ありがちに異世界転生したが・・・・・・あれ?
仁志隆生
第1話「ありがちな異世界転生?」
気が付くと何もない真っ白な場所にいた。
ここはどこだ?
と、辺りを見てると向こうの方から誰かが走ってきた。
「ご、ごめんなさい! 間違えてしまいました!」
俺の近くに来てそう言ったのはピンクのロングヘアー、白いローブ、背中に羽がある、何かいかにも天使みたいな格好した高校生くらいの小柄な女の子だった。
っと
「あの、間違えたって何?」
「あ、あの、あなたはまだ天国へ行く時じゃないんですが、他の人と間違って連れて来ちゃったんです」
「はあ? 天国へって何言ってるんだよ? てかそれが本当だとしたら、俺は死んだって事か?」
「そうなんです。あなたはトラックに惹かれてぺしゃんこに」
「……ああそうかよ。で、あんたって何者?」
「私は女神見習いです」
彼女はそう名乗った。
「女神に見習いってあるのか? まあいいや。じゃあさっさと生き返らせてよ」
「それが、その」
女神見習いは暗い顔で俯きがちになった。
「どうしたの?」
「あなたの肉体はもう火葬されちゃったんです」
「え? てことはもしかして俺ってもう生き返れない?」
「そうなんです。燃やされる前に気づいてたらなんとかなったのに……ごめんなさい!」
女神見習いは頭を下げたが
「ごめんで済むかー! どうにかしろー!」
俺は思いっきり怒鳴った。
「すみません……あ、あの、お詫びに他の世界に転生させますので、どうかそれでご容赦を」
女神見習いは涙目で言った。
うーん、これってあれか?
ありがちな異世界転生か?
自分がそうなるとは……まあ、どうせ他に選択肢はないんだろうな。
「うん、じゃあ転生するわ」
「ありがとうございます。では転生先のご希望がありますか? あるならなるべくそうしますので」
「そうだなあ。あ、あのさ、RPGゲームっぽい世界に転生ってのはできる?」
少し考えた後で言うと女神見習いが笑顔になり
「はい、ちょうどいい世界がありますよ」
「よし。じゃあそこで」
どうせだったらそういう世界で大冒険、ってのもいいかなと思った。
今まで大したことなかったしな。
「わかりました。あの、ではお約束で特典を」
「それ本当にあるんだな。でもあんたって何でもできるわけじゃないんだろ?」
「はい。チートでモテモテハーレムとかいうのは無理ですが、潜在能力の一部解放や恋愛運を少し上げる事ならできますよ。あとは『神の目』をつけてあげるとか」
「ん、それってどんなもの?」
「この世のあらゆる事が瞬時にわかる様になる天界の秘術ですよ。あなたなら悪用しないのはわかりますので、差し上げても怒られないでしょうし」
「へえ、なら今言ったもの全部お願い」
「はい。では同時に転生させますので」
女神見習いが手をかざした瞬間、俺の意識が途切れた。
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