第17話 最悪な再会 -2-

その方向へ視線を向けると、お父さんに肩を抱きかかえられたお母さんの姿。

「どうしてここに……?」

 私は目を丸くする。

「……秋からルージュの様子がおかしかった。彼に会っていたの? 狼族の彼と……!」

 家を出た時から、つけて来ていたのかもしれない。

 頭は王子様のことでいっぱいで全く気が付かなかった。

「お母さん……」

 取り乱した様子のお母さんをお父さんが更に抱き寄せる。

「お母さん、あのねっ」

「あの」

 私の言葉を遮り、王子様が口を開いた。

「初めて。オレは確かに狼族ですが、彼女のことを真剣に想っています」

「……口では簡単に言えるもの。ルージュに危害を与えるようなら、容赦はしない」

 その一言でカチャッと音が聞こえる。

私と王子様を囲む、銃を構えた狩人。

 ……お父さんの仕事仲間の人たちだ。

「お母さん……彼を打つの?」

「言ったよね、容赦はしないって」

「だからってそんな……っ!」

「あなたのことが大切なの。……守りたいの」

 普段は小言ばかりの彼女が弱々しく言う。

「一方的すぎるよ、お母さん。お願い、私の話を聞いて!」

 懇願すると、お父さんをお母さんは目を合わせた。

「……分かった。一旦家へ帰りましょう。……銃を下して」

「……!」

「家に帰ったら、ゆっくり話しを聞かせて? 彼も一緒に来てもらっていい?」

 お母さんの言葉に王子様は頷いた。

2人で歩き出した時。森の奥で音がする。

「狼か!?」

 私の近くで再び銃を構える男性。

 飛び出してきた動物。

 鳴り響いた銃声。

「ルージュッッ!!」

 お母さんの悲鳴。

 弾は目的の動物……シカには当たらず、私めがけて飛んでくる。

「危ねぇ!!」

 王子様が守るように、私を抱き締めようとする。

私はそんな彼を――――


▽受け入れた。  →第18話へ

▽突き飛ばした。 →第19話へ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る