5 鏡像段階
直人は白い通路を歩いていた。通路は窓もドアも曲がり角すらなく、直人の前と後にどこまでものびている。進んでいるのか戻っているのかもわからず、閉鎖的な空間に耳鳴りがしそうだ。
このまま歩いていけば、どこかへ出るだろうか。それとも、いつまでもなにもない通路を歩くだけだろうか。どこにも行けず、どこにも出られず、ずっとここで、ひとりさまようのだろうか。
いやだ。
直人は足を早める。ここから出るんだ。ドア、階段、窓でもいい。見つけたらそこがどこだろうと飛び込む。出るんだ。
軽く汗ばんだころ、やっとドアを見つけた。壁とおなじ色のドアで、手をかけるような所はなく、見覚えのあるオートロック入力用のキーがついていた。20418495701と手早く数字を弾くと、ドアは音もなく開いた。直人は開ききらないうちに飛び込んだ。
出たところは研究室のなかを通るせまい通路だった。直人は後悔したが、なにもない通路よりましかと思い直して、歩き出した。
第一ラボか、とため息をつく。各部屋に続く扉、通路にただよう鼻の奥をつく薬品のにおい、壁の端から端までつづく引っ掻いたような傷、生き物にも見える床のシミまでなにも変わらない。
ただし、つきあたりにある黒い扉だけは覚えがなかったが、あたらしい実験室だろうか。どんな場所だろうと、あそこにだけは死んでも入りたくない気がした。重く暗い無表情な色に、すべて呑み込まれそうだ。
つきあたり以外の部屋は見なくても知っている。レントゲン室や冷却実験室といった実験のための部屋ばかりだ。それぞれ部屋のなかにある機材の位置まで思い出せる。
実験、か。
直人はぶるっと全身をふるわせた。
第一ラボには、激痛と吐き気に休む間もなく襲われたり、怒鳴られていた記憶しかない。どうして怒鳴られていたのか理由までは思い出せないが、自分ではどうしようもないことを責められ続けていたのは確かだ。怒鳴られながら、はやくラボから出たいと思っていた。
これいじょう、ここにはいたくない。苦しかった記憶を思い出す気などさらさらない。
出よう。さっきの通路に戻って、べつの脱出経路を探したほうがいい。
直人が入ってきたドアを開けようとしたとき、突然、背後から手を取られた。
「さあシグマ。今日こそデータを取るわよ」
しっかりした芯のある若い女の声に、直人は心臓がつかまれたかと思った。
この声を自分はしっている。そう、いつも自分をここに連れてきた声だ。いつも自分を怒鳴っていた声だ。
おそるおそる振り返ると、白衣を着た巨大な女が直人の手首をしっかりとつかんでいた。いや、女が巨大ではない。直人は今、一歳ほどの子どもになっていたのだ。ちいさな直人を覗きこむ顔は逆光で暗くかげり、表情はおろか目も口もわからない。ただの黒い平面にも見える。
このひとはいやだ。いつもこわいことをする。いやだ。はなして。
直人は言葉にならない悲鳴を上げて手を振り払おうとした。しかし細い手は逃がさないといわんばかりに、さらに強く握り、ぐいと引っぱる。そして直人がバランスを崩すのも構わず、通路の奥へと引きずりはじめた。
「もう。だめよシグマ。いい子にしてちょうだい。暴れないの。時間がないのよ、おとなしくして」
引きずられる方向は、まっすぐにつきあたりの黒い扉に向かっていた。直人は恐怖に泣き叫ぶ。いやだ、あそこにははいりたくない。そう叫びたくてもやはり言葉は出ず、病院を嫌がるちいさな幼児のように悲鳴を上げていた。
白衣の背中がいらついたように振り返った。黒い面が怒鳴る。
「もう! シグマ、いいかげんにしなさい!」
直人は全身を硬直させた。
「もう。困ったわね。私は聖くんみたく、あまり薬を使いたくないのよ。でもそんなに暴れるならしかたないわよね」
直人の腕が乱暴にのばされ、幼児にしては病的に青白くやせた腕があらわになった。
