第113話 ハンター試験 網と銃の取り扱い

「で、次は何よっ?もうあんなの無いわよねっ?」


「いやぁ楽で良かったんじゃないの?」


そういう意味じゃ無いのにっ

コレはアレねっ、近さんから声が掛かったら絶対行くわねっ

べるでにも注意喚起しなきゃって、あら?べるで何処?


「次は網デス」


べるでアンタいきなり後ろから声を掛けないでよっ、びっくりするじゃないっ


んと、んと、網の試験会場は・・・とっ

「なにこれ・・・」

この会場の外まで続いている長蛇の列が待ち行列なのっ?


「あちらではないデスか?」


あっちって・・あぁ30人位集まってるあそこねっ意外と少ないじゃないっ


「はぁ・・びっくりした、あれを並ぶのかと・・って結局は並ぶんだよなぁ」


「他の試験を受けている間に列が少なくなるかも知れませんデスね」


いやいやっ、こっちだって冷静に考えてみれば1人3分でも1時間半じゃないのっ?


・・・

・・・

・・・


「はい、では試験開始です。では猟具の判定を始めてください」


試験管が名前を確認した後、開始の合図を告げる。



「はい。では猟具の判定をします。

これが無双網の片無双網 ヨシっ。これは張り網の谷切網 ヨシっ。これが突き網 ヨシっ。これがなげ網 ヨシっ。これはかすみ網だからダメっ。」


「はい、では次に網の設置を一つ行ってください。」


「はい、では片無双網の設置をします。

手竹を足杭に固定します。そして控杭に控綱を固定します。鳥が集まったら手綱を引いて捕獲します。

以上ですっ。」


網の見本は既に設置されているので、指さしで場所を示しながら手順を告げていく。


「はい、結構です、では次の方どうぞ」


待たされた割に試験はあっという間に終わる。


・・・

うふっ、網は簡単だわっ、これなら罠も多分楽勝よっ


「おっ待ったっせっ、楽勝だったわねっ、さぁっ次は罠よっ、並ぶわよっ」


・・・


「一向に進まないわねっ?先頭は何やってのかしら?」

ちょっと様子でも見てこようかしらっ・・・

あ、ちょっと進んだわっ・・・


待つと言うのは時間が長く感じるものである・・・

周りでは止め刺しについての談義が飛び交っている・・・


「ゴルノの方~、いらっしゃいますか~、ゴルノの方~」


「あっ、はーいっ、居ます居ますっ ここですっ」


「あ~よかったぁ、銃の方が終わりそうなので探してたのですよ」


・・・・


「ではこちらが試験会場ですので、こちらにお並び下さいね」


「ありがとうございますっ」


「なんかさ、階段上がるときクラっとするような変な感じなかった?」


「やぁねぇっタケルっ、運動不足じゃないのっ?」


「はい、じゃぁ次の3人、お入りください」


あら?わたし4番目だから別の組なのっ?


