびきの音。
振り返って生徒たちの顔を順に見るが、全員目を開いている。
羽生、何かに気づいたような表情。
魚峰カナ(15)が、答案を半目でにらみつけたまま動かない。
カナを観察する羽生。
おそるおそるカナの視界をヒラヒラと手を振って遮ってみる。
カナの反応はなく、カナの鼻が動いて、グオーといびき。
羽生、驚いた表情をし、カナの肩をゆさぶる。
羽生「おいっ、魚峰。大丈夫か? しっかりしろ」
周囲の生徒たちが小声で笑いを押し殺したようにしている。
羽生「しっかりしろ。いま保健室に連れていってやるからな」
カナの肩がピクッと動いて、
カナ「うぇっ?」
カナ、羽生に腕を掴まれ、立たされる。
カナ「あっ? ええっ?」
羽生「魚峰、お前はテスト中に気絶してたんだ。今から保健室に連れてくからな」
教室中が生徒の笑い声でざわめく。
カナ「あ、あのー、センセ。スミマセン。実は、寝てました……」
羽生「いや、お前の挙動は変だった。目を開けたまま固まって、意識がとんでたぞ。ちゃんと病院で検査してもらったほうがいい」
教室内で生徒たちの爆笑。
羽生「(叱る調子で)お前ら何がおかしい?」
カナ「(言いにくそうに)あの、センセちがくて。ウチ、寝てるとき目が勝手にあいて きちゃうんだよね……。クラスのみんなは知っててー」
羽生、驚いた表情で、
羽生「ホントなのか……?」
周囲の生徒を見る羽生。
生徒たちはクビだけでウンウンと頷く。
バツが悪そうに頭をかく羽生。
教室の後ろの掲示板に『授業中に居眠りしない by風紀委員会』の標語が貼られている。
〇同・校門
あくびを手で押さえながら、校門から出てくるカナ。
カナは制服を着崩していて、ギャルっぽい見た目。
橘リカ(15)が後ろから駆け寄ってきて、カナの肩を叩く。
リカ「テストおっつ~。聞いたよー。体育の羽生に恥かかされたんだって?」
カナ、わざとらしく大きなため息。
リカ「寝ててテストは大丈夫だったん?」
カナ「全部解いてから寝てたからダイジョブ」
リカ「そりゃよかった。私とは大違いだ」
カナ「点数悪かったら親に塾行かされるし」
カナの肩を揉むリカ。
リカ「それでさー。今から星城の男子とテストの打ち上げでカラオケなんだけど、行くよね?」
カナ「今日ムリ。テス勉で徹夜してるし。帰って寝たいし」
リカ「えー。もったいないよー。今日、武田クンも来るよ?」
カナ「でも、もしうちが寝ちゃったらマズイじゃん。絶対変なやつだって思われる」
リカ「大丈夫だって。カナが眠そうにしてたらフォローしてあげるから」
カナ「(喉をおさえて)歌う元気もないし」
リカ「今日ミレイも来るんだよ。武田クン取られてもいいの?」
カナ、目頭を押さえて、ため息。
カナ「……分かった。行く」
〇カラオケ店・カラオケの達人・外観
制服姿の男女たちが店内に入っていく。
〇同・女子トイレ
洗面台の鏡の前で、小ビンのドリンク剤をグイッと飲んでいるカナ。
小ビンのラベルは眠眠打破。
目薬を両目にさし、目をパチパチさせる。目薬のラベルには超強力と書かれている。
カナ、鼻息荒くトイレを出ていく。
〇同・カラオケ個室
武田克也(15)が立ったまま、マイクを握って熱唱している。
一緒になって盛り上がる高校生男女たち。男子4人に、女子3人。
女子3人のなかにリカもいる。
リカは曲に合わせ、タンバリンを鳴らしながら、入り口をしきりに気にいている。
武田の隣に座る遠山ミレイ(15)が手を叩いて、
ミレイ「武田クン、上手~」
カナが部屋に入ってくる。
カナ、武田と目が合う。
武田、歌いながらカナにアイコンタクト。照れ笑いするカナ。
ミレイ、面白くなさそうにジュースのストローを噛む。
カナ、武田の隣に座る。
武田の曲が終わり、リカが歌い始める。
武田「(カナに)歌わないの?」
カナ「あ、うん」
カナの視界がボーッとしてくる。
カナ、顔の筋肉に力を入れて、テーブルの下で自分の太ももをつねる。
ミレイが武田に肩を寄せ、選曲リモコンの画面を見せて、
ミレイ「武田クン、この曲デュエットしない?」
武田「いいよ」
