第18話 私は彼を受け入れた。【END1】
――――――――……
「——ジュ、ルージュ……!」
私を呼ぶ声で目をゆっくりと開ける。
お母さんは私を見ると、優しく抱き締めた。
「——泣いてるの……?」
なんだか頭がボーっとして、何も考えられない。おかげで現状すら掴めない。
「お母さん……?」
私も抱き締め返そうと思って手を伸ばすと、お腹に鈍い痛みが走った。
手を当ててみると、生温かい。
これは……血だ。
弾が当たったんだ。
ふと隣を見ると、赤い血が広がる中、横たわる青年が一人。
ピクリとも動かない。
――私の時間も残り、僅か。
「ルージュ、ごめんなさい……。もっと話しをしていれば……。こんな脅すようなことをしなければ……」
お母さんは嗚咽を漏らす。
そっと手を握られた。お父さんがやるせない表情で歯を食いしばっている。
「ごめんな、ルージュ……。止血しても、もう内臓がっ……」
――――私、やっぱり助からないのか。
薄れゆく意識の中、確信を持つ。
「お父さん、お母さん……ありがとう……」
私は最期に告げると、静かに目を閉じた。
【END】
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