「もう。シグマが悪いのよ」
女はその腕に注射針を突き刺し、液体を注入した。直人は突然起こった激痛に叫んだ。液体は劇薬なのかと思うほど、血管にそって電流を走らせる。
悲鳴を上げる直人に女は動揺するようすもなく、慣れた手つきで針を引き抜く。
「いつまでもうるさいわよ。どうしてそうなの。ああもう。シグマはいつもそう。もう、泣かないでよ。データに響くでしょう。しずかにして。ほら、また使わなきゃいけないじゃない。もう」
何度も注射をされ、そのたびに直人は激痛に背中を反らせ、とうとう最後には刺されても動けなくなった。今の直人にとって気絶できないことが一番苦しいのかもしれない。
「もう。シグマ、シグマったら。起きなさい。寝てる暇はないのよ。はやくして、時間がないんだから」
女はぐったりとした直人を引きずりはじめる。直人の顔は涙と汗でぐしゃぐしゃだった。拭う事もできない。かろうじて動く目で自分を引きずる背中を見上げると、まとめられた長い髪が見えた。かきむしったように乱れていた。
誰。
疑問に答えるように、また女が振り返った。しかし顔はなく、黒い面のままだ。白衣の女は、直人を重そうに引きずりながら、ひとりで喋りはじめた。
「冗談じゃないわ。これ以上シグマを好き勝手させないわよ。成果とか期日とか、聖くんがそうしたいだけじゃないの、もう。わたしに指図しないで。わたしは聖くんの部下じゃない。シグマを研究していたのはわたしよ。最後までわたしなのよ。いくら聖くんに反応するDNAが組んであるからって譲るわけないじゃない、もう。遠野くんならともかく。この研究に聖くんが入る余地はないの。ね、シグマ。シグマもそう思うでしょう。
だけど聖くんはそれで納得する人じゃない。ああもう、同期だからと信じていたわたしがバカだった。遠野くんの言っていたことが今わかったわ。だって、あの木谷くんが。もう、聞いてシグマ。聖くん、あの人を素材にしたのよ。一番信用できる部下だって言ってたのに、脳だけにしたのよ、信じられる? 「取り出し方の練習台になってくれた」って、誰が信じるっていうのよ。ぜったい聖くんと木谷くんの間でなにかあったんだわ。
そして、つぎはわたしよ。あれをわたしに見せたのは、脅しというより予告だわ。はっきりわかった。聖くんはわたしを殺すつもりよ。そしてシグマを持っていくのよ。それこそ冗談じゃないわよ、もう。聖くんにだけはぜったいにシグマを渡さない」
ぐい、と腕が上がり、直人の目と鼻の先に黒い扉がつきつけられる形になった。直人は頭を左右にふって叫んだ。
「シグマ、聞いて。今はわたしのところにいると危険なの。だからここで待ってて」
扉は直人を招くようにスッと開いた。黒一面かと思われるほど、なにもない黒い空間が姿を見せた。
本能が叫ぶ。あれは底のない穴だ。音のない暗闇だ。光も届かない場所だ。入ってはいけない。入ったらだめだ。いやだ。
「遠野くん、お願い。聖くんだけには渡さないで。それだけは許せないの」
女は直人をゴミでも捨てるように空間へ放りなげ、直人は悲鳴ごと闇の底へ落ちていった。
闇は直人を深く呑みこみ、直人は恐怖にぎゅっと目を閉じた。
ーー直人。聞こえる? ぼくだよ、直人。直人。
誰。呼ぶのは誰。
ーー直人、起きて。目を覚まして。直人。聞こえる? 聞こえてるなら目を開けて。
どうして目を開けなきゃいけないんだ。目を開けるのはいやだ。こわい。
ーーだいじょうぶ。直人は夢を見てるんだよ。
うそだ。だって目が覚めないじゃないか。ぜんぶ現実だ。
ーー夢のなかで現実っぽく感じてるだけ。夢って記憶のいたずらなんだよ。現実にあったことはちょっとしかない。あとは見てるひとの感情で左右されるんだ。ぜんぶ夢なんだ。目を開けたらわかるよ。
いやだ。開けたくない。見たくない。
ーーどうして。