リカ、歌いながらカナの方を見る。
カナ、半目をあけたまま、ウトウトしている。
リカ、歌いながらカナに近づき、タンバリンをカナのひざの上に押しつけて、シャンシャンと鳴らす。
ハッとするカナ、タンバリンを手に持ってノッている素ぶりをする。
曲が終わり、武田、カナにささやく。
武田「今日、体調わるいの?」
カナ「実はテス勉で寝不足で」
ミレイが意地悪そうに微笑み、
ミレイ「今日はもう帰ったほうがいいんじゃない? ね、武田クン?」
武田「そうだな。無理する必要ないって」
ミレイ、意地悪そうに微笑む。
リカはヤキモキした表情でカナに目で訴えかける。
カナ「……今日は帰るね」
元気なく立ち上がるカナ。
勝ち誇った表情のミレイ。
武田も続けて立ち上がり、
武田「じゃあオレ、心配だから送ってくよ」
目を見開いて驚くカナとミレイ。
腰でガッツポーズをするリカ。
〇電車の駅・駅構内(夕)
駅を通過する電車。
ベンチに座っているカナ。
その前に立つ武田。
武田「オレ、飲み物買ってくるよ」
カナ「うん……」
立ち去る武田。
カナの視界、だんだんボーッとしてくる。通過する電車の音が小さくなる。
〇同・駅構内(夜)
半目をあけてうつむきがちにベンチに座るカナ、電流が走ったみたいにビクッとする。
辺りを見回すカナ、ギョッとして目を見開いている。
隣を見ると、武田が座って文庫本を読んでいる。
カナ、武田を見るなり固まり、
武田「あ、起きた?」
カナ「……見た?」
武田「何を?」
カナ、顔をそむけ気味にして、
カナ「その、寝顔というか……」
武田、プッと噴きだし、こらえられなくなって笑いだす。
カナ、内ももを閉じ、拳を膝の上でギュッと握る。
カナ「(シュンとして)こんなの変だよね」
武田「(笑いながら)変じゃねーよ」
カナ「笑ってんじゃん!」
大笑いする武田。
つられてカナも笑う。
/了
少女マンガ的な感じかも。
金魚→魚峰金(金=カナ)ってネーミング。
ギャルっぽいキャラにしたのは正解だったな。
7/20夜に追記予定
※先生の批評など
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発表後評価
女性の評価
・恋愛モノだから、武田は早く登場すべき
・同じ学校でよかった?
→それなら、「カナが目を開けたまま寝るという噂は知っているが見られたことはない武田くんに、寝てるとこを見られそうになる」という展開はどうか?
これはぼくも書いてて気づいてたんですが、
最初のテストのシーンがすごく長いんです(全体の1/3)。
武田くん出てくるのはその次の次のシーンなんですね…。
登場時期を解決させるなら、同じ学校ってのは話が早くていいですね。
男性の評価
武田「(笑いながら)変じゃねーよ」
ここのセリフがよかったと意見が。
ここは、個人的に少し考えて書いたので反応あったのは嬉しいかも。
このシーンは、イケメン武田が、口では変じゃねーよと言いながら、体では我慢できず笑ってるという、
"台詞と行動が矛盾してる"シーンなんですね。
内心、変と思いながらも、口では変じゃないと伝える、その優しさみたいのを書きたかったわけです。
先生の評価
・やはり課題の"不安"の要素が少ないか?
・『寝てても目が開いてる』設定は面白いが、それをもっと有効活用できるシチュエーションつくりを!
せっかくなら、もっと設定を生かしたシチュを用意できたほうがよかったですね。
自分でも分かっていたのですが、
テーマである不安要素はあんまりなく、
(一応かきはじめる前は、武田に半目がバレないか不安で書こうと定めていた)
一発ネタが強すぎて、話がそっちに引っ張られてしまったところがあります。
序盤が丁寧に書きすぎてるので、そこを軽くすることも課題ですね。
この『寝てるのに目が開いてる女の子(キュート)』って設定は
ラノベ(小説)で使おうと思っていた設定を流用しました。
可愛いよね。
2016/7/20引導
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