第2話「目が覚めると目の前にぷるぷると」

「う、ん?」


「あ。目が覚めたようねー、大丈夫?」

 目を開けるとそこにいたのは灰色の髪で白いブラウス、黒のミニスカートを穿き、やや日焼けした肌の女性だった。

 そして

「あれ、どうしたの? 顔赤いよー?」

「いや、その」

 彼女はぷるぷるとその大玉スイカみたいな大きな二つの膨らみを揺らしている。

 ああ、見ちゃイカンと思いつつも目が行ってしまう。


「あー、わかった。そういう事ねー」

 彼女は俺の目線に気付いて二カッと笑った。


「うん、ごめんなさい」

 俺は頭を下げた。

「気にしなくていいよー。もう慣れてるしー」

「そうなんだ。あ、俺はトウマって言うんだけど、君の名前は?」


 言い忘れてたが俺の本名は正田斗真しょうだとうま

 今頭に浮かんだが名前はそのままでトウマ、歳も死ぬ前と同じで二十三歳だ。

 てかあのさ、転生させるなら赤ん坊まで戻すか、せめてラノベ主人公みたく高校生くらいにしてよ、女神見習い様。


「あたしはイリア。魔法使いで歳は二十三よ」

 彼女が名乗った。


 へえ、俺と同い年か。もうちょい上に見えるな。

 それに魔法使い、やっぱ異世界なんだろうな。

 辺りを見るとだだっ広い大草原だが。


「あの、イリアさん」

「イリアでいいよー。あたし堅苦しいの好きじゃないから」

「じゃあイリア。聞きたいんだけどさ、ここってどこなの?」

「それがねー、あたしも知らないのよねー」

「え、知らないってどうして?」

「あのね。あたし旅の途中でここに迷い込んじゃったのよー。で、元の世界に戻ろうとしたんだけどねー。どういう訳かここから出れないのよー」

「そうだったんだ。あ、って事はイリアもどっか他の世界から来たの?」

「そうだよー。あれ、って事はあんたも?」

「うん。イリアなら信じてくれそうだから言うけど、俺は転生者なんだよ」

「え、そうなの!? うわー、あたしまともな転生者って初めて見たわー!」

 イリアは目をキラキラ輝かせていた。

「は? って何? 転生者って結構見かけるの?」

「うん、転生者ならあたしの友達にもいるんだけどさー、その人って魂を分離させて元の自分と転生後の自分とに分かれてるのよねー。だから転生者って気がしなくてさー」


「そ、その人って何者だよ!? もしかして超チート勇者!?」

「チートといえばそうかもねー。なんせ全世界を一度消した人だよー」

「せ、世界を消したって、それ大魔王か!?」

「大魔王じゃないよー。今はちょっとチートでスケベだけど家族思いのショタジジイよー」

「は? 何だそりゃ?」

「で、転生後の方は強くてカッコ良くて優しいけど、たまにドSになるお兄さんって感じの人だよー」

「だから何だそりゃ? うーん、まあとにかくイリアも知らないんだな。あ、そうだ……フムフム」

「ん? 何?」

「あのさ、ここってケイオスって世界みたいだよ」

「へ、何でわかるのー?」

「俺そういうのを転生者の特典で調べられるんだよ。でさ、ここってありとあらゆる世界の欠片が合わさってできた世界、まあ混沌みたいなもんだよ」

 神の目ってのは言わない方がいいよな。


「ふーんそうなんだー。てか便利なもんつけてもらったんだねー」

「まあな。あ、ついでにここから出る方法も調べたぞ」

「え、どうすればいいのー?」

「この世界を支配している大魔王を倒せばいいんだって。そいつが結界を張って異世界転生超チート勇者を呼べないようにしてるみたいだぞ」

「でもトウマは入ってこれたよねー?」

「俺は超チートじゃないからだろ。てか勇者ですらないが」

 するとイリアがこう言った。


「ううん、あたしの見立てではトウマは勇者だよー」


 は?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る