上も下も真っ暗だし、どこまでも落ちてる。すごくこわい。こわいこわいこわいいやだ。
ーー直人、だいじょうぶ。それはこわいっていう感情が暴走してるからだよ。こわいよって思ったらどんどんこわくなるんだよ。こわくないぞだいじょうぶって思ったら、こわくなくなる。
暴走ってどういうことだ。
ーーえ。ええとね。夢のなかは素の自分になっちゃうから、隠してるところが全部表面に出て、現実より感情が暴走するって。いや、はっきり出るのかな。とにかく、自分に嘘はつけないんだって。そういうもんなんだって教授が言ってた。
教授って誰だよ。嘘つけないとか、わけわかんねえ。
ーー木谷さんっていう人。もう死んじゃったけど、みんな教授って呼んでた。嘘つけないっていうのはね。ええと、ほら。誰でも人の前だとかっこつけちゃうけど、夢だとかっこつけようがないでしょ。そういうことだよ。
なんか混乱してきた。おまえさ、さっきからなにが言いたいんだ。
ーーぼくだって混乱してきちゃったよ。それに直人、おまえじゃない。ソラ。ぼくはソラっていうんだ。
じゃ、ソラ。オレになにが言いたいんだ。
ーーぼくが言いたいことはね。今、直人は記憶の夢を見てるんだよってことと、こわがるともっとこわくなるよってことと、ぼくたちは直人に目を開けてほしいこと。
どうして。
ーーぼくたちは直人の目の前にいるんだ。だから起きて、直人。目を開けて。
目を開けると、直人は通路の中央に立っていた。
あわてて前後左右を見渡したが、落ちてきた闇も第一ラボに続く入口も、夢の痕跡はどこにもなかった。ほうっと息を吐く。体中は汗ばみ、心臓は激しく脈打っていた。
「夢、か」
それは夢だと誰かが教えてくれた気もするが、どうやらそのとおりだったらしい。いやな夢だった。何度も注射されたり引きずられたり放り投げられたり、一生わすれない悪夢のひとつになりそうだ。
注射の痛さが残っているような腕をさすり、手を止めた。感触に息が詰まる。おそるおそる見ると脱脂綿が腕にいくつも貼られていた。
悲鳴がせり上がる。夢じゃない。
すべて払い落とすと、直人はその場から逃げだした。恐怖が足元から駆けあがってくる。振り返らずともあの女がついてきているような気がした。直人をふたたび闇に放り込むために。
夢じゃない。だとしたら、ここはいったいなんだ。
突然、直人はなにかにつまづいて派手に転び、膝を打ちつけた。やわらかいけどしっかりしている、生き物のような感触だった。いったいなにがと障害物に目をやり、直人は愕然とした。
人間の腕が無造作にごろりと転がっていた。着ている戦闘服はひどく切り裂かれて、あちこちから血がにじんでいる。
「なんだ、これ」
顔を上げると、走ってきたはずの白い通路は、壁や天井にまで血しぶきが散る惨殺の現場になっていた。血と肉のにおいが充満し、迷彩色の服を着た死体があちこちに転がり散らばっている。首、腕や足、肉片らしいものもたくさんある。
あ。あ。うあ。
座ったまま見渡すことしかできない。震えを抑えられず、悲鳴すら出ず、口から変にひきつれた声が漏れる。
なにが起こったんだ。
いや、知ってる。
オレは知ってる。
これは――あいつが。
ぴちゃん。
背後で水音がした。
ぴちゃん。ぴしゃん。
「モット壊シタカッタノニ」
ふり返ると、いた。
あいつだ。名前はわからないが、あいつだ。
足元まで伸ばした赤い髪をゆらしながら、ふらふらとはだしで血まみれの廊下を歩いてくる。血だまりを踏む冷たい音とともに、ゆっくりと。
ぴしゃん。ぴちゃん。ぴしゃん。
「壊シタイ」
ぴちゃ。
そいつは直人の脇で足を止めた。
直人に気づかないのか、ちらとも見ずに直人がつまづいた死体を蹴りあげる。血を散らしながら宙を飛ぶ腕を赤い髪が追いすがり、からめとったかと思ったらそのまま切り刻んだ。死体は肉片となり、びちゃびちゃと音を立てて血溜まりに落ちていった。
それでも気が済まないのか、髪から滴る血も払わずに、右手が別の死体の頭を鷲掴みして持ち上げ、一気に床に叩きつける。頭はスイカのように割れて飛び散った。赤い欠片は直人にも飛び散り、直人は悲鳴を上げる。しかし殺戮者は頬に飛んだ肉塊すら拭おうともしない。
「モット。壊シタイ。壊シタイ」
赤い髪と血色のない顔はどこまでも無表情だ。どこも見ていない目であたりを見渡し、あえぐように喉を反らして、飢えた猛獣のごとく低くうなる。
「対象ハ。命令ハ。マスター」
マスター。
「マスター。マスター、命令ハ。モット命令ヲマスター。マスター、マスター、マスター」
直人は恐怖と嫌悪を感じ、耳を塞いだ。
やめろ、それを呼ぶな。
‘マスター’という言葉を思い浮かべるだけで、脳の奥まで見透かすような目が自分を覗き込んでくる気がした。ささやく言葉まではっきりと聞こえてくる。
私はマスターだ。おまえのマスターだ。おまえは常川直人ではない。常川直人は排除しろ、排除だ。完全に排除するんだ。おまえは常川直人ではないのだから。私はおまえのマスターだ。おまえのためだけのマスターだ。おまえの欲しいものを与えるのはわたしだけ、このマスターだけだ。おまえはわたしの声だけを聞くのだ。わたしはマスター、おまえを守り導き与えるマスター。
「うるせ、え」
「マスター、マスター、命令、マスター、ワタシノマスター、マスター、命令ヲモットヲ命令ヲターゲットヲ壊シタイ壊スモットモット命令ヲ、マスターマスター」
「やめろっ!」
直人の一声で、殺戮者はスイッチを切られたアンドロイドのように停止した。頭ががくんと落ちる。
同時に直人を襲っていたマスターの声も消え、直人は息を吐いた。余韻で頭が割れそうだ。
殺戮者の垂れた頭が動き、ゆっくり直人に向けられた。垂れ下がる髪からのぞく目がおおきく見開かれる。
「ツネカワナオト」
表情とおなじ、無機質な声。
「マダ排除サレテナイノカ」
直人は身構える暇もなく髪に全身をとらえられ、壁に大の字で張りつけられた。
「離、せっ」
「おまえ、ドウシテ残ッテイル」
「どういう意味だよ」
「おまえガイタ。排除シタ。シカシおまえガイタ。排除シタ。イタ。排除シタ。イタ」
見上げる顔がわずかに眉をしかめる。
「あれモ残ル。あれモおまえカ。おまえナノカ」
「あれってなんだよ」
「あれ」
アンドロイドは頭をぎこちなく動かし、あるものに目を止めた。ひとつの死体だった。血溜まりのなか腕や足がバラバラに散らばっているのは変わらないが、いままでの死体とは違い、白いシャツを着ていた。半分以上潰れた塊は大きさや形からみて頭部だろう。男か女かわからないが、すくなくとも子どもではなさそうだ。
観察しながら、直人は自分がどこかおかしいんじゃないかと思う。ドラマの殺人場面ですら嫌っていたのに、今は誰かだった死体を淡々と見ているのだから。
髪束が塊を包んで持ち上げたので、すこし顔が見えた。血に濡れた死に顔を確認するなり、直人は心臓が跳ね上がった。まさか。
一輝。
「排除」
「やめろ!!」
頭部は壁に打ちつけられ、ぱん、と水風船のように割れた。真っ赤な液体がびしゃりとあたりに飛び散る。ということは、あれは一輝じゃなく、ただの作り物なのか。
問う間も与えられず、髪が直人の喉を締めはじめた。両腕も固定されている今、身体をひねることでしか抵抗ができない。
「ツネカワナオト、排除スル。コレデ壊レロ。ココカラ消エロ」
どん。
胸に強い衝撃が走った。なにがあったのかと目線を下げて、目を疑った。
髪の束が自分の胸を突き刺している。とどめといわんばかりに赤い槍が深くねじこまれた。身体がおおきくけいれんする。
「ツネカワナオト、消エロ」
そうか。
オレは消えるんだ。
オレが、消えるんだ。
直人は全身が崩れ落ちていくような気がした。
--待って! 消えないで!