・・・


「はい、ではこれから銃の分解組み立て試験を開始します。試験開始の合図がありましたら私らアドバイスとか喋れませんので

質問などありましたら今のうちにお願いします。

ありませんか? では試験を開始します。」


と試験が始まった。


「では彼方の台の上にある銃の分解を行って下さい。」


台の上には上下二連の散弾銃が3丁置いてあった。

八尾は置いてある銃を手に取ると、用心鉄の中に指が入らないように注意しながら開閉レバーを動かして銃を折り、薬室を覗いた。


「脱包ヨシ」


そして、銃を閉鎖し先台のレバーを引いて先台を外す。それを台の上に落ちないようそっと置いた。

次に開閉レバーを動かして銃を折る。先台が無いので、そのまま銃身と銃床が分離していく。

銃床をそっと置き、両手で銃身をそっと置く。


「分解完了です。」


「こちらも分解完了デス」


「たけるさんのはMIROKUデスか、こちらはSKBデス。試験用にも色々種類があるのデスね」


「はい、それでは組み立ててください。」


上下二連の組み立てはちょっとしたコツが要る。

コツと言ってもかみ合わせの所だけで、慣れれば何という事も無い事でもある。


八尾は角度を合わせて銃身と銃床をかみ合わせると銃を閉鎖する。

そして、銃を台の上に立てて先台を合わせはめ込む。

カチャッと先台がはめ込まれると持ち変えて開閉レバーを動かし銃を折る。


「脱包ヨシ」


と銃を折ったまま台に置いた。


「組み立て完了」


終わってから横を見ると、べるでは銃口が人に向かないように気を使いながら、用心鉄にも指が入らないようミトンを着けているように指を揃えて組み立てている。


どうやらべるでも組み立てが完了したようだ。


右手の人は銃身の取り付けに苦労をしているようで、カチャカチャと音を立てている。


ゴスっ


べるでの方を向いていた八尾の脇腹にハメ損ねた銃身が刺さる。


「痛てて」


「あぁすまん、手が滑った」


突かれた八尾はべるでの方に逃げる。

組み立てようと必死に動かされる銃身の先は八尾を捉えて離さない。

弾が入ってない不可動銃でも良い気分ではない。


試験官は熱心にメモを取っている・・・


カチン


「ふぅやっと嵌ったぜ」


と銃口が八尾の方に向いたまま手を伸ばして先台を取ると、組み上げて銃を折り、台に置いた。


「組み立て完了」


「はい、試験終了です。次は隣の部屋で取り扱いの試験ですね」


・・・


「はい、ではこれから銃の取り扱い試験を開始します。試験開始の合図がありましたら私ら喋れませんので

質問などありましたら今のうちにお願いします。ありませんか? では試験を開始します。」


「では台の上の空気銃を取って確認作業を行って下さい」


台の上には上下二連の散弾銃とポンプ式の空気銃が並べてある。空気銃を手に取り装填口を確認する。


「脱包ヨシ、銃口内異常なし」


そして銃身を見る。


「銃身、異常なし」


銃床を軽く叩いて


「銃床異常なし 確認完了です」


「はい、では装填する真似をして構えてください。ポンプは一回で構いません」


先台を上に動かしポンプを行う。一回なので軽く動く。


「ポンプが固くて動かないデス」


べるでは先台を引きつつ、苦戦していた。


「あー、ちょっと待って下さい。ポンプされすぎみたいですね。ちょっと貸してください。

空撃ちしますから音が出ますよ」


パシィっ


「これで大丈夫です。一回ポンプしてみてください」


カタン


「動きまシタ。ありがとうございマス。」


べるでは銃身の後ろを触って装填作業風の動作をした。


「では構えてください。」


銃口が試験官に向かないように斜めから回して銃を上方に構える。

まだ指は伸ばしたまま用心鉄に入らないように注意する。


「獲物に向けて発射してください。」


「矢先ヨシ」


指を用心鉄に入れて引き金を引く。


「銃を下ろして台の上に置いてください。」


空気銃の装填口を見て、


「脱包ヨシ」


と声を掛けてから構えるときと同じように試験官に銃口が向かないよう斜めに回して銃を下ろし、台に置いた。


「次は散弾銃です。確認作業を行ってください。」


銃を手に取り、開閉レバーを動かして銃を折る。そして薬室を覗いて中を確認する。


「脱包ヨシ、銃口内異常無し」


銃を閉鎖して銃身と機関部を見る。


「銃身異常無し、機関部異常無し」


銃を台に立てて上から順に軽く手のひらで叩いてガタを確認する。


「先台異常無し、銃床異常無し」


セーフティを動かし、引鉄を引く。


「安全装置異常無し」


セーフティを戻し、引鉄を引く。


「引鉄異常無し」


「はい、では次に装填して構えてください。」


開閉レバーを動かして銃を折る、そして横に置いてある模擬弾を入れて銃口を下に向けたまま銃床を上げて閉鎖する。

銃口が試験官に向かないよう注意しながら上方に向けて構える。指は伸ばしたままだ。


「獲物に向かって発射してください。」


「矢先ヨシ」


指を用心鉄に入れて引き金を引く。


「脱包して銃を台においてください。」


開閉レバーを動かして銃をゆっくりと折り、模擬弾を取り出して台に置く。

薬室を覗いて


「脱包ヨシ」


声を掛けてから銃を台に置く。


「お疲れ様でした。試験終了です。つぎは隣の部屋で団体行動の試験です。」

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