カウントダウン

私がブラスバンドに入り始めた頃からだろうか…

ママとパパの喧嘩が目立つようになった。

昔からよく喧嘩をしていたけど、

最近は特にひどい。

ママは私と兄を連れて夜出歩くようになった。

ママ友の家に遊びに行ったり、居酒屋に行ったり。

当時の私には夜の街は少し不気味でキラキラしていて、とても魅力的で楽しかった。

帰ってくるのはいつも深夜の2時すぎだった。

ベロベロに酔ったママをパパは困った顔で寝かしつけて

そのあと私の頭を撫でて「困ったさんだねぇ…」なんて言って笑ってた。

パパは本当にママのことが好きなんだと思った。


私が4年生に上がった頃、ママはよくネットで知り合ったおじさんと画面越しで楽しそうに会話するようになっていた。

ママはその人に私を紹介して、私もそのおじさんとよく会話をするようになった。


当時ママは、アロマテラピーの検定をするためにのよく東京に行っていた。

母の日の前日もママは東京にいて、

ママが帰ってくる日に、パパがサプライズをしようと言い出して

大きな花束をもって空港までママを迎えに行った。

ママはとても驚いて、喜んでくれた。


そのあともママは何度か一人で東京に行った。


ある日、ママが使っているパソコンのキーボードの下から

”水戸行き”と書かれた切符が出てきた。


ネットで知り合ったおじさんは、水戸に住んでいた。

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