誰かの叫びが直人の意識を引き戻した。誰かが直人に抱きついてくる。誰だろう。
薄目を開けると、見覚えのない中学生の女子が直人を抱きしめていた。見たことのないブレザーと短い髪の彼女は直人を見上げる。
ーー消えないで、直人! いやだよ!
彼女の必死な視線と言葉に、直人はどこかあたたかくなった。指先まで全身が熱くなってくる。力が湧いてくる、というのを今はじめてわかった気がした。
--直人が消えたら許さないからね、ぼく!
ハッとした。
そうか。そうだったんだ。直人を助けてくれたあの声。
高めの声で「僕」というから、勝手に男の子だと思いこんでいた。
「女子だったんだ」
とたんに少女は目を見開き、耳まで赤くした。
--わ、わあ! やだ!
「ちょっと待て!」
かき消える少女に直人が声をあげたとき、髪束がさらにねじられた。串刺しになったままだ。
「待ツ時間ハナイ。消エロ」
あいかわらず冷たく言い放つ口調。彼女に気づいていなかったのだろうか。それとも。
なんにせよ状況は変わらないが、直人のなにかが変わった。
「オレ、は。消え、ない」
かすれた声で、はっきりと告げた。
殺戮者の眉がぴくりと動いた。槍がわずかにゆるむ。
直人は口端を上げて、もう一度かみしめるように言った。
「オレは。消えない」
「おまえ、ナゼ」
あきらかに動揺が走った。束縛がゆるんで直人を床に落としても、赤い触手は獲物を追うどころか、やみくもにあたりを破壊しはじめた。
直人ははげしく咳き込みながら、胸に穴が開いていないことに気づいた。その事実がより直人を力づける。ふいに一輝の声が聞こえた気がした。
なにが排除だ、笑わせるな。
直人は立ち上がった。
「オレは消えない。ぜったいに」
「消エロ消エロ消エロ消エロ」
相手は頭を抱えて髪を振り乱し、血走った目は直人すら見ていない。恐れに歪んだ口は叫んでいる。
見ながら、直人は思い出していた。
いつの頃からか、自分の奥にこういう獣がいた気がする。そいつはこんな獣じゃなかっただろうか。赤くて長い毛に覆われていて、いつも寝ていて、起こせば狂ったように叫び破壊に走る獣。
「消エロ消エルマスター命令ヲ命令ヲ消エル排除ツネカワ排除マスターマスタアアア」
「消えるのはてめえだ」
獣の名前は。
「消えろ、シグマ!」
「アガアアアッ」
とたん、すべてが白一色に襲われた。
血だまりも散らばる死体もシグマも直人も白に呑み込まれていった。
光に呑まれながら直人はまぶしさに目を閉じた。
ああ、消える。
最後にシグマが「マスター」と言った気がした。
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