6つの玉座、6人の王
意識の微睡みの中に、空間が立ち上がる。
目前には円卓、そして5つの席があった。空席もあれば、既に何者かが座っている席もある。
そして、その席の一つに私も座っていた。
「ここは一体?」
「その席から立ち上がらないほうがいい」
私が思わず席から立ち上がろうとすると、ある者が私を諌めた。
「君がその席から離れた瞬間に、この中の誰かが君を殺すだろう」
静かな、私の声だった。
「君は、誰だ?」
「私は」「僕は」「俺は」
「「「お前だよ」」」
声は重なって、気味が悪いほど私に響く。
「ああ、コイツ、殺したい、殺したい、殺したい」
「落ち着きなよ4th、彼が怯えるだろう」
正気な者もいれば、明らかに正気でない者もいる。何かが大きく間違っていて、何かが明らかに整合性を帯びた空間。
その中で、彼らは口々に言葉を交わす。
「なんでこんな奴が優位なんだ?」
「この街において、彼が一番迎合しているからだろうね。我々は皆、わずかに壊れているし、5thがいない限りは完全ではない」
「社会性に優れているから、と言うことか。簡単に殺せそうなくらいに弱そうだけど」
「やめておけよ、ろくな事にならない」
彼らの顔は認識できないけれど、確かにそこに存在していることはわかる。わかるけれど、彼らが理解の範疇にある存在かと言うと、そうは思えなかった。
「何かと物騒な奴らだけど、生存のためなら君に力を貸すことはやぶさかじゃないし、むしろそれが僕らの本懐であり、為すべきところだと思う」
「君たちは私の味方なのか?」
「君次第だよ」
捉えどころのない一人は、淡々と答える。
「僕は三番目の君、3rdだ。望みとあらば君に力を貸そう、最も、君がそれに足る存在であればだけれど」
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