一年の冬~000

 ……クスクスクスクスクスクスクスクス……

 

 夏は楽しかった?

 

 そうね。楽しい訳が無い。

 

 親友と恋人を巻き込んで死ぬんだから。

 

 だけど、それが解った事で良しとしなさい。夏を越える戒めとしなさい。

 

 今は全く見えないけど、いずれは見えるであろう細い、拙い、狭い道の為にね…

 

 私も協力する事に吝かじゃ無いのよ。

 

 貴方には思い出して欲しいから。

 

 貴方が解放される唯一の道であり、私が解放される唯一の道でもあるのよ。

 

 ……余計な事を言ったわね。

 

 そうね。貴方は貴方の為に頑張りなさい。

 

 貴方の僅かながらに開けている未来の道を探す為だけ、それだけに全て捧げなさい。

 

 ……そろそろ時間よ。

 

 新しい道を作る時間。

 

 もしくはまた夏を繰り返すかも知れない。

 

 夏を越えても死ぬかも知れない。

 

 だけど目覚めなさいな。

 

 目覚めなければ何も始まらないのだから……

 

 ……クスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクスクス……

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