第二部 私とキミ
01
リンッ――
今日もキミがやってくる。
キミが歩くたびに鳴る鈴の音がキミの接近を知らせる。背中に背負う
「モモ? どこにいるの?」
キミはどうして
社の前で立ちすくむキミの隣に私は立っている。それでもキミは私には気付かない。
私はキミに気付いて欲しくて――だから、私はキミが来るたびに小さな
キミの正面に立ち、目の下を指で引き下げ
今度は飛びっきり変な顔をしてみせる。それでもキミは気付かない。
キミが
社に上がる階段に座るキミの耳のそばで「ミチ。私はここよ」と、声を掛ける。そこまでしてもキミは気付かない。
結局何をやってもキミは私に気付くことはなかった。
私はキミの隣に並ぶように座り、左の指にあるものを貰ったときのように空にかざして見つめる。それは光にかざすととても綺麗で私は好きだった。キミが立ち上がり移動し始めたので、
「モモ?」
キミは音に気付いたのか私の方に振り向く。私とキミは目が合い、それが嬉しくて声を掛ける。
「ミチ、やっと気付いたんだ。私はいつも――」
「気のせいか。鈴の音が聞こえたんだと思ったんだけどな……」
私の言葉はキミには届かず、途中でキミの声に
「私はいつもここにいるんだよ――」
私の言葉は誰に届くわけもなくむなしく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます